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中期内部監査計画を策定し、経営者の期待と環境変化に対応する

~内部監査の品質評価で抽出される一般課題と対応例(1)~

中期監査計画を策定していない、中期監査計画を策定しているが検討項目が不足しているという課題が内部監査の品質評価を通して多くみられます。中期監査計画は数年かけて達成する内部監査のロードマップとして作成すべきであり、ステークホルダーの期待や将来的に予想されるリスク・環境変化も考慮して検討することが重要です 。

内部監査の品質評価の結果、中期監査計画に係る課題が多くの内部監査部門に共通して認識されます

内部監査の品質評価では様々な課題が抽出されますが、多くの内部監査部門に共通している課題の一つとして、中期監査計画があります。

中期監査計画を策定していない、中期監査計画を策定しているが検討項目が不足しているという課題が品質評価を通して多くみられます。

この課題の根幹には、中期監査計画そのものを理解していない、中期監査計画の必要性を認識していない、内部監査を中長期的な視点で変革していく意思がない、などの要因があげられます。本項では、中期監査計画の重要性について取り上げます。

 

中期監査計画は、数年かけて達成する内部監査のロードマップです

中期監査計画とは、3年程度の内部監査計画のことです。内部監査部門において、3年から5年程度の『中長期』監査計画を策定している企業もあります。

中期監査計画は、年度監査計画を数年分まとめて作成するだけではなく、内部監査体制、プロセス、管理ツール導入のための投資予算など、単年では達成・完了せず、数年かけて達成すべきものを含みます。

一般社団法人日本内部監査協会が公表している『2014年監査白書』によれば、中長期監査基本方針を策定している内部監査部門は41.1%であり、半数以上は策定していないと回答しています。

 

中期監査計画には、内部監査体制の変革、内部監査スコープ、内部監査の人的資源の拡充、テクノロジー導入等の重点施策が含まれます

中期監査計画は数年かけて達成する内部監査のロードマップとして作成すべきであり、ステークホルダーの期待や将来的に予想されるリスク・環境変化も考慮して検討すべきです。

具体的には内部監査体制の変革(グループ・グローバル内部監査体制の構築や人員の拡大など)、内部監査スコープ(海外拠点・サイバーセキュリティ・品質管理など)、教育研修を含む内部監査人的資源の拡充、テクノロジー導入等特別経費・投資などの重点施策が含まれます。5年に一度は実施すべきとされる外部評価の次回予定も含めます。

<中期監査計画に含める項目の例>

  • 中期監査方針
  • 監査対象領域(期待の変化を反映)
  • 重点監査項目(海外・サイバーセキュリティ・品質などへの拡大)
  • 監査スケジュール(特に複数年にまたがるプロジェクトなど)
  • 要員計画(人員数・必要なスキル・配置・外部リソース)
  • 教育研修計画
  • その他の重点施策
    • グループ・グローバル監査体制の見直し
    • 品質管理

        ……

 

中期監査計画は、組織の中期計画と整合した策定が望まれます

中期監査計画はIIA国際基準等で作成を求められているものではありません。しかし、内部監査に対するステークホルダーの期待や内部監査部門の役割の変化に対応するためには、単年ではなく中期的な取り組みが必要です。その取り組みを計画に落とし込むものが中期監査計画です。

中期監査計画を策定している内部監査部門の多くは、組織の中期計画に合わせて策定しています。それは内部監査の変革が、組織の中期計画に含まれる戦略や方向性に合致することが望ましいことと関係があります。新規ビジネスや海外進出、業務効率化によるコスト削減などの経営方針や事業計画に対し、内部監査がどのように貢献できるのか、どのように品質を維持・向上できるのかを考慮して中期監査計画を策定することになります。最近ではAI(人工知能)やRPA(Robotic Process Automation)によって業務プロセスの変革が進んでいることから、監査視点や監査手法の見直しに加え、内部監査プロセスにもAIをはじめとするテクノロジーを活用する動きがみられます。これらは時間やコストのかかるものであり、中期監査計画を策定してしっかりと取り組む必要があります。

デロイト トーマツでは、企業の中期計画に沿って、ステークホルダーの期待や内部監査部門の役割の変化に対応するために必要な中期監査計画の策定のための支援を行っています。詳細についてはお気軽にお問い合わせください。

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