Posted: 21 May. 2021 3 min. read

2021年注目のNFT、本質的価値に迫る

今年、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)が海外で大きな盛り上がりを見せたことをきっかけに、日本でも著名人やアーティスト、企業などのプレイヤーが続々とNFTに係わる取り組みを発表している。

しかし、まだ登場したばかりの概念や技術のためになじみが薄いため、その本質的価値が理解されないまま、NFTバブルのように捉えられている向きもある。そこであらためてNFTについての概要やユースケースから本質的価値とその可能性について解説したい。

STO

NFTの特性

まず、NFTとはビットコイン等の暗号資産と同じくブロックチェーン上で発行されるトークンの一種である。ビットコイン等の暗号資産は“Fungible Token(代替性トークン)”と位置付けられ通貨と同様に1ビットコインの価値は平等で他の保有者が保有してる1ビットコインの価値と等しい、つまり代替性があるものとされる。一方、NFTは個々のトークンに対して識別子を付与しており、デジタルデータに固有性を持たせることができる。固有性を持ったトークンは通貨やビットコインのように価値が等しくならないため代替性をもたないことになる。アートや写真、テキストなどデジタル作品の権利をトークン化したNFTは固有の価値を持つものとして今年に入って高額で売買される事例が出ている。

 

NFTの利点

NFTは技術的にはイーサリアムブロックチェーンのERC-721という仕組みを活用し、個々のトークンに対して識別子を付与することで主に下記の利点がある。

固有性

NFT全てに識別子が付いており、唯一無二または個数を限定してトークンを発行することが可能である。また、ブロックチェーンの技術特性により、改ざんや複製が不可能である。

所有権

ブロックチェーン上に所有者が記録されることで、デジタルデータ上で所有者を証明することが可能であり、所有者の移転も確認することが可能である。

移転・売買

電子的な取引で売買可能であり、二次流通市場等を作ることによって、ユーザー同士でトークンの売買ができるようになり、新たな市場の形成が可能となる。

 

NFTのユースケース

上記のNFTの利点によって、様々なモノや権利を裏付けとしたNFTが発行されており、海外アーティストのデジタルアートがオークションで約75億円の価格が付いて落札される事例や、米Twitter社のジャック・ドーシー氏の初ツイートを示したNFTが約3億円の値が付くなど、高額で売買される事例が出てきた。

上記の事例はやや高額な値段であることは否めないが、デジタルデータに固有性を持たせることが可能となった点は本質的価値が高く、様々なユースケースが想定される。

例えば、スポーツの分野では選手の記念ボールをNFT化することにより、新記録を樹立した際などの特別なボールをデジタルデータで表現することが可能になったり、エンターテイメントの分野ではアーティストの作品や写真、音楽の再生権などをNFT化して、保有者のみが作品や写真を閲覧したり、音楽を聴けることが可能となる。

このように様々なデジタルデータをNFT化することにより、保有者は特別な、唯一無二の価値や体験を楽しむことができる。

まとめ

NFTは画像、動画、音楽、ゲームなどあらゆる分野のデジタルデータをNFT化できることから、様々な著名人や企業などのプレイヤーがNFT市場に新規参入しており、更に市場が盛り上がることが予想される。

まだ事例は少ないが、メタバース空間(仮想世界)でNFT保有者が自身の美術品等を展示したり、トークン保有者のみが入れる部屋を作成したり、NFTを活用する仕組みも整いつつあり、今後さらに発展していくだろう。

ブロックチェーン技術に関するマス層の理解はまだ浸透していないと感じるが、UIUXが向上して根本技術を意識しない設計が確立すれば、より一層NFTが普及していくと言える。

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プロフェッショナル

望月 一弘/Kazuhiro Mochizuki

望月 一弘/Kazuhiro Mochizuki

デロイト トーマツ グループ コンサルタント

メガバンク、大手SIer、スタートアップを経てデロイト トーマツ コンサルティングに参画。Fintech、ブロックチェーンに関する知見を背景にSTO案件支援などに従事。