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石油メジャーによる脱炭素戦略―ネットゼロへの移行は存亡の危機か、変革のチャンスか―

石油業界を含むエネルギー産業のカーボンニュートラルへの転換点

資源/エネルギー業界向けNewsletter「Quest」Vol.4

石油メジャーによる脱炭素戦略―ネットゼロへの移行は存亡の危機か、変革のチャンスか―

COVID-19後のカーボンニュートラル化に向けた機運の高まりにより、石油業界を含むエネルギー産業は大きな転換点を迎えています。

化石燃料のピークアウトはその可能性が以前から示唆されていましたが、2020年がターニングポイントとして業界の潮目が変わり、企業単位でも脱炭素化に向けて舵を切る企業が増えています。

本レポートは、こうしたテーマに先進的に取り組む欧州、米国のオイルメジャー企業を対象として、収益源である石油事業からのポートフォリオ転換に、現時点で各社がどのような方針・スタンスで取り組もうとしているか、またScope1-2、3の削減策として取りうるオプションとしてどのような施策が考えられているのかといった具体例を提示しています。

 

(プロセスユニットニュースレター「Quest」Vol.4 2021年12月発行)

 

【目次】

1.石油メジャーを取り巻く環境の変化

2021年5月に、国際的なシンクタンクであるIEA(International Energy Agency) は「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」と題する新たなシナリオを発表した。本シナリオは、所謂パリ協定の実現に向けて、気候変動に向けて取り組んできた道筋から、さらに20年近く時間軸を早める形で、2050年にGHG排出量を実質ゼロにするための、エネルギー需要・供給シナリオを提示した内容である。こうした、地球温暖化に対する各機関の提言や社会活動等が行われており、化石燃料を中心としたエネルギー事業を営む石油・ガス業界にとっては、事業環境が大きく変化する可能性が高まり、社会的な要請が大きな潮流としてより現実味を持って押し寄せた。本稿では、日本の石油・ガス業界が進むべき道程を検討するにあたり、こうした社会的な要請が以前から強まっている、欧米に本社を置く石油メジャーがこの問題にどのように取り組んでいこうとしているかを取りまとめた。

 

2.石油メジャーのGHG削減目標

昨今、様々な企業が温室効果ガス(GHG)削減量や再エネ導入量などの目標を掲げ始めており、これら非財務指標の重要性は年々高まっている。ここ数年で多くの石油企業もGHG排出削減に対して明確な数値目標を打ち出し始めている。本章では各石油メジャーが掲げるGHG排出削減目標に焦点を当て、その内容を紐解くことで各社の置かれている事業環境や、それらを踏まえた中長期的な事業方針について考察する。

 

3.自社におけるGHG削減の実現手段

どのような削減手段によってどこまでGHGを削減することが見込まれているか考察していく。特に本章では、スコープ1,2におけるGHG排出削減について触れる。

 

4.サプライチェーン全体でのGHG削減方針

前章では、スコープ1,2でのGHG削減方法について述べてきたが、ここではスコープ3削減に向けた石油メジャー企業の施策について触れる。

 

5.日本の石油・ガス業界に向けた示唆

これまでの内容を基に、日本の石油・ガス企業がどのような道筋を示すべきか、また、今後、グローバルで日本企業がプレゼンスを発揮していくためには、どのような方針を打ち出すべきかを論じる。

※同業企業・学生の方のお申込みはご遠慮いただいております

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