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金融庁:「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等

月刊誌『会計情報』2024年2月号

『会計情報』編集部

金融庁は、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案に対するに関する意見募集を行い、2023年12月22日に結果を公表した。

1. 主な改正内容

2022年6月に公表された「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」において、個別分野における「重要な契約」について、開示すべき契約の類型や求められる開示内容を具体的に明らかにすることで、適切な開示を促すことが考えられるとの提言がなされた。

当該提言等を踏まえた、有価証券報告書及び有価証券届出書(以下「有価証券報告書等」)及び臨時報告書の記載事項の改正内容は、以下のとおりとされている。

【1】企業・株主間のガバナンスに関する合意

有価証券報告書等の提出会社(提出会社が持株会社の場合には、その子会社含む。)が、提出会社の株主との間で、以下のガバナンスに影響を及ぼし得る合意を含む契約(重要性の乏しいものを除く。)を締結している場合、当該契約の概要や合意の目的及びガバナンスへの影響等の開示が求められる。

(a)役員候補者指名権の合意
(b)議決権行使内容を拘束する合意
(c)事前承諾事項等に関する合意

【2】企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意

有価証券報告書等の提出会社が、提出会社の株主(大量保有報告書を提出した株主)との間で、以下の株主保有株式の処分等に関する合意を含む契約(重要性の乏しいものを除く。)を締結している場合、当該契約の概要や合意の目的等の開示が求められる。

(a)保有株式の譲渡等の禁止・制限の合意
(b)保有株式の買増しの禁止に関する合意
(c)株式の保有比率の維持の合意
(d)契約解消時の保有株式の売渡請求の合意

【3】ローン契約と社債に付される財務上の特約

(1)臨時報告書の提出

有価証券報告書等の提出会社が、財務上の特約の付されたローン契約の締結又は社債の発行をした場合(既に締結している契約や既に発行している社債に新たに財務上の特約が付される場合も含む。)であって、その元本又は発行額の総額が連結純資産額の10%以上の場合には、契約の概要(契約の相手方の属性、元本総額及び担保の内容等)や財務上の特約の内容を記載した臨時報告書の提出が求められる。

そして、上記の財務上の特約に変更があった場合や財務上の特約に抵触した場合には、財務上の特約の変更内容や抵触事由等を記載した臨時報告書の提出が求められる。

(2)有価証券報告書等への記載

有価証券報告書等の提出会社が、財務上の特約の付されたローン契約の締結又は社債の発行をしている場合であって、その残高が連結純資産額の10%以上である場合には(同種の契約・社債はその負債の額を合算する)、当該契約又は社債の概要及び財務上の特約の内容の開示が求められる。

496KB, PDF ※PDFダウンロード時には「本記事に関する留意事項」をご確認ください。

2. 公布・施行日等

本改正に係る内閣府令は、本日付で公布され、2024年4月1日から施行される。

なお、改正後の規定は、以下のとおり適用される(具体的な適用時期については、別紙2を参照)。また、本改正に伴い開示ガイドライン(別紙3)が改正され、2024年4月1日より適用される。

①「重要な契約」の有価証券報告書等への記載(上記【3】(1)以外)

2025年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用

※ ただし、施行日前に締結された契約については、2026年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等までは省略可能

②財務上の特約に係る臨時報告書の提出(上記【3】(1))

2025年4月1日以後に提出される臨時報告書から適用

※ ただし、財務上の特約に変更があった場合等に係る臨時報告書について、施行日前に締結された契約については、2026年4月1日以後に提出される臨時報告書までは省略可能

詳細については以下のウェブページを参照いただきたい。

「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等について:金融庁 (fsa.go.jp)

以上

本記事に関する留意事項

本記事は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。また、本記事の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本記事の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。

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