Posted: 18 Jun. 2020 2 min. read

第3回 収益化に向けた自動車メーカーの今取るべき打ち手

【シリーズ】続・モビリティー革命2030

自動車関連企業は積極的な投資を行う一方で、収益性の低下という困難な課題に直面している。加えて、COVID-19により需要・供給が急減し更なる経営の圧迫が予想される中で、新たな事業機会への投下原資を捻出し持続的に成長し続けるには、既存事業の構造改革以外に活路はない。

本稿は2020年4月30日に日経xTECHに掲載された「続・2030年モビリティー革命を読み解く」を一部改訂したものです。https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01278/00005/

自動車メーカーが取り組むべき5つの打ち手を提案する。

 

不採算事業の圧縮・スリム化:短期的に収益性を改善する打ち手を、覚悟をもって進める

1. “選択と集中”の加速/2.改善にとどまらない、抜本的コスト削減

CASE領域の投資競争下、特に欧米系自動車メーカーは事業の“選択と集中”や大規模なリストラ・再配置による既存事業の体質改革を推進している。従来のカイゼン積み上げではなく、聖域なき抜本的なコスト削減策の実行が求められる。

事業体質の強化:将来に向けた持続的かつ安定的な収益を生む“事業体質”をつくる打ち手を推進する

3.設計・生産アーキテクチャの共通化

①      ハードウェア

“一括企画・開発”や“プラットフォーム化”、および組織・プロセスを見直し、極力少ない組合せ・部品点数にまとめることで、必要な開発・検証工数や投資を削減し、量産効果を徹底的に追求していく必要がある。

②      ソフトウェア

CASE技術が組み込まれることでクルマのソフトウェアはこれまで以上に複雑化することが予想される。また、従来の車両開発と異なる時間軸で進化するため、モジュールごとに都度商品に取り込むことができる仕組みとプロセスの構築が必要になる。

4.   ケイレツ内・ケイレツを超えた協業・統合

全てを自前で抱えるには限界がある。競争/協調領域を整理し、個社ではなく“連合体”として競争力を維持できるよう今後一層ケイレツ内、ケイレツを超えた協業・再編・統合を促進すべきだろう。

5.  デジタルによる超効率化

あらゆるものから収集したデータを、デジタル技術を用いて強化または評価し仮想空間で構築(シミュレーション)した上で、近未来予測(インサイト)をフィードバックし、現実世界における高度な業務効率化やコスト削減につなげる必要がある。

既存事業の構造改革は、企業文化や従前のプロセスに抵触するため様々な“痛み”や“壁”が立ちはだかるだろう。他方、構造改革なくして未来への道は描けない。必要な改革を見出し、着実に実行していただきたい。

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平井 学/Manabu Hirai

平井 学/Manabu Hirai

デロイト トーマツ グループ アソシエイトディレクター

大手システムインテグレータにて金融決済システム開発のシステムエンジニアを経て現職。 デジタルを活用したビジネス企画構想、業務改革・改善、システム導入まで幅広い知見、経験を有しており、企画・構想だけでなく、それを現場に体現する実行力に強みがある。自動車メーカー、サプライヤーのDXプロジェクト実績多数あり。