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調査レポート
スポーツ観戦体験グローバル調査レポート-サッカー編-
日本のスポーツ観戦をより面白いものにするためのヒントはどこに隠れているのか
本レポートは、国別のスポーツ観戦文化の違いを知るために、日本、ドイツ、アメリカのサッカー観戦経験者に対して行ったアンケート結果を纏めたものである。スポーツ観戦者がスタジアムの中だけでなく、外においてもどのような体験をしているのか、そしてそれらの体験は「友人・知人にスタジアム観戦を勧めたい」という気持ちにどれくらい影響しているのかを考察している。サッカーに限らず、さまざまな競技関係者からの「観戦体験」に関するコメントも紹介する。
スポーツ観戦は、スタジアムの中で試合を観戦するだけではない。観戦体験とはその試合の情報を得た瞬間から始まり、チケットを購入したり、会場に移動したり、そして試合観戦の後友人との食事やSNSなどでの情報発信と閲覧、そして翌日のニュースでの記事を見るところまで続く。
人々はこれらの体験をどのように評価しているのだろうか。また、「スタジアムで観戦をする」ことを友人・知人に勧めようと思ったとき、これらの体験はその推奨度にどのように影響しているのだろうか。
スポーツ観戦の文化は、国によってどのような特徴があるのか。日本でスポーツ観戦がより親しまれるために、スポーツを文化として根付かせていくためのヒントがどこに隠されているのかを考察する。
スポーツ観戦体験(観戦ジャーニー)は様々な個別の体験から成り立っている。今回は個別の体験を以下の14項目に分類し、観戦者がそれぞれの体験をどのように評価しているかを調査した。
調査結果サマリー
観戦体験全体を踏まえた推奨度(スタジアムでの観戦を知人、友人にどれくらいの度合いで勧めるか)に影響を与える個々の体験を比べると、国別に特徴が浮かび上がってくる。
試合そのものが大きく影響を与える日本、ドイツに比べ、アメリカでは、試合そのものよりも試合日以前の情報収集や当日スタジアムに入場してからゲーム開始までの時間の過ごし方が大きく影響を与えている。ただし、影響を与えるといっても必ずしもプラスの影響であるとは言い切れない。
全体の推奨度に対する体験別の影響度とその上げ下げの度合い(国際比較)
試合観戦以外の影響度が低い日本
3か国を比べて顕著なのが、日本の波形である。試合観戦そのものの影響力が一番高いという点ではドイツと同じだが、それ以外の体験が与える影響が非常に小さく、特に観戦後についてはほとんど影響力がない。その結果、観戦そのもの以外の波形がフラットになっている。
またアメリカ、ドイツに比べて、オレンジのラインと青のラインの間のギャップも極端に少ない(=不満がない)ことも日本の特徴である。
これは、日本における観戦体験というものが未熟であると考えても良いのではないだろうか。日本のサッカー観戦はもっと楽しくなるチャンスがたくさんあるはずだ。
そのためにはゲームの主催者だけでなく、メディアや報道各社、スタジアム運営、管理の会社、イベント企画会社、チケット販売会社、ケータリング、レストラン、ホテル、公私の交通機関など試合観戦にかかわるあらゆるステークホルダーが、目指すべき観戦体験を共有したうえでそれぞれが工夫し、そして連携していく必要がある。
もちろん運営側だけでなく観戦する側にも工夫できることはたくさんあるであろう。
日本においてスポーツというものがビジネスになり、文化になっていくためのヒントが隠されているように思える。