最新動向/市場予測

TMT Predictions 2020

TMT業界のグローバルトレンド 2020

「TMT Predictions 2020」では、テクノロジー・メディア・通信業界に関して、注目すべきトピックの分析と将来予測をまとめています。デロイト グローバルが発表した内容ををもとに、日本オリジナルの考察・分析を加えた内容です。

TMT Predictions 2020 日本版 全文

TMT Predictions 2020日本版では、AIチップ、プロフェッショナルサービスロボット、ローカル5G、低軌道衛星、音声コンテンツ、広告型動画配信の各分野に関する世界的な業界動向のグローバル予測に加え、日本における市場状況や変化への対応策などの論点について、各分野のプロフェッショナルが「日本の視点」として取りまとめました。日本独自のコンテンツとしては、いま日本企業が取り組むべきテーマとして半導体エコシステムとサイバーセキュリティに焦点を当て、世界の動向や日本における現状と対応策などについて解説しています。

COVID-19による影響で経済的損失が予想される一方で、オンライン化、デジタル化がむしろ加速していくとの見方もあります。本レポートでご紹介するトレンドはより一層、経済・社会における重要性を増していくことでしょう。詳細はリンク先より、レポートPDFをダウンロードのうえご確認ください。

Technology, Media and Telecommunications Predictions 2020〔4.74MB〕

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日本版発刊に寄せて

2020年代に入り、ビジネスの在り方は転換点を迎えています。寡占が進むプラットフォーマーに対する各国の規制強化などの新たな競争ルール作りの動き、既存業界を破壊するビジネスモデルを掲げる大型ユニコーンの不調、米中貿易戦争に代表される国家間の分断と障壁の顕在化など、多層的な変化が起こる中で、2010年代に発展してきた世界の延長線上ではビジネスの成功は望めなくなっています。また、社会の枠組みにおける企業の在り方についても変化を要求されています。従業員とのパワーバランスの変化やESG投資の拡大等を受け、いわゆる「社会の公器」への回帰が進んでいるとも言えます。ウェルビーイングといった言葉にもある通り、人間の幸福追求という根源的な課題の解決に挑む企業も存在感を高めています。これらの流れは、COVID-19の影響で不透明さを増す世界の中で更に加速していくものと考えられます。

一方で、技術はとどまることなく進化を続けています。2020年版のレポートではカスタム半導体やローカル5Gを取り上げていますが、技術の生態系全体としての発展にも着目してもらいたいと思います。例えば、足元では多くの業界で関心が高まっている5Gですが、5Gの技術単体で新たに付加できる価値は限定的です。通信に紐づくデータ処理という点ではエッジ/クラウド技術やAIの各用途に適した半導体が同時に実現でき、また同じ通信という点では陸海空における他の通信技術方式との間で相互補完の環境が整って初めて、5Gの大きな価値の発揮が可能となります。また、移動体の制御という点では、センチメートル級の高精度位置情報インフラが、地上のセンサ/画像認識技術と衛星を用いた測位技術の両方面から5Gと共に発展が進んでいくものと捉えられます。このように、新たな価値の実現に必要となる複数技術の組み合わせを視野に入れた形で、各技術に対する投資が進み、生態系全体として進化を続けています。結果として、遅咲きの技術が花開いている点も特徴です。今回取り上げた衛星通信は20年前から期待されていたものです。また、衛星や海底ケーブルを含む通信や半導体分野はGoogleやAmazonの投資領域でもあり、企業単位の技術ポートフォリオ戦略も見過ごせません。

こうしたグローバル動向に対して、日本企業はいかに向き合っているのでしょうか。「どのような価値を生み出すビジネスを見据え、どの技術に投資して自社に取り込むか?」という問い自体は普遍的なものですが、近年の日本では十分な資源配分を行うことができていない状況にあると捉えられます。日本の研究開発費は米国や中国の約3分の1で1、GAFA合計と比べて2倍強という規模にとどまっています2。高度専門人材を活かせていない点も特徴と言えます。米国等と比して、博士号取得人材が高い処遇が見込めない環境で、博士の就職先における企業が占める比率が低く、また博士号の取得者数も伸びていない状況です3。事業開発において、リーンアプローチやオープンイノベーション、ベンチャー出資等のブームを背景に、ハイリスクの大型将来投資への判断を避けていたケースもあるかもしれません。小さく始めて大きく育てるというアプローチは今後も重要ですが、一方で、より本質的な課題と技術生態系の発展を視野に、自社にとって必要な技術と人材に対する踏み込んだ投資を再度検討することも必要ではないでしょうか。例えば、欧州では、Death Techやいじめ・介護などの領域の企業が米国や中国と比較して大規模な投資を集めています。各国が目指している社会や幸福の在り方と関連技術をつなげるところには、新たな市場創造が期待されます。本稿では上述の技術や業界動向に加え、サイバーセキュリティや動画・音声メディアなど幅広いテーマを対象に、グローバルトレンドの抄訳と併せて、日本のコンサルタントが日本の視点からの考察を加えています。

After COVID-19の世界では、おそらく社会は元の状態には戻らず、企業・個人共に以前とは異なる世界観や価値観を持つようになると考えられます。現在の技術自体が存在意義を問われ、投資のあり方についても見直しが求められる分岐点を迎えることになるでしょう。転換期に当たる今、本レポートを一読していただき、日本企業が採るべき打ち手に関して議論を盛り上げていく契機となれば幸いです。

1. 経済産業省,「我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向-主要指標と調査データ-」,2019/9: https://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/tech_research/aohon2019.pdf

2. 内閣府資料を基に試算; 内閣官房日本経済再生総合事務局, 「未来投資会議(第31回)配布資料」, 2019/10: https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai31/siryou2.pdf

3. 文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP), 「科学技術指標2019」, 2019: https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2019/RM283_00.html

グローバル版本編リンク(英語)

Technology, Media and Telecommunications Predictions 2020

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