サービス
スマートシティ構築支援サービス
Society5.0の社会実装・運用
Future of Cities: 4つの「結ぶ」で、持続可能な都市を創る
スマートシティの必要性
我が国は、少子高齢化等の構造的な社会課題や企業の生産性の低下、地方経済の疲弊が、東京一極化集中やデジタル化の遅れと相まって顕在化しています。他方、AI・IoT・ビッグデータ等の活用により革新的なインパクト創出が実現可能となっており、これらを現実社会に実装し、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させることで経済発展と社会課題の解決を両立する人間中心の社会である“Society5.0”を実現することが、持続可能な地域経営を実現するために不可欠です。
スマートシティで目指すべきもの
スマートシティは、単にテクノロジーを社会実装するという、供給者や技術者が主語となる取組ではなく、住民が主語となり、住民目線でどのような未来の暮らしを実現し“Quality of Life”を向上させるかに焦点を当てた取組です。また、持続可能な地域経営の観点から、“経済的価値の創出”と“持続可能性”にも着目して進める必要があります。
これらに加えて、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の世界的流行を受け、都市のレジリエンスの重要性が再認識されています。
スマートシティでは、個別最適の取組ではなく、これらの要素を充足するためのグランドデザインを描き、その実現に向けた取組を着実に進めていくことが求められます。
スマートシティで目指すべきもの
4つの「結ぶ」
スマートシティの取組は、都市における複雑な課題を、多様なプレイヤーの参画・協力により解決していくものです。そこでは、個別の課題を個別のソリューションで解決する個別最適、部分最適を追求するだけでは、全体最適、全体利益は得られません。また、各プレイヤーが経済的価値(利益)のみを追求することでは持続可能な地域経営の実現は難しく、時として、忍耐強さ(Patience)が求められることが考えられます。
デロイト トーマツは、「経済社会の変革のカタリスト(媒介者)」として、業界やセクター、官民の垣根を越えて多様なプレイヤーを結び付け、経済社会の発展に向けた新たなあり方やルールを創出することで、我が国・地域の持続性を確保するとともに、ヒト・モノ・カネ・情報といった資源の集まる魅力に溢れた社会を形成することを目指しています。
そこで、デロイト トーマツでは、スマートシティの実現にあたり、4つの「結ぶ」を提唱し、我が国のスマートシティにグランドデザインを描き、持続可能な都市創りに貢献します。
4つの「結ぶ」
異なる価値を結ぶ - トータルバリュープロジェクトデザイン -
社会課題を解決し、都市の持続可能性を実現するには、現在の都市が有する「価値」を将来にわたって維持・増加できる仕組みを創ることが必要になります。この価値とは「経済的価値」のみならず、定量評価が一般的に難しい「社会的価値」の双方を指します。従来、経済的価値(とそれを追求する行動)と社会的価値には潜在的なトレードオフ関係があり、経済的な豊かさの向上の影で社会的価値が失われるといったことが往々にして起きてきました。社会的価値にも着目することが都市の持続可能性の源泉であり、ステークホルダーが共通の尺度で比較・評価できる指標を設計することが、これら2つの異なる価値のトレードオン実現の第一歩となると考えます。
デロイト トーマツの提供サービス例
- 課題の可視化、達成すべき目標(KGI、KPI)の検討
- スマートシティに関する構想・計画・戦略の策定
- スマートシティルール(関連法令、ルール・ガイドライン、規制緩和・特区活用等)の検討
都市と資本を結ぶ - スマートシティファイナンス -
都市が持続可能なものであるためには、現在の都市が有する「価値」に対する投資が持続的になされる仕組みの整備が不可欠です。上述の通り、定性的で投資の対象外として捉えられるのが一般的な社会的価値を見える化(定量化)することにより、純粋に金銭的リターンを求める投資家だけでなく、社会的価値の実現に意義を見出す投資家を集めることが可能になると考えます。この“ソーシャルファイナンス” と呼ばれる社会的価値を考慮した資金供給を、公共セクターや民間セクター(事業会社・金融機関)からの通常の資金供給と組み合わせることで、スマートシティプロジェクトを支える資金調達(スマートシティファイナンス)が実現すると考えます。
ソーシャルファイナンスには、多様な投資家が参画し小口の資金も含むため、典型的には資金を集約しファンドとして組成することが効果的・効率的です。このようなファイナンススキームやルール設計を通じた新たな資本市場の創出は、上述のプロジェクトデザインと表裏一体のアプローチです。
デロイト トーマツの提供サービス例
- スマートシティの推進に必要な事業費や必要財源などの全体設計・検討
- 資金調達スキームの検討(ファンドスキームの検討や、BID*1、STO*2、SIB*3などの新たなファイナンス手法を含む)
- 社会的インパクト投資に必要な全体スキームの検討、社会的インパクト評価の実施
*1:BIDとは、Business Improvement Districtの略。
*2:STOとは、Security Token Offeringの略。
*3:SIBとは、Social Impact Bondの略。
人と人を結ぶ - コミュニティ起点のクロスセクター連携 -
スマートシティは、社会課題の解決であり、高度技術活用であり、企業投資であり、金融であるため、自ずと多くのステークホルダーが関わるところに最大の特徴があります。このような中では、都市の公共性を保ちながら、組織や人材、技術等のリソースを有機的に結び付け、クロスセクター連携を促進する機能が求められます。
クロスセクター連携の形として、従来は企業コンソーシアムが多く組成されてきましたが、実質的な成果の創出に至らない段階にとどまっているものも少なくありません。スマートシティという事業の性質が正しく理解されず適切な社内支援がなされない、企業間の既存のしがらみに囚われて行動が制約される等が典型的な要因となっています。
例えば、スマートシティ推進の主体を行政だけでなく民間との共同で組成にするといった、従来の民営化や民間委託、PFIとは異なる官民連携により、真に都市全体の価値向上に直接的な利害をもった主体を創出することが可能と考えられます。この主体に各ステークホルダー単独ではできない問題解決を支援するプレイヤーが媒介することで、事業の推進が期待できます。
デロイト トーマツの提供サービス例
- 官民連携によるスマートシティ推進のためのプロジェクトマネジメント(事務局支援)
- スマートシティ推進組織(エリアマネジメント組織)の設計・組成
- プレイヤー間のマッチング
都市とデータを結ぶ - まちづくりと都市OS構築・活用戦略の一体化 -
地域格差等の構造課題を解決するには、単一地域ではなく、都市とその周辺部を含む広域で都市運営・機能を最適化す
ることが求められます。しかしながら、行政区域の壁に加え、単一地域でさえも様々なシステムや仕組みが分野毎に存在する等のハードルも多く見られます。分野や都市をまたいだデータ連携や利活用を可能にするシステムとして、都市オペレーティングシステム(都市OS)と呼ばれる機能を導入し、仮想的に構造変革を行うことはスマートシティプロジェクトにおいて重要な要素の1つです。
一方で、先に述べた方法論が今日の社会課題に対する直接的な処方箋だとすると、都市OSはそれらを実現するための強力な手段ともいえます。“スマートシティ” を単純な都市のデジタル化による効率化・合理化と見るような捉え方をすれば、都市OSの構築自体が目的化してしまい、その都市OSは肥大化・ハコモノ化しかねません。現在必要な都市機能は必ずしも将来必要とは限らず、他方不足することも大いにあり得ます。都市の単位や必要な機能が有機的に変化することを見据え、様々なシステムやデータもそれに応じることのできるよう高い可変性をもたせることが重要と考えます。
デロイト トーマツの提供サービス例
- 最適な都市OSの選定・導入支援
- データマネジメント及びデータアナリティクスの実行
- データセキュリティの確保
専門性を都市の持続可能性のために
都市が変革期を迎える中、デロイト トーマツも果たすべき役割の変革に挑んでいきます。監査・保証業務、リスクアドバイザリー、ファイナンシャルアドバイザリー、コンサルティング、税務・法務を含むプロフェッショナルファームとしての総合力や、社会的公正を追求するグループの中立性と強固なネットワーク、さらに、データアナリティクスやサイバーセキュリティ等の高度な専門知見や、グローバルにおける実績を結集し、特定の領域に依らない都市全体のグランドデザインを提案することで、持続可能な都市の実現に寄与することを目指します。
これは専門家主義への自戒でもあります。特定のインダストリーやプロダクトの専門家は重要ですが、それは持続可能な都市の実現という大きなテーマの中では個別最適しか提供できていなかったのではないかという自省があります。真に知見を統合し、都市の単位で語ったサービスを提供できるプロフェッショナルとして、本質的な都市の変革に貢献していきます。
最後に、あえて特に与するべきステークホルダーを挙げるとすると、それは将来の住民かもしれません。これは都市の持続可能性に重きを置くという目的意識と表裏一体です。近代的都市化が達成した経済合理的な価値を保持しつつ、その中で喪失されつつある社会的価値にあらためて着目し、双方の価値を次世代に継承していくことで持続可能性を向上させたいと考えています。デロイト トーマツの活動がその一助となれば幸いです。