Posted: 22 Jun. 2020 2 min. read

第4回 欧州がもくろむゲームチェンジとしてのサーキュラーエコノミー

【シリーズ】続・モビリティー革命2030

100年に1度の大変革期に直面し、自動車産業にとって対峙すべき課題は新規事業創出、既存事業の効率化に留まらない。今後顕在化する問題のひとつがサーキュラーエコノミー(Circular Economy:CE)である。

本稿は2020年5月14日に日経xTECHに掲載された「続・2030年モビリティー革命を読み解く」を一部改訂したものです。https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01278/00006/

 

CEとは、資源の大量消費/廃棄を前提とした従来の直線的なビジネスを改め、資源をなるべく“使い倒し”て再循環させ、資源消費と経済成長を分離(デカップリング)し、両立を目指すものだ。シェアリングに代表されるモノの「使い方」を変えることに加え、再利用/解体しやすい設計、部品のリサイクルや再生産、廃棄物を再処理した再生材の調達など、モノの「作り方」も変わる。

欧州ではCEを新興国などに対する競争戦略として位置づけ、政府が市場ルールを作り、民間は企業連携含めた動脈・静脈一体となったビジネスモデル構築を着々と進めている。

欧州自動車メーカーは、静脈産業企業等と提携し再生部品・資源のサプライチェーン構築を進めている。これらはCSR活動ではなく、純正部品価格の高さによる顧客の正規カーディーラー離れや一次資源価格高騰などの事業課題への打ち手との位置づけだ。

 

日本企業の方向性

自動車企業の事業戦略としてCEを考えるポイントを3点整理する。

①    環境、安全に次ぐ第3の矢、ルール形成戦略への対応

日本企業は、技術で勝りながらもルール/市場形成で他国企業に負けることがないよう、自動車メーカー各社や政府が連携し、静脈産業の市場形成および国際的競争力のあるプレイヤーを生み出す必要がある。

②    バリュー“チェーン”の拡張と再構成

自動車メーカーは、新車を使い切るビジネスをデザインしていく必要がある。例えば、リース販売した車両を再生部品を使ってメンテナンスし、中古リースで複数サイクル回す。その上で他国へ中古車輸出、または解体・再資源化する。これらを想定した車両設計を予め行う。

しかし、新車販売に最適化された既存の事業構造を変更することは容易ではない。そこで、2つの常識を変えていく必要があるだろう。

1.「Just-in-Time」から「Just-in-Place」のサプライチェーン再設計

2.クルマ1台から部品単位での買い換え

③    DXによるバリューチェーンマネジメントの仕組み構築

CEの実践には、製造したクルマや部品の情報を管理し、ライフサイクルで収益性が可視化できる仕組みが必要だ。DXを活用しバリューチェーン全体のシステムやオペレーションを循環型に対応させていくことが求められる。

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空花 弘道/Hiromichi Kuge

空花 弘道/Hiromichi Kuge

デロイト トーマツ グループ シニアマネジャー

主な担当領域は、自動車・自動車部品業界におけるR&D戦略、新規事業戦略、中長期経営戦略の立案。 特に、海外R&D立ち上げ支援を含む技術開発系プロジェクトや自動車業界が直面するパラダイムシフトの先読みのプロジェクト経験が豊富。近年はモビリティ時代への対応が迫られる自動車OEMの新事業創出やアフター領域の事業戦略・業務改革に従事。