お知らせ

次世代CIOを対象にした「CIO Next Gens Academy」を日本で初めて開催

開催レポート:CIO Next Genns Academy

デロイト トーマツ グループのCIOプログラムでは、日本で初めてとなる「CIO Next Gens Academy」を2日間にわたってオンラインで開催しました。

当プログラムは、次世代CIOをお招きし、近い将来取り組む経営・事業課題の理解し、参加者同士での新たなネットワーク構築を目的としています。両日ともに、デロイト トーマツ グループのプロフェッショナルからの最新のインサイトの提供や同じ担当領域を担う立場として課題解決に向けた実事例や裏話も含むパネル、その後少人数でのグループディスカッションを行う流れで進行しました。

イベント サマリー

Day 1 - IT組織の強化

昨今のデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation、以下DX)の推進に加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大など。次々と変化の波が押し寄せる現代において、企業のCIOの責任範疇の範囲や深さが増大し、求められるスピード感がより加速しています。

その背景として、「CIO/IT部門に対する経営層からの期待値の変化」が挙げられ、すべての参加者も実際に経営層からの期待値の変化を感じられているということからパネルディスカッションがスタートしました。現状は「信頼あるオペレーター」であるCIO/IT部門が、今後「ビジネスの共同創作者」になりたいと考えているのに対し、CEOやCFOなどの経営層からはこれからはテクノロジーを活用してビジネス変革をリードするような「変革の先導者」になることを強く期待されている。このCIO/IT部門がなりたい像と経営層からの期待値に乖離があるという事実を認識する必要があると、デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 山本有志は説きます。

次に、変革の先導を担うIT部門が持つべき機能として6つのケイパビリティ(Deloitte Technology Capability Model)を紹介しました。今後は従来求められていた機能やフェーズ別の役割分担をするIT部門ではなく、ITをより広範囲-すなわちビジネス価値の創造や推進するという観点からITを捉え、そこから必要なケイパビリティに落とし込む重要性を解説しました。

デロイト トーマツ  コンサルティング 執行役員 田中衛はIT部門を機能させるには、組織形態も重要であると説きます。参考として、デロイト トーマツ グループにおけるIT組織体制を紹介したうえで、これにより、社内情報システムは標準化・効率化しやすく、外向けのビジネスでは各事業に適したIT戦略を個別で立てやすいといったメリットを享受できることが語られました。企業によって最適なITガバナンスの強さや位置付けは変わってきます。そのため、まずは自社の特性を把握したうえで、それに適したIT部門の組織構成を行うべきであると付け加えました。

 最後に、今後のIT組織についてです。これまでのITは、中核的なIT機能領域に分割され、プロジェクトごとの運用効率向上を目的として提供されてきました。しかし近年は、より部門横断的かつ高いアジリティを備えることで、全体のビジネス価値の推進をサポートするものとしてITが存在しています。そうした現状とともに、日本におけるアジャイル開発が未成熟であること、IT人材の確保や教育についてなどの課題感が共有されました。

Day 2 - ITコストポートフォリオの最適化

2日目は、デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 山本有志より一般的なIT予算管理の業務プロセスの概観が示されたところから始まりました。

まず着目したのは、予算枠の設定から確定までの流れにおける「投資区分ごとの配分設定」です。ここでは、投資の妥当性を評価するための基準や方針が不可欠であるとし、一例として4つの投資タイプに分類する手法が提示されました。新規事業の創出などに関わる「変革型」、事業拡大などを目的とした「成長型」、業務改善やコスト削減に貢献する「生産性向上型」、事業継続のために必要な「維持・運用型」の4つのタイプです。ただし、すべての項目に関係するIT投資や、どこまでをIT部門の予算として管理すべきかなどの課題感も同時に示されました。

効果測定にもつながる部分として、ITコスト費目の定義も重要であると続きます。ITコストの利用目的や受益者の視点など、費目を目的に分けて分類する手法を活用することで、ITコストを会計的な視点だけでなく、詳細かつ多角的に捉えることが可能になります。その結果、他社との比較検討がしやすくなる、ビジネスごとのコストがより明確になるなどのメリットも語られました。

次に、ITコスト費目のベンチマークとして世界の製造業における直近5年間のIT支出規模をいくつかの数字で見ていくと、いずれも増加傾向にあることが明示されました。同時に参加者にもリアルアンケートでそれぞれの企業の状況を確認し、約6割の参加者がIT投資額は増加傾向にあると回答しました。しかしながら、前述の例や半数以上の参加者の現状とは異なり、経営層からITコストの削減を求められる会社もあることも判明しました。重要なことは、ITコスト削減ではなく最適化したうえで、より計画的に投資をしていくことが重要との認識を示します。併せて、今後は原価償却費が下がる反面、クラウド化などでネットワーク利用料が飛躍的に伸長する恐れがあり、CIOやIT担当者がITコストの予算枠獲得のために奔走する未来を予測しました。

最終盤にて、デロイト トーマツ グループ CIO/CTO 執行役員 安井望はIT投資における根本的な課題とし、そもそも経営層のITへの理解不足が挙げます。これはある意味、経営層の理解を得ることがIT投資推進の肝になっているとも言えそうです。例えば「DXの推進」は、現状でも多くの経営層が求めています。ただ、本来DXを行うには、IT人材の内製化を拡大する必要があるのですが、「ITは外注してコスト削減を」との要求が同時になされているのす。経営層がこうした矛盾に気付いていない現状へ、警鐘が鳴らされました。さらには、すべてのIT投資でROIを追求することは無意味との見解も示されます。ROIは見るべき部分と見なくても問題ない部分とを把握し、経営層に根気よく伝えていくことの重要性が強調されました。

開催概要

開催日時  : 全2回

  • Day 1 : 3月 11日  (木) 16:00 -17:30  「IT組織の強化」
  • Day 2 : 3月18日 (木) 16:00 -17:30  「ITコストポートフォリオの最適化」
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