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「統合型リゾートフォーラム~日本版IRが担う成長戦略」にデロイト トーマツ 仁木が登壇

パネルディスカッション「IR実現への行政課題」

有限責任監査法人トーマツ パートナー、デロイト トーマツ グループ IR(Integrated Resort)ビジネスグループ リーダーである仁木一彦が、2018 年11月21日(水)に東京都内で開催された「統合型リゾートフォーラム~日本版IRが担う成長戦略」のパネルディスカッションにおいて、モデレーターを務めました。

パネルディスカッション「IR実現への行政課題」

登壇者

有限責任監査法人トーマツ パートナー、デロイト トーマツ グループ IRビジネスグループ リーダー 仁木一彦(モデレーター)、他 パネリスト3名

 

講演内容

仁木は冒頭に、本パネルディスカッションで議論する事項として、ギャンブル等依存症対策と地域の安全確保を挙げ、これらのテーマは、IR(統合型リゾート、Integrated Resort、以下IRとする)設立に向けて、負の影響であり課題となるテーマであるが、本パネルディスカッションによりIR実現への行政課題を明らかにするとともにその解決策を模索したい、とした。

 

ギャンブル等依存症対策について


仁木は、そもそもギャンブル等依存症とは何なのかをパネリストに問い、以下のとおり認識を合わせた。

・ ギャンブル等依存症は、世界的にも明確なものはなく分からないことが多いという実態があるものの、金銭と行動が連動することが特徴である。ギャンブル等依存症対策は、医療用語ではなく行政用語であり、世界では公衆衛生の問題として捉えられており、治療法がなく予防に限られることも特徴である。

 

次に仁木はギャンブル等依存症対策に関する法案「ギャンブル等依存症対策基本法案」で議論されてきたことをパネリストに問い、日本は世界最高水準の規制を設けていく意向であることを確認した。

また、IRは現時点で日本に存在していないことから、IRを要因とするギャンブル等依存症の患者数はゼロでありながらも、パチンコや競馬等の公営ギャンブルの利用者が非常に多く、本法をきっかけにして、既存のギャンブル等を要因とするギャンブル等依存症への対策がとられていくであろうとした。

 

他にも仁木は以下の点についてもパネリストに問い、意見を引き出した。

・ ギャンブル等依存症に対する各国の取り組みとそれに基づく各国の規制
ネバダ州は地元住民への制限が無い、マカオはGGR(カジノ売上高、Gross Gaming Revenue、以下GGRとする)の7割がスロットによるものである、ビクトリア州はカードによって時間やお金の制限を設けている、シンガポールでは家族の申請による入場排除が可能となっている等。

・ セキュリティの視点から見たギャンブル等依存症に持つイメージと対策
ギャンブル等により借金をし、依存することで借金を繰り返した結果犯罪が発生するサイクルがあり、最終的には家族にも影響を及ぼす可能性がある。生体認証の他にAI等のテクノロジーを活用した画像解析技術が、社会問題になる前に犯罪に繋がる予兆や変化を見つけることに有効である。

・ギャンブル等依存症への効果的な対策として行政や事業者側に期待すること
ギャンブル等依存症患者がIRの外に出た時に犯罪に繋がるリスクを考慮しなければならず、そのために予防が重要であり、地域の問題として大きな視点で捉えることが必要である。

・ 民間に期待すること
テクノロジーを活用して知恵と工夫により区域認定に向けた案を練ること。

 

仁木は、本テーマの締めくくりとして、ギャンブル等依存症対策予算をカジノ納付金によって補完する等、国としてギャンブル等依存症対策に重視していることが分かった、とした。

 


地域の安全確保について

まず仁木は、地域の安全確保について政府で議論されてきた内容をパネリストに問い、日本は日々の治安が良いことを前提にしつつ、韓国では治安が悪化した地域もあることから、官民連携が必要であり、特に地方行政と民間企業の連携が重要であるということを確認した。

仁木は、以下の点についてもパネリストに問い、意見を引き出した。

・ セキュリティを担保する目的で設立された各国の法律や規制
マカオはAML(マネーロンダリング対策、Anti-money Laundering、以下AMLとする)のベストプラクティスである、ビクトリア州で日が当たらないスロットの環境に苦情が入った結果、天然光を当てる規制が出来た。

・ 「地域の安全を守る企業」の立場からIRで実現したいセキュリティ
安全・安心を土台とした5つの領域(施設の安全安心、周辺地域の安全安心、テロへの備え、サイバーテロへの備え、災害への備え)による切れ目無く立体的な空間セキュリティにより、産官学が連携したあんしんプラットフォームを実現したい。

・ 将来IRが設立した際に想定される最新のセキュリティ
AIによる画像認証精度の向上と、セキュリティのために解析されたデータを確認する担い手の変化が発生するであろう。データの確認は、現状ではヒトが担っているが、ヒトに代わってAIが担うことになると想定している。

・ 海外におけるセキュリティ事例
顔認証技術・生体認証・RFID(ID情報を埋め込んだRFタグが近距離の無線通信を行うチップ、Radio frequency identifier)があるが、セキュリティ関連においては5年もすれば陳腐化するので動向を注視する必要がある。

 

本テーマの最後の質問として仁木は、ギャンブル等依存症対策の観点から地域の安全確保に関するセキュリティについてパネリストに問い、セキュリティと依存は別で議論すべきだが現状ではまだまだ議論が足りていないことを確認した。

 


まとめ

仁木は本パネルディスカッションのテーマとしていた、ギャンブル等依存症対策と地域の安全確保について、いずれも課題として残っているがIR区域認定時には注視されることもあり、重要なテーマであると示唆した。

またいずれのテーマについても、テクノロジーの活用がチャンスであることを示しつつ、議論がまだまだ不足している状況であることを強調し、本パネルディスカッションを締めくくった。
 

統合型リゾートフォーラム~日本版IRが担う成長戦略

開催日:2018年11月21日(水)

会場:グランドハイアット東京

※イベントは終了しました

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また、カジノ施設の設置と運営にはさまざまな課題やリスクが指摘されています。そのため、IRビジネスグループでは、日本企業に対する事業支援サービスだけでなく、企業と自治体に対し、IR施設を設置・運営する上で懸念される課題と社会問題の解決に関するアドバイザリーサービスも提供します。

 

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