ニュースリリース

デロイト トーマツ調査、企業のコンプライアンス意識は高まるが不正発生は50%で横ばい、1社あたりの不正発生率が上昇

「企業の不正リスク調査白書 Japan Fraud Survey 2024-2026」、国内714社が回答。

  • 不正が6件以上発生した企業の割合は14%で前回より5ポイント増加、コロナ禍後のオフィス回帰により不祥事が発覚しやすい状況へ
  • ガバナンス上で重視するのは、コンプライアンス、不正・不祥事の防止や対応などが50%以上を占める一方で、経営者の監督・監視は18%と意識が低く課題

2024年10月9日

デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:木村研一、以下「デロイト トーマツ」)は、「企業の不正リスク調査白書 Japan Fraud Survey 2024-2026」を発表します。本調査は、無作為抽出した上場企業・非上場企業を対象に2024年5月から7月にかけて、不正の実態および不正への取り組みに関するアンケート調査を依頼し、714社から回答を得たものです。2006年より定期的に実施しており、今回で9回目となります。

今回の調査では、不正・不祥事が法令違反に及び、ガバナンス不全によると思われるものがこれまで以上に増加している状況を踏まえ、各社のコンプライアンスおよびガバナンスに対する意識、取り組み状況を重点的に分析しています。これらの調査結果を「不正・不祥事の実態」、「コンプライアンスリスクへの認識」、「不祥事対応に向けたガバナンス」の3つに分類し、日本企業の不正・不祥事対応の最新傾向を解説します。
 

「企業の不正リスク調査白書 Japan Fraud Survey 2024-2026」はこちらからご覧ください

 

 

2022年に比べ1社あたりの不正発生率が上昇
今後の不正リスクへの危機感が高まっている

過去3年間に何らかの不正・不祥事が発生した上場企業は、前回調査と同じく50%となっています。その一方で、6件以上発生した企業の割合は14%で5ポイント増加しており、1社あたりの発生率が高まっている結果となりました。これは、コロナ禍のリモートワークが解かれる中で、不祥事が発覚しやすい状況へ変化し、発覚が先行している企業とそうでない企業に格差が生じていることを示唆しているものと考えられます。今後、全体にこういった傾向が波及していく兆候とも考えられ、足元の不祥事報道の増加とも相まって、不正リスクへの危機感の高まりにつながっています。また、国内の本社や関係会社と海外の関係会社で明らかな傾向の違いがあり、国内は会計不正、データ偽装などの組織不正の発生率が高く、海外ではサイバー攻撃が目立つ結果となりました。

 



コンプライアンス遵守への意識の高まりに対し、海外やサードパーティを含むリスクの把握・評価・対応が不十分

93%の企業が直近20年間でコンプライアンス違反行為の範囲が広がっていると考えており、法令だけでなく社会的・倫理的なルール違反が含まれると考える企業が88%にも上りました。一方で、遵守すべき法令を海外含め網羅的に確認できている企業は10%にとどまっています。リスク評価、モニタリング、サードパーティに対する対応が十分ではないとする企業はいずれも約70~90%となっており、コンプライアンス意識の高まりに対し、海外やサードパーティを含むリスクの把握・評価・対応が追い付いていないことが明らかとなっています。

 

ガバナンスにおける経営者に対する監督・監視への意識の低さ
内部通報制度は改善の兆し

ガバナンス上で重視するものとして、コンプライアンス、不正・不祥事の防止および対応、グループガバナンスが50%以上を占める一方で、経営者の監督・監視は18%となりました。社外取締役への期待も、リスクマネジメント、危機対応およびリーダーシップへの期待を持つ企業は1%~4%にとどまっており、助言機能を重視していることを示唆しています。社外取締役の選定プロセスにも課題を抱えるなど、ガバナンスのあり方を考えさせる結果となりました。

不正関連の内部通報があった企業の割合は前回の35%から41%に6ポイント増加しており、匿名性や専門部署の設置といった運用面における問題に意識が向けられ始めるなど、改善の兆しも見られました。

 



【調査概要】

調査主体:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社

調査期間:2024年5月~7月

調査方法:Web+紙アンケート方式。上場企業・非上場企業から無作為抽出で一定数の企業に電子メールで回答用サイトを案内又は郵送で調査票を発送(回答件数 714件)

<調査結果に関するお問い合わせ先>

デロイト トーマツ Fraud Survey 2024-2026 事務局
Email: fraud2024@tohmatsu.co.jp
 

<報道機関の方からの問い合わせ先>

デロイト トーマツ グループ 広報担当 井村、菊池
Tel: 03-6213-3210 Email: press-release@tohmatsu.co.jp

デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ グループ合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約30都市に約2万人の専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト、(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)、そのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれらの関係法人(総称して“デロイトネットワーク”)のひとつまたは複数を指します。DTTL(または“Deloitte Global”)ならびに各メンバーファームおよび関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体であり、第三者に関して相互に義務を課しまたは拘束させることはありません。DTTLおよびDTTLの各メンバーファームならびに関係法人は、自らの作為および不作為についてのみ責任を負い、互いに他のファームまたは関係法人の作為および不作為について責任を負うものではありません。DTTLはクライアントへのサービス提供を行いません。詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。

デロイト アジア パシフィック リミテッドはDTTLのメンバーファームであり、保証有限責任会社です。デロイト アジア パシフィック リミテッドのメンバーおよびそれらの関係法人は、それぞれ法的に独立した別個の組織体であり、アジア パシフィックにおける100を超える都市(オークランド、バンコク、北京、ベンガルール、ハノイ、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、メルボルン、ムンバイ、ニューデリー、大阪、ソウル、上海、シンガポール、シドニー、台北、東京を含む)にてサービスを提供しています。

Deloitte(デロイト)は、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリー、税務・法務などに関連する最先端のサービスを、Fortune Global 500®の約9割の企業や多数のプライベート(非公開)企業を含むクライアントに提供しています。デロイトは、資本市場に対する社会的な信頼を高め、クライアントの変革と繁栄を促し、より豊かな経済、公正な社会、持続可能な世界の実現に向けて自ら率先して取り組むことを通じて、計測可能で継続性のある成果をもたらすプロフェッショナルの集団です。デロイトは、創設以来175年余りの歴史を有し、150を超える国・地域にわたって活動を展開しています。 “Making an impact that matters”をパーパス(存在理由)として標榜するデロイトの45万人超の人材の活動の詳細については、(www.deloitte.com)をご覧ください。