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ASBJ:議事概要別紙(審議事項(1) 暗号資産の発行者が発行時に自己に割り当てた暗号資産の会計上の取扱いについて)

月刊誌『会計情報』2023年1月号

『会計情報』編集部

企業会計基準委員会(ASBJ)は、2022年11月7日に、第490回企業会計基準委員会を開催し、「資金決済法上の暗号資産又は金融商品取引法上の電子記録移転権利に該当するICOトークンの発行及び保有に係る会計処理に関する論点の整理」(以下「論点整理」という。)に寄せられたコメントへの対応について、「議事概要別紙(審議事項(1) 暗号資産の発行者が発行時に自己に割り当てた暗号資産の会計上の取扱いについて)」(外部サイト・PDF)を議事に残すこととした。

2018年3月に公表された実務対応報告第38号「資金決済法における暗号資産の会計処理等に関する当面の取扱い」は、資金決済法に規定する暗号資産を対象としながらも、自己(自己の関係会社を含む。)の発行したものを除くこととされており、会計上、暗号資産の発行者が発行時に自己に割り当てた暗号資産の会計上の取扱いについて、明確な定めは存在しない。

一方、税務上は、「内国法人が有する暗号資産(活発な市場が存在するもの)については、税務上、期末に時価評価し、評価損益(キャッシュフローを伴わない未実現の損益)は、課税の対象とされている」。この点、「こうした取扱いは、キャッシュフローを伴う実現利益がない(=担税力がない)中で継続して保有される暗号資産についても課税を求めるものであり、国内においてブロックチェーン技術を活用した起業や事業開発を阻害する要因として指摘されている」とされ、2023年度税制改正要望において金融庁と経済産業省の共同要望として「ブロックチェーン技術を活用した起業等への阻害要因を除去し、Web3推進に向けた環境整備を図る観点から、法人が発行した暗号資産のうち、当該法人以外の者に割り当てられることなく、当該法人が継続して保有しているものについては、期末時価評価課税の対象外とすること」が要望されている。

本論点に関して、ASBJが会計上の取扱いをどのように考えるのかについて質問が寄せられている。本論点を検討するに当たっては、論点整理における主要な論点である暗号資産の発行に係る会計上の取扱いと併せて検討する必要があり、これには一定の期間を要すると考えられる。このため、上記質問への対応として、第490回企業会計基準委員会において、暗号資産の発行者が発行時に自己に割り当てた暗号資産の会計上の取扱いについて審議が行われた。審議の結果、ASBJにおける議論の内容を周知するために、別紙を議事に残すこととされている。

詳細については、ASBJのウェブページ第490回企業会計基準委員会の概要|企業会計基準委員会:財務会計基準機構 (asb.or.jp)(外部サイト)を参照いただきたい。

以 上

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