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気候変動リスクへの実務対応~不確実性をインテグレートする経営改革

企業経営に気候変動を取り込むためのベストプラクティスを解説

企業経営にいかに気候変動を取り込むか(Integration)をテーマとし、国際論議動向やガバナンス・経営管理等を踏まえ、変革する環境に企業がいかに対応すべきかベストプラクティスを含めて詳解します。

気候変動による短期的な影響として、気温や降水量が極端に振れ、高温現象や集中豪雨、干ばつなどの異常気象の頻度が増すことなどが考えられます。また長期的には気温や海面の上昇が継続的に進むことにより地球レベルで自然と社会の関係が大きく変化し、生態系サービスにさまざまな負のインパクトが生じることが想定されています。2019年の世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書で、気候変動に関連するリスクが上位を占めており、過去からのトップリスクの変遷をながめると最近気候変動に関連するリスクが世界の関心を高めている事実を確認できます。しかしながら、気候変動は、企業収益の下振れ(狭義のリスク)のみを引き起こすわけではなく、新たな収益機会も生みます。その意味では、将来収益の上振れ・下振れ両面に関係するビジネス・リスクと定義できます。

そしてリスクとしての気候変動の特性は、不可逆性、長期継続性、不確実性、地域性、多様性にあるといわれています。なかでも気候変動への対処を困難にしている重要な要素はその不確実性にあります。つまり、気候の変化が進んでいる事実を実感する人は多いものの、今後の大きな変化・影響について、どの地域に、いつごろ、何が、どの程度、どのように起きるのかに関して、十分な予測ができないことにあるのです。

気候変動はこれまで企業が取り扱ってきたリスクとは、明らかに異なる特徴を有します。本書では、すでに経営管理の中に定着している伝統的リスクに加え、いかに気候変動を取り込むか(Integration)をテーマにしています。

目次

第I章 気候変動に関連する国際論議と今後の方向性

・国際会議のレビュー
・気候変動のメカニズムと緩和策・適応策
・地球環境問題と企業活動
・自然資本の認識と評価の実施

第II章 グリーンファイナンス市場の整備
・気候変動とインフラ投資、資金調達
・グリーンボンド発行のプロセスと留意すべきポイント
・証券取引所の取組み

第III章 気候変動のインテグレーションのための基本事項の整理
・ERMの補強
・気候変動リスクをインテグレートするための準備
・気候変動リスクと事業との関係性
・短・中期戦略と超長期戦略のすり合わせ
・マクロ情報とミクロ情報の連環
・総合的知見の活用

第IV章 気候変動と「リスクの特定」
・気候変動の不確実性と社会経済経路シナリオ
・気候変動のモデル化の意義とERM体系との関連づけ
・緩和策・適応策と事業への影響の確認

第V章 気候変動と「リスクの評価」
・リスク評価の意義
・シナリオからインパクト分析への連動
・利用可能なデータ・ツール
・金融機関による環境社会配慮確認

第VI章 気候変動と「リスク処理」
・企業戦略、リスク処理
・一般事業会社の取組み
・機関投資家の取組み
・銀行の取組み
・保険会社の取組み

第VII章 気候変動と「モニタリング(リスクの検証と改善)」
・TCFD提言とTCFDステータスレポート
・SASBなど関連の動向
・開示の意義と課題

第VIII章 経営環境の大きな変化への対応
・ガバナンスの意義
・気候変動とガバナンスの変化
・リスクカルチャーの醸成
・まとめ             

付録
関連する規制・コード・ガイダンス

書名 気候変動リスクへの実務対応~不確実性をインテグレートする経営改革
出版 中央経済社
著者 後藤 茂之(編著)
価格 本体4,200円+税
刊行 2020年2月
ISBN 978-4-502-33531-0
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