デロイト トーマツ調査、8割超の企業でAIを利活用、AI投資の目的は「新規ビジネス創出」が「既存ビジネス売上増」を上回る ブックマークが追加されました
ニュースリリース
デロイト トーマツ調査、8割超の企業でAIを利活用、AI投資の目的は「新規ビジネス創出」が「既存ビジネス売上増」を上回る
- 85%がAIを利活用。その半数以上でPoCから本番運用までのプロセスを経ており、AI利活用の原動力に
- AIへの投資目的は、業務効率化が多いものの、新規ビジネス創出が既存ビジネス売上増を上回る
- AIによる全社的なイノベーションの取り組み、それを支える標準化、効率化、ガバナンス、内製化に課題
- AI固有のリスクの存在に気付いても、その対処方法に課題を抱えている傾向が示される
2021年3月31日
デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、CEO:永田 高士)は、日本企業の「AIガバナンス サーベイ」を発表します。本調査は企業におけるAIの利活用状況やリスク管理・ガバナンス構築の実態調査を目的に実施し、91件の有効回答を得ました。
本調査ではAIの利活用が進んでおり、その目的も新規ビジネス創出を挙げる企業が増えてきていることが示され、企業はAIを徹底的に活用して新たな価値を生み出す時期に本格的に入っていくと考えられます。そのためには、単独の取り組みから全社的なイノベーションに広げていくこと、それを支える標準化、効率化、ガバナンスおよび内製化に課題があることも本調査で浮かび上がってきました。またAI固有のリスクへの対処についても不十分である実態が示されました。
1. 85%がAIを利活用。その半数以上でPoCから本番運用までのプロセスを経ており、AI利活用の原動力に
AIを「利活用している」と答えた回答者85%となり、昨年度の56%と比べて29ポイント上昇し、ほぼ全ての企業でAIのビジネスへの利活用がされていることが分かりました。また、このうち、本格運用前の技術検証であるPoC(Proof of Concept)を実施している企業は70%となり、昨年の47%から23ポイント上昇、更に、PoCを実施した回答者のうち81%が本番運用まで至っています(昨年度73%) 。PoCを実施し、本番運用に至るプロセスを通じてAIの利活用を行う企業は全体の56%となっており、昨年度の33%と比較して、大きく進んでおり、AIの利活用の原動力になっていることがわかります。
2.AIへの投資目的は、業務効率化が多いものの、新規ビジネス創出目的が既存ビジネス売上増を上回る
AIへの投資目的には、昨年同様「業務効率化」(86%)や「コスト削減」(58%)といった投資の成果が見積もりやすい領域から取り組む回答が多く見られました(図表1)。一方 昨年45 %だった「新規ビジネス創出」 が11ポイント増の56%となり、「既存ビジネス売上拡大」(49%)を上回り、AIを既存ビジネスだけではなく、新しいビジネスにも活用していこうとする様子も見て取れました。COVID-19の影響により社会変容が起きる中で、企業が事業変革に向けてAIを活用する表れと考えられます。
3. AIを利活用した全社的なイノベーションの取り組み、それを支える標準化、効率化、ガバナンス、内製化に課題
AI利活用に関して、戦略、人材、プロセス、データ、テクノロジーの5つの観点での課題を問いたところ、戦略における課題として「継続的なイノベーションの文化が組織に組み込まれていない」(51%)と答えた回答者が最も多く、AIの利活用が進む中で、単独の取り組みから全社的なイノベーションの取り組みに広げていくことに課題があることが伺われます。人材面では「組織的な変更を推進できる人材がいない」(52%)、プロセス面では「AIを活用するためのアジャイルなプロセスがない、十分に確立されていない」(63%)、データにおいては「データの所在が散らばっている」「データの品質管理や整備がされていない」(それぞれ46%)の回答がそれぞれ最も高い回答割合となっており、全社的なイノベーションを支える標準化・効率化・ガバナンスの課題も挙がっています。また、テクノロジー領域では「適切なベンダー選定が行えていない」(25%)に比較して、「内製化が進んでいない、内製化で取り組むべき範囲が明確になっていない」の回答が63%と高い割合を示しており、標準化・効率化・ガバナンスの実現に向け、内製化を進める必要性を感じていると考えられます。
4. AI固有のリスクの存在に気付いても、その対処方法に課題を抱えている傾向が示される
AI活用におけるリスクについて対応状況を尋ねたところ「認識しているが対処法がわからない」と回答した回答者はどのリスク項目においても20%程度存在しました(図表2)。AI固有のリスクの存在に気付いていても、その対処方法について課題を抱えている傾向にあると言えます。また、「そのようなリスクのあるAIを利用していない」と答えた回答者がどの項目でも一番多く、リスクの小さいAIから活用を進め、AIの利用範囲が限定的になっている可能性が示唆されました。
デロイト トーマツ グループは、日本最大規模のプロフェッショナルサービスファームとして有する圧倒的な専門性・総合力と、データ・アナリティクスやデジタル・テクノロジーに関する最先端の実践的知見を融合することで、経済社会や産業の将来像を指し示し、その実現に必要とされる経営変革と社会イノベーションを加速させる「経済社会の変革のカタリスト」となることを目指しています。企業のAI利活用のアドバイザリー業務においては、データ・アナリティクスの専門家組織であるデロイト アナリティクスを中心にAI利活用推進体制の構築や、AIガバナンスの態勢評価をはじめとした各種サービスを提供しています。これにより、組織レベル・プロセスレベルで攻めと守りのバランスが取れ、かつ安心感や信頼感を持ってAIの利活用を企業が推進できる態勢の実現をサポートしています。
■「AIガバナンス サーベイ」概要
調査目的 |
企業におけるAIの利活用状況やリスク管理・ガバナンス構築の実態調査 |
---|---|
調査期間 |
2020年12月8日~2021年1月31日 |
調査対象 |
日本に拠点を置く全業種の全部門 |
調査方法 |
オンラインによるアンケート |
有効回答件数 |
91件 |
*図表は四捨五入により合計が100%にならない場合があります。
■調査結果の詳細
全設問の結果データについては、こちらよりご覧いただけます。
報道機関の方からの問い合わせ先
デロイト トーマツ グループ
広報担当 内山
Tel: 03-6213-3210
Email: press-release@tohmatsu.co.jp
デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約30都市以上に1万名を超える専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。
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