調査レポート

世界の小売業ランキング2021

2019年度の世界の小売業の上位250社の総小売売上高は、前年度の4兆7,400億米ドルから増加し、4兆8,500米ドルに達した。為替変動調整後の対前年度比平均成長率は4.4%と、前年の4.1%を上回った。

新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大が続く中、世界では2021年に入りワクチンが普及し始め、今年の後半にもコロナによる悪影響が大幅に軽減されるはずとの見通しが立った。しかしその一方でコロナは、感染拡大が続いている国で経済を脅かし続け、さらには感染力の強い変異株が広まったことで新たな恐れがでてきている。また、感染拡大を抑え込んだ国であっても、再拡大を防ぐためのソーシャルディスタンスが経済に悪影響をもたらしている。政策立案者の喫緊の課題は、感染拡大を抑制し、コロナに苦しめられている国民を守り、承認されたワクチンの普及を加速させることである。この課題に対して、いかに的確かつ迅速に対応するかが、1年後の世界経済の道筋を決めることになる。

本レポートでは、2019年度(2020年6月30日までの会計年度)の世界の小売企業上位250社について、地域および商品セクターの観点から分析を行った。また、今後予想される世界経済の概況や、特に高成長を遂げた小売企業および新規参入企業についても考察した。

また、今年のレポートでは、次年度の「世界の小売業ランキング」で予想される内容のプレビューとしてコロナが2020年度(2021年6月30日までを期末とする事業年度として定義)に世界の小売企業上位25社の小売売上高成長率に与えた影響についても考察している。

本レポートの主要分析結果
  • 2019年度の世界の小売企業上位250社の総小売売上高は、4兆8,500億米ドルで、1社あたりの平均は194億米ドルであった。
  • 企業が上位250位にランクインするための最低総小売売上高は40億米ドルで、前年の39億米ドルから上昇している。
  • 上位10社は引き続き米国企業が独占しており、10社のうち7社は米国に拠点を置いている。
  • 上位250社の事業展開国数は平均11.1か国で、上位10社では13.0か国とよりグローバルに焦点をあわせて事業を展開しているが、上位10社の複数の企業が2018年以降、国外事業の売却を進めている。
  • 上位250社に占める企業の割合は、欧州企業が87社(34.8%)と最も多いが、上位250社の小売売上高に占める割合が最も高い地域は北米で、47.1%を占めている。
  • 商品セクター別では、日用消費財が上位250社に含まれる企業数が最も多く(135社:54%)、全体の数字をけん引する重要なセクターである。同セクターは、上位250社の2019年度の小売売上高の66%を占める。
  • アジア太平洋を拠点としている9社が、上位250社へ新たに加わった。
  • 急成長小売企業50社では、ECとディスカウントストアが高い小売売上高成長率を主導している。

原文(英語)レポートは以下よりご参照いただけます。

Global Powers of Retailing 2021

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