調査レポート

2022年度 食生活に関する消費行動調査

コロナ禍で消費者の生活は大きく変容し、在宅時間の増加やオンライン購買の加速などの行動面に加え、健康やサステナビリティへの関心の高まりなどの意識面での変化が起きている。これらの生活様式の移行に伴う消費者の食生活に関する価値観や消費実態の変化を捉え、新たな消費者像を把握するため、2022年4月、全国で20歳~79歳の男女個人5,000人を対象に、WEBアンケート「食生活に関する消費行動調査」を実施した。

食生活に関する消費行動調査

本調査では、1.性格・価値観(全般)、2.食生活の価値観・スタイル、3.消費における購買チャネル利用、4.メディア利用、5.代替肉やラベルレス飲料に代表される新商品・サービスの利用実績・今後の利用意向の5つの分野について調査を行い、性/世代別に消費行動を分析した。

さらに、食意識や価値観を基にクラスター化した消費者セグメントごとの消費行動をまとめ、実態分析を行った結果から、企業が捉えるべきポイントを解説している。

本稿では、調査結果より抜粋し、食クラスターの分析の結果を一部紹介する。


 

食生活における消費者クラスター

健康志向、環境オーガニック志向、話題性重視、ジャンクフード好き、価格感度、贅沢志向、こだわりなし等、食にまつわる価値観・ライフスタイルに関する設問から消費者を下記7クラスターに分類した。

  • クラスター1:丁寧な暮らし好きグリーンコンシューマー
  • クラスター2:質実質素系節約家
  • クラスター3:自分時間マイスター
  • クラスター4:無党派雑食系
  • クラスター5:生活習慣固定派手抜き族
  • クラスター6:トレンドキャッチャー
  • クラスター7:一点豪華主義グルメ族


 

各クラスターの傾向と特徴

各食クラスターの傾向と特徴

各食クラスターの傾向と特徴
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  • クラスター1:丁寧な暮らし好きグリーンコンシューマー
    シンプルで環境を意識したナチュラルな生活を好み、生活に自分なりの工夫・一手間を加えている。食生活はオーガニック志向が強く、健康についても強く意識している
    <ポイント>
    新しさやお得さよりもフードロス削減や環境に配慮した商品訴求をすることに加え、企業としてのサステナビリティへの取り組みを発信することが有効
  • クラスター2:質実質素系節約家
    暮らしにおいて上質さや独自性などの特別なこだわりはなく、物は長持ち・耐久性を重視している。食生活は、お得さ・時短を重視する堅実な暮らしを実践している
    <ポイント>
    節約を意識した計画的なまとめ買いをする傾向があることから、商品としての容量ラインナップを取り揃えることや、“お得用〇〇日分”といったお得感の訴求が有効
  • クラスター3:自分時間マイスター
    生活・物の選択では、定番商品を好み、価格はあまり気にしないが、独自のこだわりも持つ。食生活は、刺激物・ジャンクフード・お酒などを好み、自分の時間を楽しんでいる
    <ポイント>
    食でストレスを発散する傾向があり、刺激・味の濃いものを好む。量やカロリー・フレーバーなどで、心と胃を満たす訴求が有効
  • クラスター4:無党派雑食系
    食に関しては、重視する点が「無い」と回答し、最もこだわりがなく、関心が薄い層。生活に対しても特出したこだわりは持たず、手間を避ける傾向にある
    <ポイント>
    食にこだわりない層が多く、主要購買者への訴求とワンストップ購買の実現がポイント。情報をあまり参考にしないため主要チャネルでの配下率・棚確保が有効
  • クラスター5:生活習慣固定派手抜き族
    生活に関しては、ブランドや独自性追求などのこだわりはなく、コストパフォーマンスを重視する傾向。食生活もお得さを優先。調理の際は、面倒をさけ、なるべく時短したい
    <ポイント>
    新しいことや流行への感度は薄く、生活が習慣化しがちなことから、従来型の価格訴求やアナログ媒体(店頭・チラシ)での訴求が中心となるか
  • クラスター6:トレンドキャッチャー
    常に最新情報のアンテナを張り、新しく、話題性のあるものをチェックし、食生活も価格やサービスを吟味した上で商品を選択したいこだわり派。美容・ダイエットの話題に感度が高い
    <ポイント>
    他者からの評価を得られる話題性・新しさを訴求することが有効。実績が全くないものに関しては、避ける傾向があるためSNSにおけるインフルエンサー活用も一考の余地あり
  • クラスター7:一点豪華主義グルメ族
    生活では、ブランドや実績をしっかりチェックし、上質・こだわりある生活を実践したい。価格や質などの商品価値を吟味した上でこだわり逸品をセレクト
    <ポイント>
    商品を吟味した上で選択する傾向があり、情報媒体やチャネルも目的に沿って選択しているため、文脈にあった広告媒体の選定及び購入後の生活感や体験を訴求することが有効

■執筆者:デロイト トーマツ コンサルティング 合同会社 消費財チーム

 

山下徹/Toru Yamashita
デロイトトーマツコンサルティング マネジャー

外資系コンサルティング、スタートアップの立上げを経て現職。コンシューマ業界を中心に、新規事業開発支援、組織設計・立上支援、toCマーケティングの戦略立案・実行支援に従事。

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