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グローバルでのCVC活動成功の手引き ~シリコンバレーを中心とした先進事例から考える~

世界中の技術やビジネスモデルを取り入れたイノベーションの創出が不可欠になる環境の中、日本企業のグローバルでのCVC活動が活発になっています。
一般的にCVC活動に普遍的な解は無いとされていますが、インタビュー調査を中心にシリコンバレーを中心とするグローバルでのCVCの成功事例の研究を行った結果、CVC活動に取り組む意義、戦略的リターンのパターン、スタートアップエコシステムへの価値提供手法、社内連携の仕組みなどにいくつかの共通的な特徴が見られました。

 

※本調査報告書は、NEDOシリコンバレー事務所からの委託を受け、デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社が作成したものとなります。
レポートは以下、URLからDL下さい。
20211203_CVC_Research | NEDO Representative Office in Silicon Valley (nedosvo.org)

CVCに取り組む意義

【CVCの有効性】

グローバルトップ企業の成功事例では、両利きの経営を実現する手法としてCVCを捉えており、CVCに積極的に取り組む企業は他の企業より高い成長率を達成している。

【CEO,CXOのコミット・継続の重要性】

CVC活動は全社的長期的視点が必要な活動であるため、CEO/CXOが長期的に活動にコミットすることが必要となる。継続がパフォーマンス向上につながる。

【CVCに必要な機能・特徴】

CVC投資では、投資の専門性に加え、事業開発活動の専門性も必要となる。戦略リターンを生みやすいが財務リターン追及ではVCと比して不利との見方もある。

【戦略リターンと財務リターンのバランス】

CVC活動において一般的に強調される戦略リターンに加えて、財務的リターンを継続的に創出することがCVC活動の継続にとって重要となる。

戦略的目的の明確化

【戦略目的】

CVCを通じて得られる戦略リターンは多岐に渡る。経営インプットに資する戦略的情報収集や、M&Aのきっかけ作り、エコシステム構築などに重点を置く事例が多く見受けられた。

【目的に従った組織設計】

CVC活動においては、自社に合った戦略的目的を定め、戦略的目的に従って、組織設計を行うことが成功のカギとなる。

CVCオペレーション

【意思決定体制】

良質な案件に参加するための熾烈な競争が行われている。スピードも一つの重要な要素となるため、迅速に意思決定できる体制を構築することが重要となる。一定の範囲内でのCVC、投資所管部門への権限移譲や機動的な判断ができる投資委員会の設計を行うことが望まれる。

【スタートアップへの提供価値】

有望スタートアップは資金に困っていないため、 スタートアップや投資家に選んでもらえるよう、スタートアップ及びVCのペインポイントを理解し、CVCならではの付加価値を提供することが最も重要となる。今後のデータ、APIエコノミーの社会を前提にした場合、システム、データ連携基盤の整備も極めて重要となる。

【社内連携と事業開発機能の整備】

出資を行った後の事業開発に繋がっている事例は限定的であり、事業開発機能の必要性が認識された。事業開発促進には、事業部とも緊密に連携しながら、事業部に不足しがちなリソースや能力を補完することが必要となる。先進事例では、CXO直下の事業開発機能設置、継続的なBU及びR&Dとのコミュニケーション等、様々な共通の取り組みが見受けられた。

【運営体制・人材配置】

投資に加え、事業開発も重要となるため、それぞれの機能に対し適切なメンバーを揃えることが重要となる。専門性が強く求められるので、長期視点でアサインを行うことも重要となる。

【育成の重要性】

成功している在米日系企業では、内部及び外部のトレーニングも活用してプロフェッショナルチーム育成を行っている事例が見受けられた。

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