Posted: 08 Oct. 2024 3 min. read

Web3マスアダプションへ期待されていること

アジア最大級Web3カンファレンス「Web X」を終えて

Web3は、規制の不透明性や収益モデル等で、国内での浸透はまだ遠い先の未来と言われている。果たしてインターネット革命と同じマグニチュードで変化をもたらし、生活に浸透(マスアダプション)するのだろうか。登壇・出展をしたWebXのレポートとともにそこから見えたヒントをお伝えする。

WebXとは何か?

WebXは、Web3を中心に最先端技術の有望プロジェクトや企業、起業家、投資家、開発者等が集うアジア最大級、日本最大のWeb3カンファレンスだ。昨年が初回で来場者数16,500人、スピーカー数290人、協賛・協力企業372社(団体含む)の実績であり、2回目の今年は来場者数20,000人を見込む規模で開催された。デロイト トーマツは2年連続Gold Sponsorを担っており、登壇やブース出展を行っている。

岸田総理がビデオ登壇し開幕、官民Web3領域をリードする多くの著名人が登壇した。RWA(Real World Asset)やデジタル通貨等実際の実用化事例を基にしたテーマや、マスアダプションに向けた進捗や課題/論点など、近未来ではなくリアルなものとして捉えたセッションが多く用意された。

 

Web3の現在地と新たな潮流(デロイト トーマツ登壇)

デロイト トーマツの登壇では、最初にWeb3の現在地を昨年11月に公開したレポート「A primer Web3 adoption for enterprise」を引用して解説を行った。端的には、Web3の採用はまだ初期段階であり、実用化ケースは複数出ているものの、大企業が参入してマスアダプションに至るには解決すべき課題がまだ残っていると指摘した。例えば、規制の不透明性、スキル人材の不足、運用と収益モデルの変化(税務、会計論点)、スケーラビリティ、セキュリティ、相互運用性、ユーザーエクスペリエンス等技術的課題がそれにあたる。

出所:Deloitte Report「A primer Web3 adoption for enterprise」
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/us/Documents/mergers-acqisitions/us-web3-pov-bdav4-accessibility-version.pdf

 

続いて、昨年ビジュアルボイス社(代表:別所哲也氏)と構築したLIFE LOG BOX(URL:https://lifelogbox.com/ja/)を紹介、サーキュラーエコノミープラットフォームへのブロックチェーン活用、Web3新たな潮流、といったテーマで各専門家が登壇し発表した。

(LIFE LOG BOXについて講演:ビジュアルボイス社 阿部龍太郎氏)

 

(サーキュラーエコノミープラットフォームへのブロックチェーン活用について講演:デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 高木隆)

 

ツールで、Web3を簡易に(デロイト トーマツ ブース)

デロイト トーマツ ブースでは、Disruptive Tech(Web3に加え、AI、量子コンピュータ、空間コンピューティング等の常識を覆しながら加速するエマージングテクノロジーに対するオファリング総称)を掲げて出展。主にデロイト トーマツが提供するWeb3ツール(DAO機能等)とその実サービス活用事例、また未来の活用方法として、DeSci(分散型科学)や空間コンピューティング等への応用可能性を発表した。

特にWeb3ツール群を強調した。デロイト トーマツは、大企業のWeb3参入の障壁の内技術的な点をカバーするために、NFTやDAO、DID/VCなどのツール群を簡易に導入できる環境を構築し、アドバイザリーサービスと共に提供している。グローバルオフィスとも連携し、ビジネス・規制・技術動向を見極め、必要な機能を取り揃えている。NFTツールは、上記に記載のLIFE LOG BOXでも活用済である。ブースでは主にDAOツールについてデモを通じて実演形式で、概要を紹介した。

(DAOツールの概要:①コミュニティの立ち上げ、参加 ②コミュニティ内の活動を可視化 ③コミュニティメンバーの貢献を可視化 ④コミュニティ間の連携活動を実現)

 

Web3はまだ発展の途上であるが、マスアダプションに至る将来にはあらゆるビジネスを飛躍的に拡大させる可能性を秘めており、日本の経済成長の一翼を担う事が期待されている。デロイト トーマツは今後も官民双方の視点で業界の発展に寄与していく。

 

関連リンク:

D-NNOVATIONスペシャルサイト

社会課題の解決に向けたプロフェッショナルたちの物語や視点を発信しています

プロフェッショナル

赤星 弘樹/Hiroki Akahoshi

赤星 弘樹/Hiroki Akahoshi

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員

フィンテック / ブロックチェーン領域リーダー。 金融新事業開発、Fintech活用、デジタル戦略、業務・組織改革、ガバナンスなど様々なプロジェクトに従事。金融機関だけでなく、消費者接点の強い異業種サービスが金融機能を組込み提供する組込型金融(Embedded Finance)や、ブロックチェーン・Web3 / デジタルアセットなど成長領域に対するグローバル動向分析や戦略立案を担当。 また、環境や人権問題などサステナビリティに対する社会的要請の高まりに対応したデータ・プラットフォームの社会実装に向けた取組みなどの支援も手掛けている。 共著に『デジタル起点の金融経営変革』(2021年)、『パワー・オブ・トラスト』(2022年)等、著書・寄稿多数。