顧客との価値共創の実現に向けた提言

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価値共創マーケティング

―デジタルが可能にする顧客との新たな価値の創り方―

本レポートは、アカデミック領域では研究が進みつつも、実務領域では利活用が十分ではない「価値共創」について有識者や企業へのインタビューを通じて展開に向けた種々の仮説検証、調査を取りまとめている。「価値共創」とは何か、なぜ今こそ取り組むべきかという問題提起に加え、ケーススタディを通じて取組みに向けた課題と実践アクションにも踏み込んでいる。

デジタル技術の進化は「情報の非対称性」を壊し、企業が一方的に製品・サービスを提供し、広告を打ち続ければモノが売れた時代はとうの昔に終わったとされている。しかし我々は日々のコンサルティングサービスを通して「時代は変わったがマーケティングのやり方が本当に変化・進化したのだろうか?」という場面に出くわすことが少なくない。

我々がいま注目している対象は何かというと、それは「モノのサービス化」と「サービス契約後の体験価値向上」という2点である。詳細は本編に譲るが、広義にはモノ/サービス/体験がバンドル化され、売り切りではなく月額支払いとなっているサービスをイメージいただきたい。注目すべき点は契約後に、大抵の場合は支払額が変わらないにも関わらずサービスの提供価値がアップデートされ続け、顧客の体験価値もアップデートされる点である。つまり、一度の契約後に価値向上することが企業も顧客も双方織り込まれており、いま目の前の価値のみならず今後の見込みも含めて契約(購買)が行われることは、大きなパラダイムシフトであると我々は考えている。

こうした世界がさらに広がると企業活動の論点は、モノとサービスを含む体験価値をいかに向上させ続けるか、に収斂されるはずだ。価値自体は顧客が決めるものであるため、その開発や向上のためには顧客の体験世界に入り込み、改善に通じる負やアンメットニーズ、ニーズ等を見つけて改善し、価値提案を行う活動を繰り返し行う必要がある。この考え方はアカデミックではある程度研究が進んでおり、モノやサービスが体験価値に包含されていくとされる“サービス・ドミナント・ロジック”、さらに企業と顧客が継続的に“価値を向上する”活動とマーケティングを統合した“価値共創マーケティング”である。

我々は本レポートを通して「価値共創マーケティング」に目を向け始めてほしい、ということを伝えたい。この考え方は、他にも提供されているマーケティング理論やフレームワークとほとんどの場合に競合しないこと、つまり同時に実施できることも確認されている。
本レポート執筆のためにインタビューした企業・ブランド・有識者、我々のコンサルティング経験を通して、「価値共創マーケティング」に取り組むことで以下のベネフィットがもたらされることを確認している:

  • 顧客がより長く特定のサービスやブランドを使い続けてくれる
  • 顧客がより積極的にサービスやブランドの価値向上に関与してくれる
  • 場合によっては顧客が自ら、顧客同士で価値向上の方法を編み出し・伝播し・仲間を増やしてくれる
  • 上記の情報に触れた生活者や見込み顧客が共感し、顧客化する

言うまでもないが、こうした活動が可能となったのは、空間と時間を超えて顧客同士、顧客と企業が気軽に双方向にコミュニケーション出来るようになったからである。本レポートでは、なぜ今「価値共創マーケティング」なのか、その取組み事例に触れつつ、こうしたコミュニケーションをいかに促すか等、実践に向けた橋渡しをも企図している。

価値共創マーケティング [PDF, 4.0MB]

レポート内のケーススタディについて

本レポートは国内を代表するブランドの責任者の方々にインタビューを実施し、価値共創マーケティングに取り組む企業が持つ成功の要諦を解き明かそうとしている。

[ケーススタディ掲載企業(アルファベット昇順)]

・大手広告会社 D社様
・大手広告会社 H社様
・大手SNSプラットフォーム運営会社 M社様※
・大手化粧品会社 P社様
・大手化粧品会社 S社様
・大手総合電機メーカー S社様
・クラフトビール製造会社Y社様

※価値共創マーケティングを実践する上で重要となるSNSプラットフォームにおけるケーススタディも以下の通り言及している:

・D2Cアパレルブランド C様
・D2C化粧品ブランド H様
・大手総合電機メーカー P社様

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