デロイト トーマツ自社農場でのスマート農業実証実験 ブックマークが追加されました
事例紹介
デロイト トーマツ自社農場でのスマート農業実証実験
ドローンや生成AI等を利用し、データ駆動型農業の実現を目指す
“デジタル”や“経営”等のノウハウを生かし、日本の農業課題解決を目指しています。またスマート農業の実現に向け、福島県富岡町に自社農場を設立し、ドローン、マルチスペクトルカメラ、センサー、生成AI等を利用した実証栽培を開始しました。これにより、実験およびその実証結果に基づくソリューション開発の迅速化を企図しています。
スマート農業の実用化は端緒についたばかり
日本の農業課題は多岐にわたり、農林水産省の令和4年度食料・農業・農村白書によると、狭い国土で多種の食料を安定的に供給する「食料安定供給・確保」、農業人口の減少、経営安定化等の「農業の持続的な発展」、中山間地域での農業衰退や集落機能の低下に端を発した「農村振興」、そして東日本大震災による影響から復興を目指す「災害からの復旧・復興」等が挙げられています。
これらの課題解決の手段として、ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用する“スマート農業”が注目されています。例えば露地栽培では、GPS・RTKを用いた直進アシスト・自動運転トラクター等が導入され、経験が少なくても早く正確に耕起・畝立て、施肥等が可能になる農機が汎用化してきています。施肥、防除においては、散布用ドローンが利用され始め、多くの人的リソースを散布に投じなくても、短時間で広い面積をカバーすることも可能になっています。
一方で、このようなソリューションだけでは、局所的な課題の解決の手段にはなっても、農業全体の作業を効率化するまでには至らず、また、価格面・実行リソース面・管理面等の観点でも、多くの技術はまだ実用化には至っていない状況です。
“デジタル”・“経営”等のノウハウで、日本の農業課題解決を目指す
デロイト トーマツ コンサルティングでは、これまで数多くの業種における課題解決に寄与してきた“デジタル”や“経営”等のノウハウを生かし、「稼げる農業の実現」「どこでも・誰でも・最適に・安全にできる農業の実現」「地域が一体となり、支えあえる農業の実現」を目指しています。
また福島県富岡町に自社農場を設立し、先端データ駆動型農業の実現に向け、ドローン、マルチスペクトルカメラ、センサー等を利用した実証栽培を開始しました。これにより、実験およびその実証結果に基づくソリューション開発の迅速化を企図しています。
ドローンや生成AI等を活用した実証栽培
今回の実証栽培では、以下を行います。
1. ドローンやマルチスペクトルカメラを用いた成長定量化・収穫適期判断
ブロッコリーの画像を上空からドローンで撮影し、AI画像解析を用いてブロッコリーの成長状態の可視化を行います。また、マルチスペクトルカメラでは人間には見ることができない近赤外線画像を取得することができ、成長の度合いを定量的に判断することができます。
2. 栽培環境に適した品種探索のための品種間比較や加工用ブロッコリーに適した品種の検討
品種間比較においては、通常浜通り地域で育てられている12月頃収穫される品種だけでなく、2月頃に収穫可能な品種も複数定植します。加工用に適した、虫が少ない冬の時期に収穫可能な品種を、浜通り地域で栽培することを目指し、実証を行います。
3. センサーや土壌分析を用いた生育要因分析等、園芸作物生育最適化に向けた取組み
今回の実証で得られたドローン画像から、ドローンを飛ばしていない圃場においても、衛星画像等を用いて圃場の様子を生成AIの手法による分析で予測する実証も行います。将来的には、ドローン等の機器を使用しなくても、誰でも生育判断や土壌水分・肥料の状態判断が可能になることを目指すとともに、どのような環境・地域・圃場でも最適な環境をシミュレーションできるバーチャルシミュレーターの開発を目指し、実用化・汎用化に向けた取組みを広げていきます。
お問い合わせ
今回の実験栽培を通じて、農業分野が抱える課題の解決に引き続き寄与して参ります。実証内容やスマート農業の導入等について、ご関心をお持ちの方は以下よりお問い合わせください。
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