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新しいオフィスのあり方

新しい働き方に最適な働く環境「新しいオフィス」をオフィス再編で手に入れる

働き方改革やコロナ対策によりリモートワーク・在宅勤務が浸透し、新しい働き方が定着しつつあります。SDGs、ダイバーシティ&インクルージョンやウェルビーイングの実現も注目されるなか、従来のオフィスとは異なる、ニューノーマルに適した「新しいオフィスのあり方」について考察します。

新しい働き方に適した新しいオフィスのあり方

COVID-19感染拡大の影響により、日本でもリモートワーク・在宅勤務が急激に広まり、現在ではその定着が進んでいます。「ニューノーマル」という言葉が取り上げられるようになり、COVID-19前と現在では働き方が異なることも多く、 「新しい働き方」に適した「新しいオフィスのあり方」について議論となることがあります。

「新しいオフィスのあり方」と一口にいっても、オフィスの持ち方、オフィスの種類・形態、オフィスの役割・機能等、様々な切り口・要素があり、働き方が多様になるにつれ、オフィスのあり方も広がりを見せています。

新しいオフィスのあり方:持ち方

これからのオフィスの持ち方は、働き方「勤務タイプ」により変わってくるのではないでしょうか。

  • 「従来型」:業務継続にあたり出社が必要な企業(出社率:80%~100%程度)では、働き方に大きな変化がないため、原則、オフィスも現状維持となります。
  • 「ハイブリッド型」:リモートワークと出社を併用する企業(出社率:50%程度)では、従来型オフィスを見直す必要があります。フリーアドレスの導入や個人ロッカーの廃止等の施策を採用することにより、オフィスの縮小・返還が見込めます。
  • 「リモートワーク型」:ほとんど出社を要しない企業(出社率:0%~30%程度)では、理論上は必要最低限の機能を備えたオフィスで十分となり、大幅なオフィスの縮小・返還が可能となります。

新しいオフィスの持ち方をハイブリッド型・リモートワーク型企業に見出すと、自社オフィスは必要な分だけを持ち、その規模は縮小の傾向にあると考えられます。

勤務タイプごとのオフィス対応策
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新しいオフィスのあり方:種類・形態

従来、オフィスといえば、本社・支社・営業所等の種類による分類や、日常利用する所属のオフィス・一時利用するサテライトオフィスという利用形態による分類で区別していました。新しい働き方が浸透するにつれ、ホームオフィス(自宅)だけでなく、シェアオフィス・コーワーキングスペースに代表されるサードプレイスオフィスという新たな分類体系が台頭してきました。また、一口にサテライトオフィスといっても、自社専用のもの、グループ関連会社と共用のもの、シェアオフィスを法人契約して利用するもの(他社と共用)等、所有・利用形態が異なることもあります。今後は、働き方に合わせて選択できる複数種のオフィスが必要になるでしょう。

 

新しいオフィスのあり方:求められる役割・機能

今までのオフィスは、社員全員が出勤し、そこで執務を行うための場所でした。リモートワークの導入により、オフィスでなくとも執務が可能になった現在、オフィスは単なる執務スペースではなく、何か別の付加価値があるスペースであることが求められてきています。

リモートワークが中心の企業にとって、オフィスはリアルで繋がれる貴重な場所になりつつあります。そのため、新しいオフィスでは、コミュニケーション・コラボレーションの促進や企業文化・風土の醸成といった目的・機能が注目されるようになってきています。具体的には、会話が弾むようにリラックスできるカフェのような雰囲気のオフィスや、コミュニケーションが促進される動線を考えて単調・直線的でなく雁行・曲線的にするデスク配置等の例があります。

また、オフィスが必ずしも必要でない今、新しくオフィスを持つ目的としては、社内外の人々にとって象徴・話題となる立地にも着目されることがあります。フラッグシップ機能を期待して、都心の一等地や企業イメージに適した街を選んでオフィスを設ける事例もあれば、逆に地方創生・コロナ対策・BCP(事業継続計画)等を目的に本社機能を地方に移転する事例もあります。

従来のオフィスは企業により大差のない・代わり映えのないものでしたが、これからの新しいオフィスは、企業理念や働き方コンセプトが色濃く反映された企業独自のオフィスが増えていくのではないでしょうか。

 

新しいオフィスの効果

新しい働き方に伴いオフィスを見直す場合、従来の固定席をフリーアドレス席や簡易な打合せが可能なカフェ席・ファミレス席へ変更することが多く、結果としてオフィス面積が減少する傾向にあります。そのため、新しいオフィスの効果は固定費削減に注目が集まることが多いのですが、それだけではありません。働き方と働く環境が見直されることにより、業務効率化、ワークライフバランスやウェルビーイングの向上にもつながります。多様で魅力的な労働環境を提供することにより、離職率の低下や優秀な人材を確保しやすくなることもあるでしょう。新しいオフィスには様々な複合的な効果があり、企業価値向上につながります。

もちろん、新しい働き方の代表格であるリモートワーク導入には、メリットだけではなく、社内コミュニケーションの減少、セキュリティリスクの増大、勤怠管理・評価制度の複雑化等のデメリットもありますが、いずれも各種システムの導入や業務の進め方の工夫、人事制度の見直しなどにより改善・克服が可能なものです。

リモートワークに伴うオフィス再編の方向性
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新しいオフィスを手に入れる:デロイト トーマツのオフィス再編アドバイザリーサービス

新しい働き方に適したオフィスに変えるには、オフィスの再編が必要になります。従来のオフィスは画一的な箱であり、単に執務環境としての機能を提供すればこと足りましたが、わざわざ出社するこれからの新しいオフィスは、企業理念を体現できるような付加価値や目的・意味のあるオフィスであることが求められます。

新しいオフィスづくりは、流行りのカフェ風オフィスやイノベーション型オフィスをただ真似するのではなく、経営理念・事業戦略や人事戦略・タレントマネジメント等の上位概念を働く環境に落とし込み、新しいオフィスに求められる定性的な役割・機能を明確にする必要があります。また、上位概念からのコンセプトだけでなく、必要座席数・床面積などの定量的なオフィス機能も十分に検討する必要があります。

当社は、中立的立場の不動産専門家として、オフィス再編の構想立案・ロードマップ策定業務を提供しています。SDGs、ダイバーシティ&インクルージョンやウェルビーイングの実現に向けて、ニューノーマルな新しいオフィスづくりを支援します。

オフィス再編アドバイザリー業務概要(不動産に関連する事項のみ)
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【執筆】
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
不動産アドバイザリー

(2022.8.25)
※上記の社名・内容等は、掲載日時点のものとなります。

 

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