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2024年版「IPPF」と、「グローバル内部監査基準」がもたらす内部監査への影響

内部監査部門による、新「IPPF」対応へのアプローチ

「専門職的実施の国際フレームワーク(IPPF)」の改定に伴い、2024年1月9日に「グローバル内部監査基準」が公表されました。改定を受けて、内部監査部門は、内部監査機能の取組みの変更や追加の検討など、対応に向けて必要な準備が求められることになります。

「IPPF」改定・「グローバル内部監査基準」公表の目的

「専門職的実施の国際フレームワーク(International Professional Practices Framework 以下、IPPF)」改定に伴い、内部監査⼈協会 (IIA) によって「グローバル内部監査基準」(以下、新基準)が2024年1⽉9⽇に公表されました(日本語版については、2024年7月25日に公表)。新基準は、2025年1⽉9⽇に施⾏予定であり、内部監査機能は、施行時点において新基準に従って運用されている必要があります。

今回の改定は、タイムリーかつ実用的な基準とガイダンスを確保することに加え、構造を簡素にすることや、基準を内部監査人のみならずステークホルダーや規制当局にも提唱することなどが目的として挙げられております。

新しい「IPPF」の枠組み

新「IPPF」は、「グローバル内部監査基準」・「トピック別要求事項」・「グローバル・ガイダンス」によって構成され、「グローバル・ガイダンス」を除き必須事項になります。

「グローバル内部監査基準」:内部監査の世界的な専門職的実施の方針であり、内部監査部門の品質を評価、向上させる基礎となる。

「トピック別要求事項」:特定の監査対象に関する内部監査業務の一貫性と品質を向上させ、そのようなリスク領域で個々の内部監査業務を行う内部監査人を支援することを目的としている。

「グローバル・ガイダンス」:内部監査業務を実施するために、必須ではない情報、助言及びベストプラクティスを提供することにより、「グローバル内部監査基準」を支援するもの。
 

参考:global-internal-audit-standards-japanese.pdf (theiia.org)

参考:https://www.theiia.org/en/standards/2024-standards/future-of-the-ippf-evolution/

参考:https://www.iiajapan.com/leg/guide/ippf.html

「グローバル内部監査基準」の構成

新基準は、5つのドメインと有効な内部監査を可能にする15の指導的原則によって構成され、各原則は、要求事項・実施に当たって考慮すべき事項・適合していることの証拠の例の3つを含む複数の基準によって支えられております。

また、新基準では、新用語および用語一覧の改訂・拡充や小規模な内部監査部門・公共セクターを対象とした項目の追加などが変更点として挙げられています。

参考:global-internal-audit-standards-japanese.pdf (theiia.org)

主な改定箇所

「IPPF」の改定を受けて、内部監査部門は新基準へ対応するためのアクションが求められる可能性があります。

この章では、主な改定箇所を例に挙げ、内部監査部門として実施すべきアクションステップの例をご紹介します。
 

  • 主な改定箇所①ー取締役会及び最高経営者とのコミュニケーション(主な該当基準:ドメインⅢ全般)

    ドメインⅢにおいては、内部監査部門に関する取締役会・最高経営者・内部監査部門長の役割及び責任が、より直接的かつ明確に示されるようになり、重要な事項については各基準において“必須条件”として識別されています。取締役会又は最高経営者のいずれかが“必須条件“の1つ又は複数に同意しない場合、内部監査部門長は、その条件の無いことが内部監査部門の目的遂行能力又は特定の基準への適合能力にどのような影響を及ぼすかを、例を挙げて強く述べる必要があるとされています。


  • 主な改定箇所②ー内部監査基本規程(主な該当基準:6.1、6.2、7.1)
    内部監査部門は、取締役会との協議の元、負託事項を明確にし、内部監査基本規程に以下の内容を明記する必要があります。
    • 内部監査の目的
    • 「グローバル内部監査基準」を遵守することへのコミットメント
    • 負託事項(基準6.1参照)
    • 組織上の位置付けと指示・報告関係(基準7.1参照)
       
  • 主な改定箇所③品質のアシュアランスと改善のプログラム(主な該当基準:8.3、8.4、12.1)
    品質のアシュアランスと改善のプログラムは、新たに追加された要求事項に即した内容への見直しが必要になります。



  • 主な改定箇所④ーその他(主な該当基準:10.3、14.4、15.1)
    「IPPF」改定を受けて、新たに対応が必要になる可能性がある、その他の要求事項は以下の通りです。

内部監査部門による新「IPPF」対応へのアプローチ

今回の「IPPF」改定を受けて、内部監査部門は、内部監査品質の維持・更なる向上のために、新「IPPF」対応へのアプローチを検討する必要があります。

 

また、デロイト トーマツは新基準への対応状況の確認も含めた外部評価サービスを提供しています。

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