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金融庁:「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等(スタートアップへの資金供給の促進関係)

月刊誌『会計情報』2025年4月号

『会計情報』編集部

金融庁は、「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等に対する意見募集を行い、2025年2月21日に結果を公表した。

 

改正の概要

金融審議会 市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォース報告書(2023年12月公表)における提言を踏まえ、スタートアップ等への資金供給や投資家のリスク負担能力に応じた多様な投資商品の提供を促進するため、関連する政府令等の整備を行うものとされている。

主な改正の内容は以下のとおりである。

[PDF, 494KB] ※PDFダウンロード時には「本記事に関する留意事項」をご確認ください。

1. 開示規制の見直し

(1)株式報酬に係る開示規制の見直し

  • 有価証券届出書の提出に代えて、臨時報告書の提出をもって募集又は売出しを行うことができる特例制度(臨報特例)について、譲渡制限付株式(RS)に係る譲渡制限期間の見直しを行う。
  • 臨報特例が適用される募集又は売出しの相手方の範囲を発行会社の完全子会社・完全孫会社以外の子会社の役員・従業員まで拡大する。
  • 事後交付型株式(RSU)に係る募集又は売出しについても、臨報特例が適用されることを明確化する。

(2)インターネットを利用した特定投資家私募における情報提供の範囲の拡大

  • 有価証券の取得者を特定投資家に限定するための合理的措置がとられていることを前提に、特定投資家以外の者に対するインターネット等による情報提供ができるようにする。

(3)少額募集の有価証券届出書における開示内容の簡素化

  • 記載すべき財務諸表を、比較情報を含む最近事業年度の単体財務諸表のみとし、監査対象期を直近の1期分に限定する。
  • サステナビリティ情報の記載を任意化する。
  • 事業の内容、発行する株式の状況、コーポレート・ガバナンスに関する情報について会社法上の事業報告と同程度の記載で可とする。

 

2. 第一種少額電子募集取扱業務等の範囲の見直し

第一種少額電子募集取扱業務等の範囲に関して、主に以下の改正を行う。

  • 発行価額の総額の上限を1億円未満から5億円未満に引き上げる。
  • 発行価額の総額の通算を(1)募集・少人数私募と(2)適格機関投資家私募・特定投資家私募に区分して行う方法とする。
  • 投資家一人当たりの払込額の上限を50万円から(1)純資産5%、(2)収入金額5%又は(3)50万円のいずれか高い額(最大200万円)に改正する。
  • 相手方からの求めに応じて行う等の要件を満たす音声通話による業務を可能とする。

 

3. 投資法人による自己投資口の取得禁止の緩和等

  • その資産を主として非上場株券等資産に対する投資として運用することを目的とする投資法人(ベンチャーファンド)について、インサイダー取引規制等の対象としたうえで、投資主との合意により当該投資法人の投資口を有償で取得することができる旨を予め規約に定めた場合に、自己投資口の取得を可能とする。

その他所要の改正を行うとされている。

 

公布・施行日

本件に係る政令は、2025年2月18日に閣議決定、2025年2月21日付で公布されており、同年2月25日から施行されている。

本件に係る内閣府令は2025年2月21日付で公布されており、一部を除き、ガイドラインと併せて、同年2月25日から施行・適用されている。

(参考:新開示府令第三号様式記載上の注意(23)b等の規定は、2025年3月31日以後に終了する事業年度に事後交付型株式による株券の交付を行う場合における同日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用される。)

詳細については以下のウェブページを参照いただきたい。

「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等について(スタートアップへの資金供給の促進関係):金融庁

本記事に関する留意事項

本記事は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。また、本記事の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本記事の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。

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