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グループガバナンス高度化支援

1. はじめに:グループガバナンスとは

企業活動のグローバリゼーションが進展し、企業集団が国境を越えて拡大する中、近年、COVID-19の世界的な蔓延や国際情勢の不安定化等、企業集団を取り巻くリスクはますます多様化、かつ複雑化しています。こうした状況を踏まえ、特に海外に進出する日本企業をはじめとしたグループ経営を加速させる企業において「グループガバナンス」に注目が集まっています。

「グループガバナンス」の定義は人によって異なりますが、一般的に、「コーポレートガバナンス」が株主の立場から、経営者が株主利益最大化のための経営を行っているかを管理監督するための仕組みであるのに対し、「グループガバナンス」は、経営者の立場から、グループ全体における企業価値を最大化するための仕組みと位置付けられます。

本稿では、グループガバナンスの高度化が求められている背景に触れた後、高度化に向けたアプローチと、その実現においてデロイト トーマツが提供可能なサービスについてご紹介します。

グループガバナンスの位置づけ
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2. グループガバナンス高度化が求められている背景

企業のグループ経営の在り方は冒頭でも触れている事業を取り巻く環境やリスクの変化、またグローバル競争の激化によって昨今変化しています。

かつてのグループ経営の主流は、特定の機能に特化した子会社を自社で設立し、オペレーションの一部を子会社に担わせて本社がそれを管理するというものでした。特に海外拠点ではその傾向が強く、海外進出にあたっては、多くの企業でコスト削減を目的とした製造拠点の海外移転や、販売ルート構築に向けた販売子会社の設立、といった方法が採られていました。

昨今ではグローバル競争の激化や事業の多角化により、事業側やグループ会社にて迅速な意思決定が求められるようになり、自前での子会社設立だけではなく海外を含むM&Aやジョイントベンチャー設立等によるグループ拡大が増加傾向にあります。

子会社は、オペレーション機能を中心に構成し、本社と上下関係を想起させるいわゆる「子会社」という位置づけから、一定レベルの意思決定を担い、本社との関係が上下ではなく同列に近い「グループ会社」という位置づけに変化しています。そういった変化に伴い、子会社管理の最適化という意味合いが強かったグループガバナンスについても、グループ価値最大化の実現、とその目的も変化を遂げています。

こういったグループ経営の変化や、冒頭で触れたCOVID-19や地政学リスクをはじめとした昨今の外部環境の急激な変化に対応し、グループ価値を最大化するグループガバナンスを実現するためには従来のグループガバナンスの在り方から高度化させる必要があり、デロイト トーマツではその高度化に向けた支援を行っています。

企業におけるグローバル化の変化
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3. グループガバナンス高度化に向けたアプローチ

グループガバナンスの高度化を進めていくにあたっては、検討の対象となる範囲が広く、企業グループ全体の経営方針や組織構造に影響する議論となるため、デロイト トーマツでは、以下の5つのStepを経て段階的に実現していくことを推奨しています。

  • Step1 現状把握:まずは、自社におけるグループガバナンスの組織構造やグループ会社管理方法等を把握し、課題を整理します。ここで認識された課題に応じて、以降のStepで対象とする範囲や、必要となるタスクを検討します。
  • Step2 方針策定:詳細な検討に入る前に、自社におけるグループガバナンスの基本方針を定めます。グループガバナンスの目的や最終的に目指す姿、グループ会社に対するガバナンス方針(親会社による管理を強化するか、グループ会社の自律性を重視するか等)、大まかな組織構造(地域統括会社の設置等を含む)、各組織のミッション・役割等を検討します。
  • Step3 組織・機能設計:Step2で定めた方針に従い、各組織に対する機能配置や、本社からグループ会社に対する権限分配の基本設計、グループ会社から本社に対するレポートラインや報告内容の検討等を行います。
  • Step4 詳細設計・展開準備:設計した組織・機能の実現に向け、プロセスやルール等の詳細設計を行います。例として、各組織の業務分掌の定義、グループ内の重要事項に対する決裁基準・プロセスの定義等を行い、業務分掌規程、権限規程等の必要な規程へ落とし込むことが挙げられます。この時、本社の規程としてだけでなく、グループ共通で守るべき事項を定め、グループ共通の規程として策定することも考えられます。
  • Step5 展開・モニタリング:これまでのStepで策定した体制・規程をグループ内に展開し、実行に移します。着実に展開を行うためには、対象組織・階層に応じた導入手法の検討や、実務に落とし込むためのマニュアル・ツール類の準備等、様々な工夫が必要となります。また、体制・規程が適切に運用されているか、内部監査等を通じて継続的にモニタリングを行います。

 

<グループガバナンス高度化に向けたアプローチ(全体像)>

グループガバナンス高度化に向けたアプローチ(全体像)
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4. デロイト トーマツの提供サービス

デロイト トーマツではこれまでの多種多様な業界へのサービス提供経験、またグローバルメンバーファームでの知見を活用し、グループガバナンスの在り方の検討およびその実現に向けた助言を行います。

助言においてはデロイト トーマツが開発したグループガバナンスフレームワークに基づく各種サービスを活用し、企業にとって最適なグループガバナンスの在り方を検討していきます。

<主な助言スコープ>

  • グローバル全体に対するガバナンス成熟度診断ツールを活用した現状把握・課題の抽出
  • グループガバナンス方針策定および展開
  • 組織・機能設計および実現に向けた対応策の検討
  • 「権限分配ベンチマーク」を活用した権限分配方針の検討、権限設計
  • グループ共通規程策定および展開
  • グローバル内部監査体制の検討、構築

 

<グループガバナンスフレームワーク>

グループガバナンスフレームワーク
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グループガバナンスを検討するにあたってのフレームワークを整備しています。

グループガバナンス方針では戦略~制度・インフラを中心に定義し、グループ共通規程では業務プロセス領域を中心に定義します。

 

<ガバナンス成熟度診断:成熟度モデル>

ガバナンス成熟度診断:成熟度モデル
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ガバナンス成熟度診断では、ガバナンス成熟度モデルを踏まえて海外グループ会社を含めたグローバル全体での現状のガバナンス成熟度を把握すると共に、目指すべきグループガバナンスの姿を検討します。

 

<グループガバナンス方針検討イメージ>

グループガバナンス方針検討イメージ
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グループガバナンス方針では求心力型/遠心力型等のガバナンスのあるべき姿を検討した上で、ガバナンス実施にあたってグループで共通認識を持つべき事項を定義していきます。

 

<権限分配ベンチマーク>

権限分配ベンチマーク
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ガバナンススタイルに応じた本社-グループ会社間での権限分配を可視化した権限分配ベンチマークを活用し、あるべき姿実現に向けた権限分配方針を検討していきます。

プロフェッショナル

松本 拓也/Takuya Matsumoto

松本 拓也/Takuya Matsumoto

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー パートナー

シンクタンクにてコンサルティング業務に従事した後、有限責任監査法人トーマツに入社。 監査業務の経験を経た後、現在は、グローバルリスクマネジメント/コンプライアンス体制構築を中心に、グループガバナンス再構築、危機管理体制構築、内部統制構築、内部監査等のアドバイザリーサービスを数多く手掛ける。 主な著書に『最新 コーポレートガバナンスのすべて』(共著、日本実業出版)他 米国デラウェア州公認会計士/公認... さらに見る

藤澤 慶晃/Yoshiteru Fujisawa

藤澤 慶晃/Yoshiteru Fujisawa

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー マネージングディレクター

グローバル・グループガバナンスサービスをリード。 日系、および外資系コンサルティングファームにて、IT、およびリスクコンサルティング業務に従事。 主に日系製造業に対して、組織・ガバナンスの構想策定・実装支援、リスクマネジメント・コンプライアンス体制の構築、内部監査等の業務を推進。 直近では、組織・ガバナンスといったテーマを軸に組織再編・PMI等の全社改革案件を中心に手掛ける。... さらに見る