最新動向/市場予測
販売情報提供活動におけるリスクの変遷および10年後を見据えたリスク管理の構築に向けて
「広告活動監視モニター事業報告書」および「販売情報提供活動監視事業報告書」を踏まえた分析・考察
製薬企業では「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」への各種の対応策が実施されてきている一方で、「販売情報提供活動監視事業」での疑義報告は増加傾向を続けています。更に、COVID-19感染拡大により医療環境も変化し、新たなリスクが徐々に顕在化し始めています。デロイト トーマツはこれまで約25社を超える製薬企業に対し、幅広い対応策の構想および実施を支援してきた実績を踏まえ、販売情報提供活動におけるリスク管理のエッセンスを紹介します。
《レポート概要》
2018年9月に「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(以下「本GL」と記載)が発出され、翌年の2019年10月に本格適用されて以来、”販売情報提供活動に関する業務上の全ての言動は経営陣が責任を負う”という原則の下、製薬企業は本GLに即した形での社内体制の整備・構築を求められてきた。また、本GL策定の契機ともなった「医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」およびその後継に当たる「販売情報提供活動監視事業」による報告は今年度で4年目となり、販売情報提供活動の適正化が図られ続けているものの、疑義報告は増加傾向を続けている。
更に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大により、デジタル・ツールを用いた情報提供活動の浸透が加速し、医療現場における環境も大きな変化が見られるようになった。そして、中期的には業界全体で” Beyond the Pill”のトレンドが本格化することも予想され、事業拡大に向けて着々と準備を進めている企業も現れ始めている。
本稿では、10年後の医療環境の変化および想定される新たなリスクを見据えつつ、製薬企業においてどのようなリスク・コントロールが求められるのかを考察していきたい。
《目次》
1. 要旨
2.「広告活動監視モニター事業報告書」および「販売情報提供活動監視事業報告書」における過去4年間のリスク特性の変遷と注目すべき傾向
3. これまでデロイト トーマツが販売情報提供活動GLへの対応を支援した経験を総括すると、各社によって対応状況にはギャップが見受けられ、早期に対応を始めている企業においては現状の対応策の実効性をさらに高める検討を始めている
4. COVID-19感染拡大により加速している「デジタル・ツールを利用した販売情報提供活動」を始めとした今後10年間の環境変化および備えておくべきリスク特性の考察
5. 最後に
※分析・考察結果から導き出されたキーメッセージは以下の通りです。詳細はPDFをダウンロードのうえご覧ください。
- モニター医療機関は継続的に拡充される中で、疑義報告が行われた医薬品数は増加し続けており、依然として指摘され続けている3つの「共通リスク」がある
- 疑義報告のあった情報提供方法として、データ・資料提供に基づく情報提供は減少傾向がある一方で、口頭表現を伴う情報提供が増加傾向を示している
- 違反が疑われた項目では、データ加工による事実誤認などのプロモーション資材に関連する項目に減少傾向がある一方で、口頭表現に関連する項目では増加傾向が見られる
- 疑義報告があった医薬品の種類では、”常に報告数が多い医薬品”と”販売情報提供活動が活発化することにより報告数が変動する医薬品”の2パターンに大きく分類できる
- 疑義報告件数が多い医薬品種類の「疑義項目」および「問題のあった情報提供活動」を分析すると、新製品の上市時期から経年的にリスク特性が推移していることが読み取れ、新製品のプロモーション資材において”事実誤認の恐れのあるデータの掲載および加工がないか”に留意することにより、上市時期のプロモーション・リスクを低減できる
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