ナレッジ
石油・ガス業界におけるエネルギー転換 ―石油・ガス企業は低炭素社会に向けて何をすべきか―
エネルギー転換に向けた世界の石油・ガス企業の動向と具体的な取組み
資源/エネルギー業界向けNewsletter「Quest」Vol.2
COVID-19:エネルギー業界への影響と今後の展望 ―コロナ危機がエネルギーの未来(Future of Energy)をどう変えるか?―
COVID-19により経済の停滞が引き起こされ、将来の不確実性は一層高まっています。
しかし、石油・ガス企業はその足を留めることなく、エネルギー資源業界全体に広がるエネルギー転換の潮流に乗って、低炭素社会に向けた歩みを進めています。
Deloitte
LLPが行なった調査によると、企業規模や地域、バリューチェーンにおける立ち位置など企業の属性によって、取組のスコープおよび実現アプローチが異なることが分かりました。そしてそれらは、政策や消費者の嗜好、株主の期待によって、変化し続ける可能性があります。本レポートでは、具体的な事例も紹介しながら、プレイヤーの属性に応じたトレンド、石油・ガス企業が向かっている次のステップについて論じています。
尚、本レポートは、Deloite
Development LLCが発行した「Oil, gas, and the energy
transition」を和訳したものです。
原著は以下リンクよりご確認いただけます。
https://www2.deloitte.com/us/en/insights/industry/oil-and-gas/oil-gas-energy-sector-disruption.html
(プロセスユニットニュースレター「Quest」Vol.2 2020年12月発行)
【トピック】
・コロナ禍のエネルギー転換
COVID-19とこれに関連する景気下降により、企業は従業員の健康・安全のみならず、資本減少に至る経営課題まで広範な課題に直面している。こうした背景を踏まえると、今後、企業が事業回復の足がかりをつける際、脱炭素化やエネルギー転換のポジショニングといった足の長い課題に引き続き焦点を当てる事ができるかどうかは疑わしい。しかしながら、大手石油・ガス企業における低炭素社会にむけた取り組みは、長期的・継続的な大きな潮流であり、エネルギー転換に投資する石油・ガス企業の数は増加する可能性がある。本稿では石油・ガス企業が将来のエネルギー状況をどのように形作ることができるかを詳しく掘り下げるため、各企業・経営層が将来計画について公に述べたコメントと、独自調査とを組み合わせ分析した。
・異なる状況では異なる戦略が必要である
エネルギー転換は数十年にわたって、また産業サイクルを通じて展開されるが、多くの石油・ガス会社は既に炭素排出量を削減するための措置を講じている。とはいえ、企業ごとに具体的な削減アプローチは異なり、また、削減目標は企業規模によって明確に区別されている。ここでは企業規模ごとに、脱炭素化戦略を見ていく。
・テクノロジーへの投資
石油とガスの生産、輸送、精製のGHG強度を低下させると、2020年代に排出量は減少するが、古い機器の削減や漏れの検出と修復プログラムの実装などの低コストの施策がいきわたらず、2030年代までに壁に突き当たる可能性がある。技術への投資は低炭素目標の達成のために重要となる可能性がある。ここでは我々の調査に基づいたデジタルテクノロジーへの投資状況を見ていく。
・石油・ガス企業の次のステップ
ほとんどの石油・ガス企業は、低炭素・脱炭素に向けた取り組みに着実に歩みを進めており、どのような技術・投資が更なる進歩を獲得できるのかといった点に高い関心を持っている。こうした新たな投資の検討はバリューチェーン全体を対象とする包括的なものである。ほとんどの企業が炭素排出量を長期的に削減するためにとっている、2つの手段を見ていく。