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企業会計基準公開草案第80号「中間財務諸表に関する会計基準(案)」等の解説
月刊誌『会計情報』2024年2月号
公認会計士 佐藤 勇介
1. はじめに
企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)より、2023年12月15日に、企業会計基準公開草案第80号「中間財務諸表に関する会計基準(案)」(以下「中間会計基準案」という。)及び企業会計基準適用指針公開草案第82号「中間財務諸表に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「中間適用指針案」という。)が公表された1。なお、本稿ではこれらを合わせて「本公開草案」という。
本稿では、本公開草案について解説する。
2. 本公開草案の公表の経緯
2022年12月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(以下「DWG報告」という。)において、四半期開示の見直しとして、上場企業について金融商品取引法上の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に「一本化」すること及び開示義務が残る第2四半期報告書を半期報告書として提出することが示された。当該DWG報告に沿って2023年3月に金融商品取引法等の一部を改正する法律案(以下「改正案」という。)が国会に提出され、2023年11月に「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第79号)(以下「改正法」という。)として成立し、これにより金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(以下「金融商品取引法」という。)が改正された。
この改正案を受けて、2023年5月に開催された第502回企業会計基準委員会において、四半期報告書制度の見直しへの対応を検討することが決定され、改正案の成立を前提に、改正後の金融商品取引法の半期報告書に含まれる中間財務諸表に関する会計基準の検討を行い、本公開草案が公表された。
3. 開発にあたっての基本方針
本公開草案が適用される中間財務諸表を含む半期報告書制度の概要は、次のとおりとされている(中間会計基準案BC3項)。
- 半期報告書では中間会計期間(6か月間)を1つの会計期間とした中間財務諸表を作成する。
- 従前の四半期報告書と同様に、中間会計期間終了後、45日以内の政令で定める期間内での提出が求められる。
- 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」及び「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の改正案は、DWG報告(「上場企業の半期報告書については、現行と同様、第2四半期報告書と同程度の記載内容とする」)に基づき作成されている。
上記を踏まえ、中間財務諸表の記載内容が従前の第2四半期報告書と同程度の記載内容となるように、基本的に企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」(以下「四半期会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」(以下「四半期適用指針」という。また、四半期会計基準と以下合わせて「四半期会計基準等」という。)の会計処理及び開示を引き継ぐことが提案されている(中間会計基準案BC5項)。
ただし、期首から6か月間を1つの会計期間(中間会計期間)とした場合と、四半期会計基準等に従い第1四半期決算を前提に第2四半期の会計処理を行った場合とで差異が生じる可能性がある次の項目については、改正後の金融商品取引法の成立日から施行日までの期間が短期間であることから、会計処理の見直しにより企業の実務負担が生じないよう従来の四半期での実務が継続して適用可能となる取扱いが提案されている(中間会計基準案BC8項)。
(1)原価差異の繰延処理(中間会計基準案17項)
(2)子会社を取得又は売却した場合等のみなし取得日又はみなし売却日(中間会計基準案20項)
(3)有価証券の減損処理に係る中間切放し法(中間適用指針案4項)
(4)棚卸資産の簿価切下げに係る切放し法(中間適用指針案7項)
(5)一般債権の貸倒見積高の算定における簡便的な会計処理(中間適用指針案3項)
(6)未実現損益の消去における簡便的な会計処理(中間適用指針案28項)
このうち、(3)から(6)については、経過措置を定めることが提案されている。
4. 本公開草案の概要
(1)範囲
本公開草案では、次の会社が半期報告制度に基づき作成する中間財務諸表に適用するとされている(中間会計基準案4項)。
- 金融商品取引法第24条の5第1項の表の第1号に掲げる上場会社等
- 金融商品取引法第24条の5第1項ただし書きにより、同項の表の第1号に掲げる上場会社等と同様の半期報告書を提出する第3号に掲げる非上場会社
なお、従前より特定事業会社及び四半期財務諸表を提出していない非上場会社においては中間財務諸表の作成が義務付けられ、当該中間財務諸表には、中間連結財務諸表作成基準、中間連結財務諸表作成基準注解、中間財務諸表作成基準及び中間財務諸表作成基準注解(以下合わせて「中間作成基準等」という。)が適用されている。これらの会社が作成する中間財務諸表については、引き続き中間作成基準等が適用される(中間会計基準案BC10項)。
ここで、金融商品取引法の改正に伴い、2023年12月8日に、四半期報告書制度の廃止に伴う規定の整備として、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」及び「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」等の改正案(以下それぞれ「連結財務諸表規則改正案」及び「財務諸表等規則改正案」という。)が公表されている。これらの改正案では、「従前の四半期財務諸表を第1種中間財務諸表、従前の中間財務諸表を第2種中間財務諸表として中間財務諸表の作成方法等を含め規定する」2ことが提案されている(連結財務諸表規則改正案第1条第1項第2号及び第3号並びに第2条、財務諸表等規則第1条第1項第2号及び第3号)。本公開草案で適用することが想定される中間財務諸表は、これらの改正案における第1種中間財務諸表と考えられる。
この結果、金融商品取引法改正前後の中間会計期間(改正前の第2四半期を含む)に求められる提出書類と適用される会計基準等の関係は【図表1】のとおりである。
(2)中間財務諸表の範囲等
中間財務諸表の範囲及び開示対象期間については、中間財務諸表が従前の第2四半期報告書と同程度の記載内容を基本とするとされたことを踏まえ四半期会計基準の考え方を踏襲することが提案されている。
- 中間連結財務諸表の範囲(中間会計基準案6項)
1計算書方式による場合 |
2計算書方式による場合 |
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- 中間個別財務諸表の範囲(中間会計基準案7項)
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ただし、中間連結財務諸表を開示する場合には、中間個別財務諸表の開示は要しない。
- 中間財務諸表等の開示対象期間(中間会計基準案8項及び9項)
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(3)中間特有の会計処理
本公開草案では、従来の四半期会計基準等の取扱いと同様に、中間特有の会計処理として、原価差異の繰延処理と税金費用の計算が提案されている(中間会計基準案16項)。
このうち、原価差異の繰延処理は、中間財務諸表作成基準の改訂時に予測主義から実績主義に基本的な考え方を変更する際に、相対的にみて恣意的な判断の介入の余地が大きい等の理由により削除された処理であるが、廃止することとした場合には、現在適用している企業に一定の影響があり、従来の四半期での実務が継続して適用可能となる取扱いを定めるという本公開草案の基本的な方針と整合しないこととなるため、四半期会計基準の取扱いを踏襲することが提案されている(中間会計基準案BC14項)。
(4)簡便的な会計処理
中間連結財務諸表及び中間個別財務諸表の作成のために採用する会計方針は、中間特有の会計処理を除き、原則として年度の連結財務諸表及び個別財務諸表の作成にあたって採用する会計方針に準拠しなければならないとされている。ただし、当該中間連結財務諸表及び中間個別財務諸表の開示対象期間に係る企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する財務諸表利用者の判断を誤らせない限り、簡便的な会計処理によることができると提案されている(中間会計基準案11項及び26項)。
(5) 中間財務諸表の作成における会計処理
本公開草案では、【図表2】のように簡便的な会計処理を含む会計処理が提案されている。
これらの定めは、基本的には四半期会計基準等の会計処理の定め及び考え方を引き継いでいるが、中間財務諸表において期首から6か月間を1つの会計期間(中間会計期間)とすることに伴い差異が生じる可能性がある項目については、個別に検討が行われた。
① 有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げに係る方法
四半期適用指針においては、有価証券の減損処理に係る方法として、継続適用を条件に四半期切放し法と四半期洗替え法の選択適用が認められている(四半期適用指針4項)。また、棚卸資産の簿価切下げに係る方法として、年度決算において切放し法を採用している場合について、継続適用を条件に切放し法(以下有価証券の減損処理に係る四半期切放し法と合わせて「四半期切放し法」という。)と洗替え法(以下有価証券の減損処理に係る四半期洗替え法と合わせて「四半期洗替え法」という。)の選択適用が認められている(四半期適用指針7項)。期首から6か月間を1つの会計期間(中間会計期間)とする中間財務諸表に係る会計処理を定めることを原則としたため、中間適用指針案においては、四半期切放し法及び四半期洗替え法に代えて、中間切放し法及び中間洗替え法の適用を認める提案がされている(中間適用指針案4項及び7項)。
ここで、現行の四半期適用指針に基づき有価証券の減損処理又は棚卸資産の簿価切下げに係る方法として四半期切放し法を適用している会社においては、第1四半期決算で減損又は評価損を計上する場合に、現行の四半期切放し法による第2四半期決算の会計処理と中間切放し法とで、会計処理の結果が異なると考えられる。審議の過程では、改正法の成立日から施行日までの期間が非常に短い中で、会計処理の変更に対応してシステム変更等が必要となる可能性もあり、対応が困難であるとの意見を踏まえ、会計処理の見直しにより企業の実務負担が生じることがないよう従来の四半期での実務が継続して適用可能となる経過措置を設けることが提案されている(中間適用指針案62項及び63項)。
② 一般債権の貸倒見積高の算定及び未実現損益の消去における簡便的な会計処理
四半期適用指針においては、四半期財務諸表に求められる開示の迅速性の観点から、一般債権の貸倒見積高の算定における簡便的な会計処理として、前年度又は前四半期会計期間から著しく変動していないと考えられる場合に、前年度又は前四半期会計期間の決算において算定した貸倒実績率等の合理的な基準を四半期決算で使用することが認められている(四半期適用指針3項)。また、未実現損益の消去における簡便的な会計処理として取引状況に大きな変化がないと認められる場合に、前年度又は前四半期会計期間の損益率を四半期決算で使用することが認められている(四半期適用指針30項)。
前年度からの著しい変動がない場合に前年度末の決算において算定した実績率等を中間決算で使用することができるとする取扱いは、本公開草案が適用される中間財務諸表では、中間作成基準等が適用される中間財務諸表より開示の迅速性が求められることから、簡便的な会計処理として引き継ぐことが提案されている(中間適用指針案3項及び28項)。
一方で、改正された金融商品取引法では四半期報告書制度が廃止されるため、前四半期の決算において算定した基準等を中間会計期間において使用することは、決算日以外の期中の特定の日において算定した実績率等を使用することとなり、使用する実績率として適切ではないと考えられる。しかしながら、簡便的な会計処理は、財務諸表利用者の判断を誤らせないことを条件として認められた(四半期会計基準9項及び20項)ものであることから、引き続き当該簡便的な会計処理を認めたとしても財務諸表利用者の判断を誤らせるものではないと考えられるため、会計処理の見直しにより企業の実務負担が生じることがないよう従来の四半期での実務が継続して適用可能となる経過措置を設けることが提案されている(中間適用指針案61項及び64項)(中間適用指針案BC3項)。
③ 子会社を取得又は売却した場合等のみなし取得日又はみなし売却日
中間連結財務諸表を作成するにあたり、支配獲得日、株式の取得日又は売却日等が子会社の中間会計期間の末日以外の日である場合に、当該日の前後いずれかの決算日等に支配獲得、株式取得又は売却等が行われたものとみなして処理することができるとしたうえで、決算日等には、期首、中間会計期間の末日又は中間会計期間の期間内で適切に決算が行われた日を含むとすることが提案されている(中間会計基準案20項)。
改正後の金融商品取引法では、決算日は年度末と中間会計期間末となるため、中間会計基準案において四半期決算日をみなし取得日として認めないこととした場合、四半期会計基準に基づいた会計処理と異なる結果となることがある。これは、従来の四半期での実務が継続して適用可能となる取扱いを定めるという基本的な方針と整合しないこととなる。そのため、みなし取得日の決算日には、中間会計期間の期間内で適切に決算が行われた日を含むこととし、これにより四半期会計基準において認められていた四半期決算日がみなし取得日に含まれるようにすることが提案されている(中間会計基準案BC17項)。
(6)注記事項
本公開草案では、中間財務諸表の作成にあたって必要な開示について、基本的に四半期会計基準の開示の定め及び考え方を引き継ぎ、以下の注記事項が提案されている。なお、本稿では中間個別財務諸表の注記事項については省略する。
中間連結財務諸表の注記事項(中間会計基準案25項)
(1)連結の範囲に含めた子会社、持分法を適用した非連結子会社及び関連会社に関する事項その他連結の方針に関する事項について、重要な変更を行った場合には、その旨及びその理由 (2)重要な会計方針について変更を行った場合には、その内容、その理由及び影響額 (3)遡及適用の原則的な取扱いが実務上不可能な場合には、(2)のほか、その理由、会計方針の変更の適用方法及び適用開始時期を記載する。 (4)前年度の中間会計期間の末日後に自発的に重要な会計方針について変更を行っており、かつ、遡及適用により当年度に比較情報として開示する前年度の中間連結財務諸表と、前年度に開示した中間連結財務諸表に適用した会計方針との間に相違がみられる場合には、その旨 (5)会計上の見積りについて重要な変更を行った場合には、その内容及び影響額 (6)会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区分することが困難な場合には、変更の内容、その理由及び影響額 (7)中間特有の会計処理を採用している場合には、その旨及びその内容 (8)セグメント情報等に関する事項 (9)収益の分解情報に関する事項 (10)1株当たり中間純損益、潜在株式調整後1株当たり中間純利益及び当該金額の算定上の基礎 (11)配当に関する事項 (12)株主資本の金額に著しい変動があった場合には、主な変動事由 (13)中間会計期間の末日に継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であって、当該事象又は状況を解消するあるいは改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、その旨及びその内容等。ただし、中間会計期間の末日後において、当該重要な不確実性が認められなくなった場合は、注記することを要しない。 (14)事業の性質上営業収益又は営業費用に著しい季節的変動がある場合には、その状況 (15)重要な保証債務その他の重要な偶発債務 (16)重要な企業結合に関する事項 (17)重要な事業分離に関する事項 (18)中間連結財務諸表を作成する日までに発生した重要な後発事象 (19)中間連結キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物の中間末残高と中間連結貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係 (20)企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断するために重要なその他の事項 (21)過去の誤謬の修正再表示を行った場合には、その内容及び影響額 |
5. 適用時期
本公開草案は改正後の金融商品取引法に基づく中間財務諸表に適用されるため、適用時期は改正後の金融商品取引法の規定が最初に適用される半期報告書における中間会計期間とすることが、本公開草案では提案されている(中間会計基準案37項及びBC2項)。
6. 経過措置
本稿「3.開発にあたっての基本方針」に記載のとおり、以下の会計処理には経過措置を設けることが提案されている。
(1)有価証券の減損処理に係る中間切放し法(中間適用指針案62項)
有価証券の減損処理について、従前から、四半期切放し法を適用していた場合、中間会計期間末においては、第1四半期の末日において切放し法を適用したものとして中間会計期間末において切放し法を適用することができる。
(2)棚卸資産の簿価切下げに係る切放し法(中間適用指針案63項)
棚卸資産の簿価切下げについて、従前から、四半期切放し法を適用していた場合、第1四半期の末日において四半期切放し法を適用したものとして中間切放し法を適用することができる。
(3)一般債権の貸倒見積高の算定における簡便的な会計処理(中間適用指針案61項)
第1四半期の貸倒実績率等と著しく変動していないと考えられる場合には、第1四半期の貸倒実績率等の合理的な基準を使用して中間会計期間末における一般債権に対する貸倒見積高を算定することができる。
(4)未実現損益の消去における簡便的な会計処理(中間適用指針案64項)
第1四半期から取引状況に大きな変化がないと認められる場合には、連結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産に含まれる中間会計期間末における未実現損益の消去について、第1四半期における損益率を使用して計算することができる。
7. 他の会計基準等における四半期財務諸表に関する取扱い
本公開草案が適用される中間財務諸表においては、これまでに公表された会計基準等で使用されている「四半期会計期間」、「四半期決算」、「四半期財務諸表」、「四半期連結財務諸表」又は「四半期個別財務諸表」という用語(会計基準等の名称を除く。)は、「中間会計期間」、「中間決算」、「中間財務諸表」、「中間連結財務諸表」又は「中間個別財務諸表」と読み替えるものとすることが提案されている(中間会計基準案38項)。
これは、本公開草案は基本的に四半期会計基準等の会計処理及び開示を引き継ぐこととしており、本公開草案が適用される中間財務諸表においては、本公開草案が定めている会計処理及び開示を除き、これまでに公表された会計基準等における四半期財務諸表に関する会計処理及び開示の定めも引き継ぐことが考えられるためとされている(中間会計基準案BC21項)。
8. 今後の基準開発の方向性
改正後の金融商品取引法においては、中間財務諸表のみを作成することになるが、上場会社においては四半期決算短信が提出されるため、引き続き3か月ごとに決算が行われることになる。四半期決算短信については取引所規則に従うこととされているが、上場会社の観点からは、四半期決算短信と中間財務諸表は連続したものとして作成することから、同じ会計基準等に基づいて中間決算と四半期決算を行うべきであるとの意見が聞かれている。また、財務諸表利用者の観点からも、四半期決算短信と中間財務諸表との間で期間比較できるように、中間決算と四半期決算は同じ会計基準等に基づいて行うべきであるとの意見が聞かれている。
これらの意見を踏まえ、本公開草案が最終化された後の会計基準等と四半期会計基準等の取扱いの差異を解消するため、これらを統合した期中財務諸表に関する会計基準等を開発し、取扱いを統一することを検討することが提案されている。統一の方法には複数の方法が考えられるが、国際的な会計基準におけるIAS第34号「期中財務報告」においては、企業の報告の頻度(年次、半期、又は四半期)によって、年次の経営成績の測定が左右されてはならないとすることが原則とされており(IAS第34号第28項)、この原則を採用することが考えられる。この方法によった場合には、本公開草案で経過措置を設けている会計処理の取扱い(本稿「6.経過措置」を参照)の変更を検討することが考えられるとされている。
9. おわりに
金融庁より令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等が2023年12月8日に公表されている。また、株式会社東京証券取引所より「四半期開示の見直しに関する実務の方針」が2023年11月22日に公表されている。さらに、同じく株式会社東京証券取引所より「金融商品取引法改正に伴う四半期開示の見直しに関する上場制度の見直し等について」が2023年12月18日に公表されているため参照していただきたい。
以上
1 リンク先のASBJのホームページを参照のこと。
(https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2023/2023-1215.html)
2 金融庁の下記リンク先のホームページ(「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等の公表について」)の「四半期報告書制度の廃止に伴う規定の整備」の説明を一部抜粋(https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20231208/
20231208.html)
本記事に関する留意事項
本記事は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。また、本記事の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本記事の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。