最新動向/市場予測

金融システムのリスクはこれから:新型コロナ感染症後の銀行決算/政策効果の息切れが懸念される2020年後半 他

リスクインテリジェンス メールマガジン Vol.60(2020年7月)

リスクの概観と金融規制の動向に係る概観について、留意すべき特徴点を炙り出すと同時に、有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センターが考える意見も発信いたします。

リスクの概観(トレンド&トピックス)

金融システムのリスクはこれから:新型コロナ感染症後の銀行決算

有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
ディレクター
勝藤 史郎
 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による経済危機にも拘わらず、各国の金融システムは現在健全に機能している。コロナ危機における金融システムの機能継続は、大手金融機関の破綻に端を発し信用収縮が拡大した10年前のグローバル金融危機との大きな違いである。新型コロナ感染症拡大初期に、まず各国中央銀行と金融監督当局は、金融システム維持と民間への信用供与維持拡大を最大の目的として先行的に政策対応を実施した。中央銀行による量的金融緩和拡大や銀行貸出・民間資金繰り支援策(社債やコマーシャル・ペーパー購入や引受資金融資)、監督当局による金融規制の一時的緩和や適用延期策である。金融規制の緩和には、自己資本比率規制の緩和、既存貸出の返済条件変更等に起因する不良債権認定基準の緩和、貸倒引当金計上基準の緩和等が含まれる。

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マクロ経済の動向(トレンド&トピックス)

政策効果の息切れが懸念される2020年後半

有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
マネジャー
市川 雄介
 

新型コロナウイルス感染拡大が止まらない米国では、6月半ば以降、経済再開プロセスの停止や飲食店の営業禁止といった再規制に踏み切る州が増えている。インドや中南米などでは感染拡大に歯止めがかかっていない。日本でも東京都を中心に感染者数は再び大きく拡大しており、重症者数は抑制されているものの、さながら第二波と言える状況だ。こうした感染拡大の長期化により、年後半の景気は下振れリスクが大きく高まることになる。飲食・娯楽を中心とするサービス需要が長期にわたって下押しされるだけでなく、短期決戦を前提に繰り出されてきた各国の政策効果が剥落し、景気の下支え役が失われることに注意が必要だ。

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金融規制の動向(トレンド&トピックス)

ECB:気候関連・環境リスクガイド~ECBが監督上の対話で利用予定

有限責任監査法人トーマツ
リスク管理戦略センター
マネジャー
矢吹 正太郎

気候関連・環境リスクへの対応がグローバルで進んでいる。6月には欧州議会がサステナブル投資のタクソノミーを法制化し、”ブラウン”タクソノミーなどについて議論を進めている。各国の中銀、金融監督局が参加するNGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)は、5月に金融機関によるグリーン、ノングリーン、ブラウンの分類に係る調査結果、監督当局が気候関連・環境リスクに対処するための推奨事項に係るレポート、6月に気候変動シナリオのレポートを公表し、金融機関に取り組みを促している。国内においても経産省が超臨界以下の非効率な石炭火力発電の2030年に向けたフェードアウト、再エネの主力電源化を進めるための議論を開始しており、金融機関にとって低炭素社会への移行に向けた座礁資産の発生など移行リスク顕在化の蓋然性が高まっている。

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リスクインテリジェンス メールマガジン

グローバルな視点からみた、企業経営上の様々なリスクをチェックするリスクインテリジェンス メールマガジン(グローバル・リスク・ウォッチ)では、毎月、過去一ヶ月間に起きた事象を振り返りながら、事業リスクという視点から、多くの金融機関や事業法人が留意すべき特徴点を炙り出します。同時に、様々なリスク管理や金融規制上のトピックに関し、デロイト トーマツ グループの一員である有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センターが考える意見も発信していきます。

 

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