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ニュースリリース
デロイト トーマツ、「Tech Trends 2021 日本版」を発行
基幹システムやSCMのビジネス戦略に合わせたアライン、AIや機械学習などの労働力へのシフト、従業員・顧客への新たなエクスペリエンスの提供など、ビジネスに影響を及ぼすテクノロジーを解説
2021年5月20日
デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:永田高士)は、デロイト グローバルがビジネスに関わるテクノロジー領域の最新動向や分析をまとめたレポートをもとに、日本独自の視点を加えた「Tech Trends 2021 日本版」を発行しました。
グローバル版では12回目、日本版では7回目の発行となる本レポートでは、COVID-19の影響による社会環境の変化で浮き彫りになったビジネス継続の難しさへの対応や、新たな働き方の模索に対するヒントが含まれています。
2021年の「Tech Trends」は9つの章で構成されており、「新たな戦略へのかじ取り」、「コアの再生」、「サプライチェーンの寸断」の3章では、すべての企業はビジネス展開の主軸にITを活用したテクノロジーカンパニーへ進化していくという考えを前提に、ビジネス成長や新規事業創出などにおいて企業の基幹システムやSCMなどをいかにビジネス戦略にアラインさせていくか、という論点になっています。
「MLOps(機械学習基盤):AIの工業的活用」、「マシンデータ革命:データが機械を巡る」、「ゼロトラスト: 決して信頼せず、常に検証する」の3章では、企業全体で徐々に活用範囲が拡大しているAIや機械学習を更に多くの業務に取り入れることで、これまでのヒトによる労働力に加え、新たな労働力としてテクノロジーを活用していく事例が挙げられています。これは日本における労働人口の減少やIT 要員の高齢化などに対する解決策の一つとして参考となるでしょう。
「デジタルワークプレイスの再起動」、「70億人のオーダーメイド:デジタルとフィジカルの融合」の2章では、デジタルとリアルの境界線が曖昧になる中、顧客、従業員などのステークホルダーに対し、データ活用したパフォーマンスやエクスペリエンスの最大化などを取り上げています。
また、近年エシックスがビジネスパフォーマンスに直結することが認識されており、「DEI(DEI:Diversity, Equity, Inclusion)テクノロジー:エクイティのためのツール」の章では、企業の多様性、公平性、インクルージョンへの取り組みにおいて、テクノロジーを活用した従業員との関係性構築について考察しています。
詳細は以下リンク先より、レポートPDFをダウンロードのうえご確認ください。
「Tech Trends 2021日本版」 レポート全文 |
「Tech Trends 2021 日本版」が取り上げる9つのテーマと日本の動向
トレンド1 新たな戦略への舵取り
不確実性の高い環境下においては事業戦略自体の在り方も変わりつつある。デジタル変革が進展していく現状において、企業の競合優位性を築くためには事業戦略とテクノロジー戦略の融合が不可欠であり、また事業戦略の有効性を持続するためにはテクノロジー戦略の策定プロセスも動的な改変が可能なプロセスへ変革していく必要がある。
トレンド2 コアの再生
基幹システムは導入当時は知恵を振り絞って生みだしたものでも、時が経つにつれ事業環境も変わり、アドオンが増えブラックボックス化し、導入当初の価値は永続していない。今後各企業が構築するDX基盤は、現時点で最高なものとして位置づけるのではなく、不確実性の高い経済社会において、事業環境の変化に応じて進化・変容できる作りにするべきである。
DXの神髄はデータ利活用であり、データ利活用のメリットを最大化するためには、企業のデータ諸元である基幹システムの「クリーン化」、「柔軟化」、「一体化」の推進が重要な施策要素として位置づけられる。
トレンド3 サプライチェーンの寸断
サプライチェーンがコストセンタからバリュードライバへの転換を求められおり、顧客のセグメントに合わせた新たなサプライチェーンの構築が必須である。これまでのサプライチェーンは、顧客側での需要の変化を各機能がそれぞれ理解・調整しながら次の機能に順番に伝えていくフローだったが、そのスピード感では市場や顧客の変化に追随できない。今後は各機能がその変化を同時に察知し、必要な部門同士が相互連携しながら、コンカレントに意思決定や問題解決をする業務、まさに連鎖したチェーン型から相互連携するネットワーク型への転換が必要となり、「サプライチェーン」から「デジタルサプライネットワーク」への昇華が肝要である。
トレンド4 MLOps:AIの工業的活用
グローバルでは機械学習の活用拡大に向け、MLOps(機械学習のDevOps)のアプローチによりプロセスの自動化・標準化と連携強化を行い、開発ライフサイクルの短縮と工業化を図っている企業が増えている。一方、日本企業では全体の半数以上がAIの利活用を開始しているものの、その半数以上がPoC(概念実証)まで到達できていない。AI を利活用できていない理由については、企画・運用ともに人材が不足していることがあげられる。
人材不足に関してはすぐに解決を図ることは困難であるため、いかに数少ないAI・機械学習のケイパビリティを持った人材を中心に体制を組み、AI・機械学習利活用のオペレーションを回せるかが肝要である。
トレンド5 マシンデータ革命:データが機械を巡る
機械学習が人間の意思決定を強化し、場合によってはそれに取って代わろうとしている。機械学習戦略を成功させるには、人だけではなく機械がデータを消費することを前提として、データバリューチェーンを徹底的に再構築する必要がある。今後1年半から2年の間に、企業はデータを収集し、蓄積し、処理する方法を見直すことによってこの課題に対応するようになると予想される。
日本企業においては、特にAIや機械学習導入への意欲は高く、社内外のさまざまなデータを収集、加工、分析、共有し、そこから導出した洞察や隠れた要素に基づく意思決定、人材育成、業務効率化などの検討が盛んである。これらの神髄は「データ」にあり、着目すべきはいかに良質なデータを大量に確保し、それらを適切にAIや機械学習のツールにフィードすることができるかで、「データ利活用の台所となるプラットフォームの設計」、「良質なデータへのアクセスの確保」の2点が重要である。
トレンド6 ゼロトラスト:決して信頼せず、常に検証する
ゼロトラストは企業のセキュリティにかかる考え方の変革であり、組織的および文化的変化に備える必要がある。グローバルにおいてゼロトラストに取り組む先進的企業はこのマインドシフトをきちんと受け止め全社的取り組みとしているが、日本においては部分的な対応と考えているケースが散見され、真のゼロトラストの浸透は道半ばである。
ゼロトラスト実現にかかる検討要素は多岐にわたる一方で、さまざまな技術要素に関連性があるため、個別領域ごとに検討を進めていくと、個別最適になるだけではなく、企業全体のITとして目指す姿が総崩れになり、ゼロトラストだけでなくその先にあるDXやビジネス変革も失敗することになりかねない。重要なことは、ビジネスとして目指す方向性を踏まえゼロトラストの目指す姿を定義して構想策定を行っていくことである。
トレンド7 デジタルワークプレイスの再起動
グローバルでは、多くの組織でリモートとオフィスで働く従業員がそれぞれ業務を遂行できるデジタルワークプレイスを構築し、管理する方法を検討している。従業員が活用するツールとプラットフォームによって生成されるデータにより、組織は個々の生産性とチームのパフォーマンスを調整しながら、さらにカスタマイズされた従業員のエクスペリエンスを提供できるようになる。日本においてもテレワークが一つの働き方として浸透してきているが、多くの企業では従来の働き方のままテレワークのためのツール導入にとどまっている状態であり、従業員にフォーカスした対策が不十分であるといえる。人口減少や終身雇用の崩壊に伴う人材流動性の高まりなどにより、従業員エクスペリエンスの高度化は喫緊の課題となってきている中で、コロナ禍という世界的危機を契機に変革を実現するか、変化を恐れて手をこまねくか、将来の企業の命運は今このときの覚悟にかかっている。
トレンド8 70億人のオーダーメイド:デジタルとフィジカルの融合
AI、IoT、AR/VRなどテクノロジーの発展と共に、デジタルシフトは着実に進行している。デジタルテクノロジーは組織や個人が直面するあらゆる問題や状況をより良く理解し、解決することを支える。しかし、デジタルへの依存が高まるにつれ、多くの人はより人間的な体験を求めるようになっている。サービスはそれがフィジカル(物理的)なものであれ、デジタルのものであれ、もはや単独の体験として扱われることはなく、ユーザはそれらが統合された上でパーソナライズされたサービスを求めている。さらにテクノロジーの発展やデジタルシフトが一層進む中で、それと共にフィジカルとデジタルの融合の試みも加速し、対象もユーザを超えて、従業員やビジネスパートナーなどのステークホルダーにも広がることが想定される。
トレンド9 DEIテクノロジー:エクイティのためのツール
グローバルの多くの組織では、多様性、公平性、インクルージョンをビジネス活動に欠かせないものとして取り入れている一方、日本の多くの方々にとってまだDEIはなじみの薄いものである。
DEIを実現していくには、データ活用やデジタルツール活用が不可欠であり、自社のタレントマネジメントシステムのみならず、そのほかのシステムにあるデータをどのように活用するか、あるいは新たにどのようなデータ・デジタルツールを取得すべきかなど、今後、各企業において本格的な検討が進んでいくことになるであろう。
デロイト トーマツ グループ 執行役員 山本 有志によるコメント
「DX推進には経営トップやマネジメントの強いコミットメントとリーダシップが欠かせないが、経営トップのDXの捉え方により、企業の状態を大別すると2つに分かれている状況である。
1つは、経営トップが『DXを推進すべし」というメッセージを出すものの、DX環境を整えることが何を目的としたものか具体化されていない、あるいは議論が煮詰まらない状態のまま、マネジメント層が現場に号令を落とし、ITソリューションを導入することがDXであるといったキーワードと理解し右往左往している会社。これは、数十年前にERPがはやり言葉となりパッケージ導入が目的となったように、模倣やテクノロジー導入主導のDXの取り組みに陥っているように見受けられる。
2つ目は、これまで既存ビジネス成長や新規ビジネスの創出においてDXの取り組みを一定程度進めてきたが、企業全体の競争力を高めるためには内部のIT 環境(ITマネジメント、組織、アーキテクチャなど)を再度見直して、ファンダメンタルな部分を強化していくことが必要と認識している企業である。こちらの企業群は、CX向上、EX向上といった目的が明確となっており、そのためのニーズをしっかり捉えた具体的な取り組みが見えている。
この2つの違いは、もちろんこれまでの各企業におけるDX推進の進捗度合いや業界特性、ビジネス環境の違いからでてきているものもあるが、いかに企業のマネジメント層が企業変革、組織風土改革の大きなアジェンダを実現するためのツールとしてのDX推進を意識できているかが分かれ目ではないかと考える。
TechTrends2021の各章では、技術トレンドだけではなく先進的企業の取り組みが紹介されており、取り組みの目的や目指す姿が示されている。本レポートをご覧いただき是非技術活用の背景を読み解き、自社とのギャップを捉えつつ、自社にとって参考となる示唆を拾い上げてほしい。本編が日本企業におけるデジタルトランスフォーメーション推進のヒントとなれば幸いである。」
デロイト トーマツ グループは、日本最大規模のプロフェッショナルサービスファームとして有する圧倒的な専門性・総合力と、データアナリティクスやデジタル・テクノロジーに関する最先端の実践的知見を融合することで、経済社会や産業の将来像を指し示し、その実現に必要とされる経営変革と社会イノベーションを加速させる「経済社会の変革のカタリスト」となることを目指しています。
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