調査レポート

DX推進に伴う次世代の内部統制に向けての課題が浮き彫りに

次世代の内部統制(デジタル化)に向けた現状および将来の想定に係る実態調査結果(2020年度)

企業におけるDX推進は、ビジネス変革の実現・サービス向上・働き方改革等様々な効果をもたらしDX化対応の遅れは競争力低下につながるといっても過言ではありません。このように、DX推進により組織・人事・業務プロセスや情報システムに大きな変化が生じる中、デロイト トーマツ グループの調査により、DX推進に伴う次世代の内部統制に向けての課題と、今後企業が優先的に取り組んでいく必要のある3つのポイントが浮き彫りになりました。

次世代の内部統制(デジタル化)(※)に向けた実態調査を実施しました

COVID-19の影響でデジタル化、ペーパレス化の取り組みが加速度的に推進されており、組織・人事、業務プロセス、情報システムの大きな変化が発生し、同時にガバナンスやリスクマネジメント、内部統制が脆弱とならないための見直し、改善が求められています。その中で、自社の取り組みが充分なのか、世の中における自社の位置づけを把握しきれていないとの声があがっています。

今回、デロイト トーマツ グループでは、企業のデジタル化推進に伴う内部統制の見直し、改善による新たなリスクへの対応について、現状の取り組み状況や今後の課題を把握するために、日本を代表する企業を対象に、現在および3年後に想定している状況について、13の調査項目(図表1)とデロイトの成熟度評価モデル(図表2)を用いたアンケートを実施しました。その結果を基に、デジタル化推進に向けての課題について考察しました。
 

※次世代の内部統制(デジタル化)について

昨今、政府によるデジタル化推進の強化やCOVID-19等の影響により企業のデジタル化が加速しています。デジタル化の推進は、企業のビジネスモデル、オペレーティングモデルの変革を促すとともに、①ガバナンス、②リスクマネジメント、③内部統制の在り方に多大な影響を与えます。デロイトトーマツでは、これらの影響に対する以下の取り組みを総称して「次世代の内部統制(デジタル化)」と呼んでいます。

① ガバナンス:
デジタル技術の活用に伴う組織全体の職務分掌・ディフェンスラインの再設計

② リスクマネジメント:
デジタル技術を活用したリスク管理の高度化

③ 内部統制:
新たなデジタル技術を活用した内部統制の自動化、高度化

 

図表1  実態調査項目

実態調査項目
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図表2  成熟度モデル

成熟度モデル
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調査の結果、次の3つの課題が浮き彫りになりました

今回の調査は、日本を代表する企業を対象として実施し、60社の有効回答を得ることができ、本調査により浮き彫りになった主要課題3つについて考察しました。 

※売上規模が1,000億円超の会社がほとんどです

  1. DX化において内部統制に対する観点が不足している

    DXの導入は今の企業にとって競争優位性を確保するため、早急に対応すべき課題であり、特に業務効率化・リモートワークへの対応やビジネス改革を目的とした導入が活発です。しかしながら、業務の自動化により内部統制がブラックボックス化される、もしくは従来行われていた承認行為が省略されるなど、財務報告の信頼性や法令遵守といった内部統制の観点での検討が十分に行われているとは言えないため、今後は、各種のDX活動において、関連する組織・従業員の意識改革が必要と考えられます。
  2. 内部統制DXに向けた専門性が不足し、リスク評価・対応が不十分となっている

    多くの企業では、業務プロセスおよび内部統制に精通した人材や、AIをはじめとした新たなテクノロジーに関する知識・スキルが不足している傾向にあります。新たなテクノロジーを利用することにより、GDPRや電子帳簿保存法といった法令に対応できてない、もしくはデータの改ざんといったリスクがあります。DX推進に伴う新たなリスクの評価と対応を確実に行うため、社内人材の育成もしくは外部専門家等の活用を検討する必要があると考えられます。
  3. 第2線・第3線によるモニタリングがDXに対応できていない

    現状、企業内で推進されている各種のモニタリングツールの導入は限定的なものにとどまっており、モニタリングの自動化が十分に進んでいない状況が分かりました。これは、フロント業務のDX化が進んでいるにも関わらず、第2線・第3線におけるモニタリング・監査手法は従前のプロセスを前提にしたものになっていることが原因と考えられます。この場合、モニタリングや内部監査のために、個別に資料を作成する必要があるなど、DX推進に向けたボトルネックとなる可能性があり、DX導入に伴う業務システム・プロセス等の変化に対応したモニタリング・監査手法の見直しが求められます。

 

<回答企業のポートフォリオ>

回答企業のポートフォリオ
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デロイト トーマツはDXに対応した内部統制整備・高度化のサポートを提供します

DXを見据えた次世代の内部統制を整備していくには、自社の位置づけを理解し、先進事例等を参考にしながら、今後に向けた課題および対応策を明確にすることが必要となります。

デロイト トーマツでは、DXや業務変革、および内部統制に精通したリスクアドバイザリーの専門家が、より詳細な調査を行い、業界内における自社の位置づけや各項目における先進事例を参考とした自社が目標とする成熟度レベルを定義し、達成に向けた対応策の策定をご支援することが可能です。

 

調査レポートについて

ダウンロードいただける調査レポートは、上記で述べた以外にも詳細なデータや、現在および3年後の成熟度に係る傾向、さらに各調査項目(図表1参照)における先進事例/将来に向けた課題について考察しています。今後のDX推進に伴う適切なリスクマネジメント体制構築の一助になれば幸いです。

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