Posted: 18 Feb. 2025 2 min. read

企業経営の新たな潮流「AI活用」の現在地と未来

生成AIの普及で広がる企業のAI活用範囲

2022年末のChatGPT登場以来、AIはビジネスの重要なツールとして定着しつつある。ChatGPTが主流だった生成AIの世界がGoogleやメタも含めた多様なプレーヤー、汎用型や特化型、大小さまざまな規模のAIモデルが登場し“選択の難しさ”が浮き彫りになってきた。ユーザー側は選別眼、目利き力が必要となり、技術的・ビジネス的にしっかりと評価して自社の戦略に適合するかを判断しなければならない。

そして、それが企業力に直結する。大企業向けのCRMならセールスフォース、ERPならSAPやOracleといったような選択するにあたり、軸となるソリューションがAIの世界ではまだ確立していない。技術的革新は日々行われており、今日のスタンダードが明日には消えている可能性もある。

大切なのは、経営側でスタンスをかためてどのようなAIが自社に適切かを判断する“ぶれない軸”を用意すること。技術の進化が早いからこそ、技術に振り回されてはいけない。その上で、2030年時点で自社は何をしているのか(すべきなのか)を予測し、バックキャストで現在取り組むべき事に目を向けていくことが重要である。

 

AI導入の壁を乗り越えるには、技術とビジネスの融合がカギ

一方で、AI導入には課題が山積している。以下の3点を課題として挙げる。

  1. データ整備の重要性
  2. 技術とビジネスの融合不足
  3. AI人材の育成

自社のデータ、それも非構造化データを含め、そこに価値を見いだし、AIドリブンで成長戦略を描くことは簡単ではない。経済社会の全体像を俯瞰し、自社の競争優位と差別化ポイントをデータとリソースに沿って適切に描き、その上で必要なところからAIを取り入れていくことが求められる。まずは社員が使いこなして慣れることが重要だが、その後は自社や業界視点で変革シナリオを描くことが必要だ。

生成AIもテキストデータのみを扱うLLM(大規模言語モデル)やSLM(小規模言語モデル)から画像も理解するVLM(Vision-Language Model)へ。そしてマルチモーダルAIに成長していくだろう。その時に自社の経営と成長にAIをどう使いこなすのか判断をするのは他の誰でもない、企業の経営層だ。

こうした経営層のために、デロイト トーマツは日本で初めて共創型AI体験施設「AI Experience Center」(AEC)を東京丸の内に開設。AECはCxO向け体験型施設で、2~3時間でAIについてのビジネス実装における解像度を圧倒的にあげられるプログラムを用意。リアルな場だからこそ、オンラインでは得られない高密度の体験を得られ、一気にAIトランスフォーメーションを加速できる。この施設の設立よりも前から、デロイト トーマツでは全世界150を超える国・地域のメンバーファームとのネットワークを通じて蓄積されたナレッジを元に、AIをビジネスや社会に実装し、すでにユースケースも多数生まれている。

3つの課題を自社だけで取り組むのは容易ではない。AECでの体験を通じて、これらの課題を解決するだけでなく、新たな価値創造をクライアントと共に生み出していく。

 

プロフェッショナル

首藤 佑樹/Yuki Shuto

首藤 佑樹/Yuki Shuto

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 Chief Growth Officer

アジアパシフィック及び日本におけるコンサルティングの事業成長責任者として、戦略・アライアンス・イノベーション・AIを含む先端技術等を統括する。事業戦略策定、全社的な組織変革、デジタルトランスフォーメーション等のプロジェクト実績が豊富である。米国への駐在経験もあり、主にテクノロジー・メディア・通信業界において日系企業の支援をグローバルに行ってきた。 関連するサービス・インダストリー ・ テクノロジー・メディア・通信 ・ 電機・ハイテク >> オンラインフォームよりお問い合わせ