新しい働き方「ワーケーション」が地方活性化につながるワケとは|D-nnovation Perspectives|Deloitte Japan ブックマークが追加されました
今年のシルバーウィークは9月に3連休が2週連続してある。
大型連休ではなく「ちょっと残念…」と思う人もいるかもしれないが、中にはこの連休に合わせて「ワーケーション」を初めてトライする人もいるのではないだろうか。
ワーケーションとは「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた言葉であり、リゾート地などに滞在し、休暇を取りながら働くというスタイルである。
最近では企業が働き方の一つとして導入するほか、今年7月には複数の自治体が「ワーケーション自治体協議会」の設立に署名し、受け入れる自治体側も環境を整備している。
ワーケーションは新たな働き方として注目されているが、私は地方創生の観点でも重要だと考える。特に、都市と地方での就労人口の格差を解消する突破口になるだろう。
例えば軽井沢で見ると平日の就労人口は少ないが、休日になると観光人口が増え、人口にギャップがあることが特徴だ。地方創生という視点では、非日常的な一過性の観光人口だけでなく、日常的に滞在する人口を増やすことが必要になるが、ワーケーションはギャップを緩和する一つのアイデアになりうる。
ワーケーションでは、主に都市部で就労している人たちが地方に一定期間滞在することになる。この人たちを「日常」と「非日常」を兼ねる意味合いで、私は“半日常”人口と捉えている。
就労人口と観光人口の間の“半日常”人口が増えることで、経済活動が生まれる。短期的には、消費の活性化や、人材・情報の流入による新たな事業機会や人脈のパイプ創出が期待される。長期的には、移住による人口増に繋がる可能性もある。
ワーケーションが普及するためには、企業、自治体の双方に課題がある。
企業側は遠隔地での労務管理やセキュリティのあり方や、社員が利用しやすくするための工夫について検討する必要がある。例えば、リゾート地のワーケーション施設を福利厚生のメニューに組み込んで、多くの社員が使いやすいようにする努力も必要だ。
自治体側では、集中しやすいオフィスやビデオ会議ができるスペース・通信設備など、企業と同じ目線に立って働きやすい環境を整備する必要がある。
デジタル化や通信技術の発達により、場所を問わないコミュニケーションが可能になることで、都市との交流を活性化し、地域の発展に繋がることを期待したい。
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https://www.fnn.jp/posts/00047776HDK/201908172359_livenewsdays_HDK
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