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情報発信者のための偽情報と誤情報の現状報告

「偽情報」や「誤情報」という言葉が一般的に認知され始めている一方で、具体的な対策や拡散される構造的な問題についてはまだ広く認知されていません。偽情報や誤情報は、SNS等の普及により拡散のスピードが早く、また、一度拡散してしまうとインターネット上に残り続けてしまいます。そのため、私たちひとりひとりがこの問題に対してより一層理解や関心を深めていくことが必要になります。今回は、これまで注目されることが少なかった情報を発信する企業側へのアンケート調査を実施しました。

情報発信者のための偽情報と誤情報の現状報告 ~意識調査結果から見える実態と今後の方向性~

デロイト トーマツ グループの有限責任監査法人トーマツは、偽情報と誤情報に関する意識調査を実施しました。

昨今、「偽情報」や「誤情報」という言葉が、災害や国際情勢などの報道の際に取り上げられることも増え、一般的に認知され始めていると言えます。一方で、用語自体は知っているものの、具体的な対策や偽情報、誤情報が拡散される構造的な問題については、今なお様々な場で議論がなされているのが現状です。

今回の調査は従来の調査で多かった「情報の受け手」側への調査ではなく、これまであまり調査がなされていなかった「情報を発信する」側の企業や官公庁に焦点を当てた調査となっており、新たな角度から問題の重要性を浮き彫りにしました。また、調査対象には「官公庁に勤務する公務員」も含まれている点も注目に値するのではないでしょうか。その他、上場企業の役員・従業員、偽情報や誤情報に対して業務関与する担当者や広報、IR、広告宣伝、マーケティング担当者など、実際に対応を行っている現場の声にスポットを当てた調査となっています。

より信頼性の高い情報環境を構築するためには、情報の発信者側が正確な情報を提供する意識を高めるとともに、受け手側も情報を適切に評価し、批判的な思考を持つことが重要です。

用語定義:

偽情報と誤情報の違いは下記の通りです。

【偽情報(dis-information)】

意図的/意識的に作られた虚偽の情報

なにかの狙いを持って作られたウソ/虚偽の情報なので、勘違いではない

【誤情報(mis-information)】

勘違い/誤解により拡散した間違い情報

勘違いや誤解による情報のため、意図的ではなく悪意はない
 

調査結果:

主な調査結果は以下の通りです。

図1. 認知状況

「偽情報」や「誤情報」、「悪意のある情報」の認知状況を調査したところ、全体の8割以上が用語を認知しており、「詳しく知っている」と回答した割合は全ての用語で3割以上となりました。

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図2. 被害事例の認知度

ニュースからの情報も含めた偽情報、誤情報による企業、クライアント業務などへの被害事例の認知度を尋ねたところ、全体の7割以上が被害事例の「内容を聞いたことがある」と回答しました。また約26%の回答者は「詳しく知っている」と回答しています。

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図3. 被害の影響内容

今回の調査結果から、偽情報・誤情報の被害の影響として、過半数以上が「評価や評判への影響」、「対応に関連する人や経済的コストの発生」と回答し、評価や評判の低下や、被害対応要員等のコストの発生に影響を及ぼす可能性が高いことがわかりました。 また、約35%以上の回答者は「株価への影響」、「クレームの発生」を懸念しており、企業の信頼性や顧客満足度に影響が及ぶことも示唆しています。

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調査の概要:

調査期間:2024年1月4日~1月9日

調査対象者:官公庁に勤務する公務員、または東京証券取引所に上場している会社に勤める役員もしくは従業員のうち下記のいずれかに携わる方

  • 偽情報や誤情報に関わりのある業務
  • 広報IRや広告宣伝、マーケティング

サンプル数:512人

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