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タイ製造業におけるサプライチェーン脱炭素化

APリスクアドバイザリー ニュースレター(2022年9月26日)

前稿において紹介した通り、国際的な潮流となっているサステナビリティイシューは東南アジア、そしてタイにおいても例外ではなく、昨年COP26におけるプラユット首相宣言以降(2050年「カーボンニュートラル」、2065年までに「ネット・ゼロ・エミッション」など)、その動きはタイ国内でも加速している。(参考:タイにおけるESG動向とサステナビリティ経営 | デロイト トーマツ グループ | Deloitte)。

とりわけ、自動車セクターを軸にASEAN随一の産業集積を有するタイにおいては、脱炭素化に向けた内外からの要請が高まっており、在タイ日系製造企業においてもサプライチェーン全体を含めた取り組みが急務となっている。すなわち、脱炭素化は自社の直接排出(Scope1)、電力消費に伴う間接排出(Scope2)に留まらず、調達する原材料、製品やサービスなどサプライチェーン全体(Scope3)まで進めることがスタンダードとなっており、タイに製造機能を有する日系企業においても自社のサプライチェーン全体のGHG排出量の算定、再エネ等の調達状況をサプライチェーン企業別・製品ライン別に可視化する必要性が高まっている。

加えて、脱炭素化のための手法(グリーン電力調達、税制及び投資恩典など)にかかわる制度や規制はアジア各国において多様かつ複雑化しており、自社の脱炭素化の取り組みがこのようなルールに対応できているのかを確認し、その正確性を向上することも重要である。


<サプライチェーン全体のGHG把握イメージ>
 Scope1、Scope2:エネルギー使用量を基にGHG排出量を算定
 Scope3(上流):調達量を基にGHG排出量を算定
 Scope3(下流):販売した製品の仕様と標準的な使用のシナリオを用いてGHG排出量を算定

サプライチェーン全体のGHG把握イメージ
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出所:環境省「グリーンプラットフォームチェーン」を基にデロイト トーマツ作成

 

このように脱炭素化の実現に向けては、グループ本社のみならず、タイ現地側においても広範な取り組みが求められるが、サプライチェーン全体(Scope1,2,3)に関連する従前の取り組み状況に応じて、各社において必要となる対策も大きく異なる。したがって、各社の現状レベルや課題を客観的に把握したうえで、脱炭素化に関する現地戦略の立案と現場レベルへの落とし込みが肝と考えられる。
 

<タイ拠点の脱炭素化に向けた課題及びタスク例>

タイ拠点の脱炭素化に向けた課題及びタスク例
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最新のJETROによる日系企業調査においても、在タイ日系企業においては、(1)何らかの脱炭素化(温室効果ガス排出削減)に既に取り組んでいる企業、(2)今後取り組む予定の企業が、それぞれ約3割という回答が示され、約6割の日系企業が脱炭素への対応を進めている様相である。また、脱炭素に取り組む理由としては、「本社からの指示・推奨」(52.3%)、「進出国・地域の規制や優遇措置」(31.8%)、「取引先からの指示・要望」(日系取引先28.8%、非日系取引先9.6%)が上位を占め、サプライチェーン上の要請が高まっている在タイ日系企業の現況も明らかとなった。

脱炭素化に取り組む理由(業種共通)(単位:%)

順位

理由

回答率

1

本社からの指示・推奨(158社)

52.3

2

進出国・地域の規制や優遇措置(96社)

31.8

3

取引先(日系)からの指示・要望(87社)

28.8

4

取引先(非日系)からの指示・要望(29社)

9.6

注:複数回答あり、上位回答のみ抜粋。(出所:ジェトロ日系企業調査2022年3月25日)


デロイト トーマツ グループではこれまで数多くのカーボンニュートラルに向けた支援を行ってきた。本稿もグローバルレベルでの脱炭素戦略の立案、サプライチェーン全体の排出量の可視化・システム導入、グリーン電力調達等の実行支援から得られた示唆やエッセンスを抽出したものであり、皆様の取り組みの一助になれば幸いである。

本稿に関連するデロイト トーマツのサービスのご紹介

  • サステナビリティに関する各国政策、規制等の調査
  • 気候変動シナリオ分析支援
  • マテリアリティ分析、ロードマップ策定支援
  • TDFD対応及びディスクロージャー支援

詳細は各拠点デロイト トーマツ グループ担当者までお問合せいただけましたら幸いです。

著者:畠山 多聞
※本ニュースレターは、2022年9月26日に投稿された内容です。

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ap_risk@tohmatsu.co.jp

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