2050年カーボンニュートラル実現に向けた技術リスト第6弾公開

カーボンニュートラル技術 計70技術の調査と分析

デロイト トーマツ グループの科学技術イニシアチブDeloitte Tohmatsu Science and Technologyでは、カーボンニュートラルに貢献する技術を統一的な観点から整理・評価するリスト（以下、技術リストと記載）の作成を試みており、本稿掲載の技術リストはそのプロトタイプの第6弾である。

本技術リストでは、CO2排出削減量のポテンシャル及びCO2排出削減コスト、技術成熟度等の観点から計70件の様々な分野の脱炭素技術を整理している。

過去第4弾では、投資・開発の方向性を簡易評価することを目的として、ニュース記事データに対してテキストマイニング（情報抽出）アルゴリズムを適用し、各技術に関連する記事数を各技術の相対的な注目度合いとして算出した結果をまとめた。また、各技術を特徴づける検索語（クエリ）を設定し、テキストマイニングの手法により検索語と関連の高い記事を抽出し、日本・海外での各技術の注目度合いを可視化した（本第6弾にも掲載）。加えて、第5弾では本リストの客観性の向上を目的として、一部の技術については大学の研究者を中心とする外部の専門家の意見を反映した。

第6弾にあたる本稿では、掲載技術数を70件まで拡充するとともに、ARL（市場受容性の成熟度）を用いることで、市場への実装を見据えた多軸な評価を試みた。加えて、TRL（技術成熟度）と合わせて技術をマッピングすることで、技術・受容性それぞれの成熟度によって普及に向けた課題や対策が異なる点を分析した。

今後は、今回整理したARLの方法論・分析手法を用いることで、技術ポートフォリオの棚卸やロードマップの策定において、市場受容性やその時間軸も考慮した対策の示唆を提供したい。

本技術リストが日本のカーボンニュートラル実現に向けた技術の社会実装戦略の立案や、企業・自治体の取り組み内容の検討の一助となれば幸いである。

執筆者：赤峰 陽太郎、齋藤 晃太郎、坂口 直樹、秋本 佳希、大場 久永、毛利 研、杉山 貴志、山本 昂、明石 康平、清水 洋臣、岩田 恭彰、友成 一暉、作内 友哉、王 哲、関口 尚、大南 絢一、浦田 亮啓、豊田 浩起