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金融庁:四半期報告書制度の廃止を含む「金融商品取引法等の一部を改正する法律」の公表

月刊誌『会計情報』2024年1月号

『会計情報』編集部

金融庁は、第212回国会において、「金融商品取引法等の一部を改正する法律」等が成立したことを2023年11月21日に公表した(2023年3月14日法案提出、2023年11月20日成立)。

「金融商品取引法等の一部を改正する法律案要綱」では、「我が国の金融及び資本市場をめぐる環境変化に対応し、金融サービスの顧客等の利便の向上及び保護を図るため、顧客等の最善の利益を勘案しつつ、誠実かつ公正に業務を遂行すべき義務の規定の整備、顧客等への契約締結前の説明義務等に係る規定の整備、インターネットを用いてファンド形態で出資を募り企業等に貸し付ける仕組みを取り扱う金融商品取引業者に係る規制の整備等の措置を講ずる必要がある。このため、金融商品取引法等の一部を改正することとする。」と記載され、有価証券とみなされる権利の範囲の見直しや、四半期報告書制度の廃止、ソーシャルレンディング等のファンドに関する規定の整備のほか複数の事項についての法律の改正案の内容が説明されている。このうち、「金融商品取引法の一部改正(第1条関係)」における「四半期報告書制度廃止」の改正案の内容について、以下のように説明されている。

  • 四半期報告書制度廃止

⑴ 上場会社に対する期中の業績等の開示について、現在の3ヶ月ごとの開示から6ヶ月ごとの開示に頻度を落とし(四半期報告書制度の廃止)、上場会社に対して、四半期報告書に代わり半期報告書の提出を義務付けることとし、四半期報告書の提出に関する規定を削除することとする。(金融商品取引法第5条、第24条、第24条の4の7、第24条の4の8、第24条の5、第25条、第27条、第27条の30の2、第27条の30の6、第57条の2、第166条関係)

⑵ 参照方式の届出書、発行登録書類及び発行登録追補書類、半期報告書及び半期報告書の確認書並びに臨時報告書(これらの訂正書類も含む。)の公衆縦覧期間を5年に延長することとする。(金融商品取引法第25条関係)

施行期日については、原則として、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされている。

ただし、四半期報告書制度の廃止に関連する規定(金融商品取引法第24条の4の7及び第24条の4の8を削る改正規定や同法第5条、第24条、第24条の5等の改正規定など)は、2024年4月1日から施行され(附則第1条第3号)、この施行日前に開始した四半期に係る四半期報告書の提出ついては従前の例による(附則第2条第1項)とされている。また、金融商品取引法第24条の5第1項の規定は、この施行日以後に開始する事業年度に係る半期報告書について適用し、この施行日前に開始した事業年度に係る半期報告書については、なお従前の例によるとされているが(附則第3条第1項)、この施行日以後に四半期報告書(事業年度における最初の四半期に係るものであってこの施行日以後にその提出すべき期間が開始するものに限る。)を提出する場合において、半期報告書の提出については、当該四半期が属する年度から適用することが規定されている(附則第3条第2項)。

詳細については以下のウェブページを参照いただきたい。

第212回国会における金融庁関連法律案 (fsa.go.jp)

以上
 

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