自らの専門性を磨き、コラボレーションで社会や経済の変革を起こすプロフェッショナルに | デロイト トーマツのリーダー対談

デロイト トーマツのChief Talent Officer (CTaO)であり、デロイト トーマツ コンサルティングの代表も務める神山友佑と、デロイト トーマツ グループ 税務・法務領域ビジネスリーダーの溝口史子の二人は共にクライアントと共に現場の最前線を走ってきた。その二人が新たにデロイト トーマツ グループのリーダーシップをとる。二人のこれまでを振り返りながら、これからの時代に求められるプロフェッショナル像を探っていく。

社会や経済課題の解決に寄与するために、自分たちができること

「今回、デロイト トーマツ グループへ就職することを考えている皆さんに対してお話するにあたり、対談相手として最初に浮かんだのが溝口さんなんですよ」と神山は笑う。「私はデロイト トーマツ グループに新卒で入っていて、溝口さんは自治省(現総務省自治局)を経てドイツでドイツ税理士として働いており、そのあとデロイト トーマツに来られました。それぞれ異なった視点で語り合えると思ったんです」

「確かに私はドイツの税理士で、日本の税理士ですらない。外様のような存在です」と溝口も笑う。

デロイト トーマツ税理士法人 パートナー、デロイト トーマツ グループ 税務・法務領域ビジネスリーダー / 溝口 史子
1996年自治省(現総務省自治局)勤務。2001年BIG4のドイツ勤務を経て、2015年デロイト トーマツ税理士法人勤務。2019年同社パートナー就任、2024年税務・法務領域ビジネスリーダー就任、現職。

二人に共通しているのはプロフェッショナルとしてのクライアントへの向き合い方だ。神山は「今でこそマネジメント職ですが、本来は一人のコンサルタントとしてフロントでお客さまと向き合い、改革を共に行えている時が一番楽しい」と話し、溝口も「日本企業が海外進出するなどにあたって税に関するお困りごとに向き合い、インパクトを与えることに喜びを感じる」とうなずき、次のように続ける。

「コンサルティングも、税務・法務サービスもすべては自分次第というところはありますよね。手を抜こうと思えば抜けてしまうかもしれません。でも、私はそれが許せない。お客さまに認めていただき、成果を出す関係性を築きたいからこそ、本気で向き合ってきました」

溝口は最近「寄り添わないコンサルティング」を掲げているのだという。「もともと寄り添いすぎる性格で、過去にクライアントの意向に無理に沿おうとしてしまった。でも、それでは成果を出せないことが分かったんです。私はプロフェッショナルとして、クライアントの意向に間違いがあれば、それをすみやかに間違いと言える人でなければならない。そう思うようにしています」

そう思えるまでには長い時間が必要だった。ドイツで税理士として働いていた時は何度も人に裏切られたと感じた。「自分はよかれと思っているのに、どうしてうまく伝わらないのか…。ドイツで日本人は働きづらいのか…」悩む彼女を救ったのは米国の文化人類学者ルース・ベネディクトの日本の文化を説明した文化人類学の著作『菊と刀』だったという。同書は日本文化を外部の視点から分析しており、日本人が自らの文化を再認識し、理解を深めるための貴重な資料だ。「本を読むことで日本人の自分と、外部から見た視点という二つの視点を得ました。日本人の特殊性を理解し、伝わらない理由も分かってきた。自分の軸が定まりました」

寄り添う力があるからこそ、寄り添わないこともできる

新卒でデロイト トーマツに入った神山は自分を振り返り「私は同じ会社にいたので、信頼という財産は築きやすかったかもしれません。新卒の時は先輩の背中を見ながら、見よう見まねで働いていた自分が、ある程度独り立ちし、クライアントと共に社会や経営課題に向き合って成果を出す。そして後輩を率いるようになる――。これまで築いてきた経験値は難しい課題になればなるほど生きてきます」

神山はプロフェッショナルとして、時にはCEOなどの経営層に対し、苦言を呈することもあった。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 パートナー、デロイト トーマツ グループCTaO / 神山 友佑
2002年トーマツ コンサルティング株式会社(現デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)入社。M&A等の資本再編を用いた大規模な経営改革に長年従事。2014年同社パートナー就任、2022年Strategy, Analytics, M&A(SAM) Division長就任。2024年同社代表執行役、デロイト トーマツ グループChief Talent Officer(CTaO) 就任、現職。

「経営層の方々にとっては聞きたくないことでも私たちは言うべき時は言わなければなりません。それで怒られることはあっても、本当に伝えるべきことであれば先方も最終的には分かっていただけます」

もちろん、そこまでの関係性になるためにはCEOなどの経営層と同じかそれ以上にその会社について考え抜く必要があるし、関係性の中で信頼を得なければいけない。

「寄り添う力があるからこそ、寄り添わないことができる」

溝口も同意し「最初は徹底的に寄り添うしかありません。マネジャーやシニアマネジャーくらいまでは寄り添い重視。ですが、その先は外部からその会社を支援するために寄り添うだけでは、クライアントも満足できなくなってくるでしょう」

神山も「デロイト トーマツのいいところは、クライアントに寄り添う中で経営層と関係性を結び、本当の意味でその会社や社会に対する変革に携われることでしょう。プレッシャーもありますが、自分が社会や経済を変えている実感値を得られることは私にとっては代えがたい魅力に感じます」と話し、次のように続けた。

「私がデロイト トーマツに新卒で入って良かったなと感じられるのは、ファームの成長を自分の成長と重ねられることです。自分事化できて、会社やメンバーへの愛情も自然とわいてきます。それに社歴が長くなってくると、自分ひとりでは絶対に出会えないと思っていたような方々と知り合う機会を得ることもできます。一方でいま、周囲は私以外ほとんどが中途採用で来られた方々で、彼らによって外部視点でのデロイト トーマツについても教えられる事も多い」

デロイト トーマツに新卒も中途もない、あるのは「懐の深さ」

「私は2015年にデロイト トーマツに参画しましたが、入って思ったのは「懐が深い」ということ。なぜそう思ったかというと、2017年に『EU付加価値税の実務』を上梓したのですが、これは転職前に着手していたもの。それを社内で表彰してくださった。外から来た人間になんて優しいのだろうと驚いた覚えがあります」

そんな溝口に「不満はないのか?」という意地悪な質問を投げかけてみても「なにもない」と即答する。

「私は他のファームも見てきたのでこれは分かるのですが、デロイト トーマツの文化は『コラボレーションを楽しみ、大事にする』ということにつきます。非常にノマド的というか、お互いが専門性を高め合いながら何かあると専門領域の枠を超えて課題に向き合う環境が整っています」

デロイ トトーマツ グループにはMDM(Multi-Disciplinary Model=デロイト トーマツ グループが有する多岐にわたる知見やサービスを融合し独自の価値を生み出していく戦略)という重要戦略がある。この戦略を実現しているのが、溝口の話すコラボレーションのしやすさだ。

「溝口さんとの出会いも、MDMのおかげですね。ある年の12月末に私の電話が鳴り、クライアントの経営者から北米の関税について任せられないかとご相談をいただいた。それですぐに社内で相談をし、内部のキックオフを開いたら溝口さんがいらっしゃった。覚えてます?」

「覚えてます! 覚えてます! デロイト トーマツはプロジェクトでいろいろな人たちが集まって課題解決に向かう仕組みがしっかりできていますよね。自分の専門性を高めながら、他の人たちとの関係性も深めやすい。そのおかげで成長機会は多いように思います」

信頼を失わないことを第一義とする

二人に辞めようと思ったことはないかと尋ねると神山は「一度だけある」と言う。「2023年は日本全体で業界の落ち込みがあり、計画通りに行かないことも多々あった。そのためにメンバーにも迷惑をかけてしまい、この時は本当に悩みました」しかし、その苦い経験が今のリーダーシップに生きたと振り返る。

「苦しい中で感じた事は、グループ一丸となって課題に向き合うことの重要性。他責にせず、他部門の課題であっても全員が向き合える組織風土にしていくこと。もちろん、これまでも行ってきましたが、それ以上にしていく。メンバーが相互に自分を高め合い、グループ全体で課題に向き合えるコラボレーション推進が私の使命です」

「実は入社4年目の時にも似たようなことがありました。大きなトラブルに陥ったプロジェクトに現場リーダーとして途中参加したのですが、クライアントもチームメンバーもみんな気持ちがバラバラ。私が何か提案しても返事すら貰えない日々。なんで自分がこんな目に…という気持ちもありましたが、それでも自分の役割を果たそうとメンバーを励ましながら、クライアントに毎日対峙し続けました。何かがあったという訳ではないのですが、一生懸命さを感じてくれたクライアントが一人、また一人と私の話を聞いてくれるようになる。時間はかかりましたが、最終的にはチーム全員がクライアントから厚い信頼を得ることができました」

そんな神山が自分の経験を通じて伝えていきたいことは「財政的な失敗は取り返せる。しかし、信頼を失うと取り戻すことは困難。だからこそ信頼を得ることを第一義にする」ことだ。「私たちプロフェッショナルは同時に一流のビジネスパーソンでなければなりません。デロイト トーマツの良さは処遇がいいから、ということだけではありません。ここにいることで人間の根底にある「自分が幸福であり、そして社会にも貢献できる」という願いを実現できる場であることが最大の魅力。自分がなりたいと思う自分を目指せば、どこへ行っても通用する偽りなき成長ができます。仕事を通じた人間的な成長を経て、プロフェッショナルかつ一流のビジネスパーソンになり得る環境といえます」

溝口も「デロイト トーマツの中核にある監査法人トーマツ、その創業者等松農夫蔵さんは「個我を脱却して大乗に附く」という精神を説きました。この監査法人の信頼性は他にないもので、目先の条件だけではない良さがあります。神山さんたちコンサルティングの役割が攻めとしたら、私たち税務・法務領域の役割は守り。攻めと守りのプロフェッショナルが同じプロジェクトに向き合えることは、不確実で加速度的に進化をする経済社会では大きな強みではないでしょうか」と話した。

神山も溝口も「やりたいことがあれば、なんでもできるファーム」と話す。それは裏を返せば自らがやりたいことに対して主体的に向き合う必要があるともいえる。そのような人材にとって、この場は最適なのだろう。二人が仕事について話している時の笑顔で、そのことがよくわかった。

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