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出版物
気候変動時代の「経営管理」と「開示」
デロイト トーマツ グループの書籍
企業を取り巻く環境はかつて経験したことのないほど大きく変化しようとしています。これらの変化は、従来の延長線上にあるものとは異なる非連続な要素を含んでおり、今企業は、社会の価値観の変化に適応し持続的成長を可能にするビジネスモデルへの変革のための模索を続けています。また、これまでの財務情報を中心とした経営管理の外にあった自然資本の変化にも大きな関心が払われています。
気候変動へのグローバルな対応は企業経営にとって大きなインパクトとなっています。欧州共同体、米国、中国、日本をはじめとする各国で温室効果ガス排出ネットゼロや緩和策が実施されてきましたが、2021年に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)における論議やこのタイミングで発表されたIFRS 財団による国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)設立の動きは、企業に対し気候変動への取組みを劇的に変える可能性があります。
既に各企業は持続的成長を確保するために、気候変動を長期戦略やリスク管理に組み入れる(integration)ための取組みを進めてきました。これまでの取り組みを第1ステージとすると、COP26以降はこれまでの取組みが一段格上げされ、第2ステージへと移行するものと考えられます。そしてISSB は企業価値評価や開示に関する対応に大きな影響を及ぼすことでしょう。
われわれは、2020年3月に『気候変動リスクへの実務対応』を出版しました。その後の約2年間、各企業はTCFDの枠組みの下シナリオ分析を展開し、一定の成果を挙げてきました。しかしCOP26をきっかけにした大きな変化は、今後の取組みを加速させることになるでしょう。本書の執筆は、このような環境変化の中で、前著以降の動きをフォローすることの必要、経営管理へのインテグレーションを強化する必要、任意開示にあたる気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の先にある財務情報への対応に取り組む必要などが、その強い動機となっています。
本書では、前書の続編として、その後の企業の取組みの進展と課題を整理し、第2ステージで要請される課題について「経営管理」と「開示」といった視点に焦点を当て検討しています。執筆は、トーマツで気候変動リスクへの対応に関連した業務に従事する専門家が担当しました。気候変動対応を進める企業への参考になれば幸甚です。
目次
第I章 気候変動の経営へのインテグレーションの進展と課題
第II章 気候変動に関わる開示の動向
第III章 IFRS財団による気候変動開示への対応
第IV章 TCFD開示への対応と課題
第V章 気候変動とリスクアペタイトフレームワーク(RAF)
第VI章 戦略とシナリオ分析の進化
第VII章 気候変動のリスク管理へのインテグレーション
第VIII章 戦略と企業価値への影響
第IX章 気候変動と当局の動き
第X章 開示の規律と検証
第XI章 今後の「経営管理」と「開示」の課題
付録 関連する規制・コード・ガイダンス
書名 | 気候変動時代の「経営管理」と「開示」 |
出版 | 中央経済社 |
著者 | 後藤 茂之、鶯地 隆継 |
価格 | 4,620円(税込) |
刊行 | 2022年3月 |
ISBN | 978-4502423611 |