Posted: 26 Apr. 2022 3 min. read

世界が一変する「Web3」、その動向と今後の発展

■Web3とは

昨年より、Web3というワードがビジネストレンドとして注目され、耳にした人も多いと感じる。

Web3はまだ明確な定義がされていないが、一言で言うとブロックチェーンを基盤とした分散型のネットワークのことであり、次世代のWebの在り方と称され、世界中で注目されており投資分野としても活性化している。

 

Web3は、GAFAなどに代表されるプラットフォーマー型のビジネスであるWeb2と比較されることが多い。情報や権限がプラットフォーマー型の企業に集約されることなく、分散される点が大きな特徴の1つだ。

情報や権限が分散されるということは、今まで権力を持っていた国家や大企業の力は弱まり、存在すら見直される可能性もあるため、Web3で何が出来るのか、どのような世界に進むのか今後の発展性について考えたい。

■Web3の概要について

 

Web3について、全体概要を図にするとおおよそ上のようになる。通貨、ゲームで使用するアイテム・アバター、土地、契約書や許可証などの様々なデータをブロックチェーン上で発行されたトークンで表章して、ユーザーが自身のウォレットで保有する仕組みだ。

それぞれ要点について考察していきたい。

-Exchange/Payment

従来の通貨の世界では国家や信頼のある金融機関が発行した通貨には相応の価値が担保され、ユーザーとしても安心して使える。

Web3の世界では誰でも簡単にトークンを発行することが可能だが、通貨同様に信頼のあるプロジェクトや個人が発行したトークンに価値が付く。

代表例がビットコインやイーサリアムなどの暗号資産であるが、特にイーサリアムはステーブルコインやユーティリティトークン、NFTの規格となっており、Web3においては重要な位置付けでありイーサリアムを基軸として交換可能なものが多い。

また、様々なトークンがブロックチェーン上にあり、ユーザーはCeFi(Binanceや国内の暗号資産取引所など)、DeFi(Uniswap、Pancakeswapなどの分散型取引所)でトークンを交換したり、法定通貨にして資産に替えることが出来る。

-NFT

NFTは昨年から非常に盛り上がっており、多くの人が言葉を耳にしたのではないだろうか。詳細については過去の記事を参照頂きたい

NFTに関する記事

現在はゲーム会社やIPホルダー、クリエイターが主にNFTを発行しているが、今後は行政手続き・医療・不動産・企業取引などのあらゆる情報がNFTとして管理される可能性がある。

しかし、パブリックチェーン上のNFTは誰でも内容を見ることが可能であるため、その点は企業情報や個人情報などのプライバシーに関わる際に不都合となる。

この点を解決する手段としては、ZK Rollups(ゼロ知識証明を利用したイーサリアムのレイヤー2で使用される技術)などがあり、発展性が大いにあると考える。

-ウォレット/DID

Web3ではブロックチェーン上で発行されるトークンをユーザーが自身のウォレットで所有するため、Web3上のサービスを利用する際にはサービス提供側に自身の情報を提供することになる。

この点はGAFAなどのPFが情報を集約していたWeb2と大きく異なる点であると言えよう。

ユーザー自身でウォレットを管理するということは秘密鍵の管理も自身で行うことになり、ハッキングや紛失によって資産を失った場合、自己責任となる。秘密鍵をハッキングする巧妙な手口も多く、ウォレットの秘密鍵をハッキングされたユーザーも多数いる為、この点は今後の大きな課題となる。

DID(Decentralized Identifier)などで具体化されている、個人のアイデンティティはその人自身のもので、情報の取扱いの決定権を持つという概念も出てきた。

Web3のサービスを使用する際、ウォレットを接続して情報をサービス側に提供することも増えてくるであろう。

ユーザーの情報をユーザー自身の手に取り戻そうという動きもWeb3の大きなムーブメントの1つである。

■Web3の今後の発展について

-マルチバース

マルチバースとは個々のメタバースがブロックチェーン上で繋がり、ユーザーや通貨、デジタルアイテムが表章されたトークンが自由に行き来できる世界である。

しかし、現在のVRや3DCGを用いたメタバースと、ブロックチェーン・暗号資産との融合は技術的に難しく、時間が掛かるとされている。

現時点ではゲーム上やVR空間上のメタバースが存在しているが、2022年以降は大企業が新たにメタバース領域に参入することが想定される。

-DAO

Web3の拡大によって“今まで権力を持っていた国家や大企業の力は弱まり、存在すら見直される可能性がある”と上述したが、既に暗号資産関連のコミュニティではプロジェクトや個人が大きな力を持っているケースもあり、独自のコミュニティ運営やインセンティブ設計を行っている。

今後は同じ種類のアセットを持った人々が集まるコミュニティや同じ目的を持ったコミュニティなど、様々なDAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)が誕生するだろう。企業の在り方もDAO化していく可能性が高い。

■まとめ

Web3の世界では、今まで力を持っていた国家や大企業の権限が分散されることになる。特に国家にとっては、これまで通貨発行が非常に強力な権限の1つであったが、ビットコインを主軸通貨とする国が現れたり、ロシアのウクライナ侵攻以降、政府の管理下にないビットコインに両国の人々が殺到した事態も起きている。

調査会社のガートナーは2026年までに人々の4分の1は、1日1時間以上をメタバースで過ごすようになると予測したレポートを出している。これからはバーチャルが身近になり、ゲームや消費行動だけでなく、働き方も仮想オフィスになるなど、大きな環境の変化が起こるだろう。

仮想空間や宇宙空間、分散化された世界に人々はフロンティアを求めていき、Web3はこれからの時代に適合した分散型のインターネットとして拡大していくだろう。

D-NNOVATIONスペシャルサイト

社会課題の解決に向けたプロフェッショナルたちの物語や視点を発信しています

プロフェッショナル

望月 一弘/Kazuhiro Mochizuki

望月 一弘/Kazuhiro Mochizuki

デロイト トーマツ グループ コンサルタント

メガバンク、大手SIerを経てスタートアップでNFTのマーケットプレイスをローンチさせた後、デロイト トーマツ コンサルティングに参画。Fintech、ブロックチェーンに関する知見を背景に金融領域や新規事業の支援案件などに従事。