「児童労働白書2020 ―ビジネスと児童労働―」 ブックマークが追加されました
調査レポート
「児童労働白書2020 ―ビジネスと児童労働―」
児童労働の現状と企業に求められる対応
2020年10月の外務省による「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)」発表等を受け、日本企業への人権対応要請が急速に高まっています。サプライチェーン上の人権リスクの中でも特に注目の集まっている児童労働問題について、この度その最新の実態や企業側のリスク及び対応事例、政府・国際機関・NGO等の取組み状況等を包括的にまとめた「児童労働白書2020 ―ビジネスと児童労働―」を発行しました。(2024年3月一部修正)
児童労働白書作成の背景
児童労働を含む人権問題へのビジネスの対応に関する社会的要請が未だかつてなく強まっています。2020年10月、日本政府は「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)」を発表し企業に対して初めて人権デューディリジェンスの実施等を求め、日本企業による取組みの進展に注目が集まりつつあります。
日本は児童労働を含む搾取労働によって生産された産品の輸入量が米国に次いで世界で2番目に多いとされ、日本企業にとって児童労働問題は「対岸の火事」ではなくその防止・是正等の対応の強化が求められています。しかしながら、多くの日本企業は児童労働を含む人権リスクの世界動向の把握が追い付いておらず、具体的な対応に踏み切れていません。
こうした状況を踏まえ、デロイト トーマツ コンサルティングは特定非営利活動法人ACEと株式会社オウルズコンサルティンググループと共同で、世界の児童労働の最新の実態や企業側のリスク及び対応事例、政府・国際機関・NGO等の取組み状況等を調査し、児童労働白書としてまとめました。児童労働に関して包括的かつ体系的なレポートが作成されたのは国内では初めてのことです。
児童労働白書概要
白書の第1章では、最新の児童労働関連の統計や新型コロナ感染拡大による影響、主要9産品における児童労働の実態や潮流等を詳細に掲載しています。第2章は国際機関や先進国・途上国政府、NPO等の児童労働への取組みをまとめ、児童労働分野における主要アクターの把握を可能とします。第3章はビジネスにフォーカスし、児童労働に関する企業のトラブル事例や取組み事例を掲載し、実際に企業が抱えるリスクや実施すべき取組みを明らかにしています。
多くの企業担当者や関係ステークホルダーが本白書を通して児童労働への理解を深め、児童労働への取組みを推進していくことを期待します。
目次
第1章 国際的な児童労働の実態
- 第1節 児童労働の概観
- 第2節 産品別の児童労働の実態 (コーヒー、カカオ、砂糖、パーム油、タバコ、コットン、金、コバルト、魚介類)
- 第3節 先進国における児童労働 (欧米および日本における児童労働)
- 第4節 新型コロナウイルス感染拡大の児童労働への影響
第2章 児童労働撤廃に向けた取り組み
- 第1節 国際機関による取り組み
- 第2節 各国政府による取り組み(先進国/途上国政府)
- 第3節 NPO・NGO等による取り組み
第3章 ビジネスと児童労働
- 第1節 ビジネスと人権に関する議論の潮流
- 第2節 児童労働によるビジネスへの負の影響
- 第3節 企業による児童労働撤廃への取り組み
- 第4節 ビジネスと児童労働に関する課題と展望
Appendix
- i. 近年の世界の児童労働関連 調査・レポート一覧
- ii. 児童労働撤廃に取り組むNPO・NGO一覧(国内)
- iii. 児童労働撤廃に取り組むNPO・NGO一覧(海外)
「児童労働白書2020」のダウンロード
「児童労働白書2020」はPDFにて用意しております。
「ダウンロード」ボタンより入手することが可能です。
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