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DX:特化型LLM~業務の専門家AIの構築~

独自データのファインチューニングによって、LLMを「業務の専門家」に変身させる

広く普及する「汎用LLM」は一般的なデータしか学習しておらず、業務特有の語彙や言い回しには対応できません。特定ドメインや営業や事務、企画、法務、人事など、業務に関するデータでファインチューニングされた「特化型LLM」は、業務の専門家として、「汎用LLM」を適用できない業務領域の改善を実現します。

イントロダクション:LLMとは

大規模言語モデル(以下、LLM)は大量のテキストデータを学習し、質問応答や文章生成、文章要約などの多様なタスクを実行する最先端のAIです。LLMはその高度な言語処理能力により、従業員の業務補助やカスタマーサポートなどの幅広い業務シーンにおいて有効性を発揮します。すでに多くの企業がLLMを導入し、業務効率化やビジネス課題の解決に活用しています。

汎用LLMの限界

広く普及する汎用LLMの学習データは、インターネット上の公開文書等から作成されます。そのため、学習データに含まれる情報は一般的な知識に関するものがメインであり、個別企業や特定ドメイン(事業活動領域)の業務に関するものは多くありません。このような学習データで訓練された汎用LLMは、例えていえば「新入社員」のように、一般的な知識は十分に持つものの、業務に必要な専門知識を持ち合わせていない状態となります。そのため、業界や個別企業に特有の語彙が必要な専門的な業務領域では、その適用範囲は限定的でした。

特化型LLM開発サービスの概要

デロイト トーマツは、LLMに、個別企業や特定ドメイン特有の語彙や文脈、ニュアンスを学習させる、「ファインチューニング」を行うことでカスタマイズする「特化型LLM」の開発サービスを提供します。個別企業や特定ドメインの独自データを学習させることで、特化型LLMは、その業界や企業の特有の用語や言い回し、営業や事務、企画、法務、人事など、業務の慣習などに即して適切な回答を生成する能力を獲得し、「業務の専門家」として、専門性の高い業務領域にも適用することができます。

デロイト トーマツの特化型LLM開発サービスの特徴

デロイト トーマツでは複数ベンダーの有力LLMを検証しながらクライアントニーズに最適な特化型LLMの開発を行います。ベースとなるLLMについてクローズドモデルとオープンモデルも含めパラメーター数やバージョンによる違いを比較・検証することで、ノウハウを蓄積しています。また、ファインチューニングについても、LLM自体のウェイトを書き換えるフルファインチューニングとメモリの消費量を押さえながら効率的に学習するPEFT(Parameter-Efficient Fine Tuning)を比較することで、最適な手法を見出します。

 また、プライバシーやデータセキュリティの観点から、クラウド提供型の汎用LLMの利用が困難な業種・業界もあります。デロイト トーマツでは、顧客環境でのオンプレミス運用可能な特化型LLMを提供することで、企業のLLMの活用を促進します。

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さらに、現在主流の生成AIを用いた企業のデータ利活用アプローチである、RAG(Retrieval Augmented Generation)※ についても、デロイト トーマツは特化型LLMと共にRAGを実装することで、データベース検索や回答生成の精度向上を実現します。また、すでに汎用LLMとRAGを実装している企業に対しても、特化型LLMとの使い分けや組合せによって、企業のニーズに最適なシステムを提案、構築することが可能です。

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デロイト トーマツは、特化型LLMをはじめとする生成AIに関する高度な技術のみならず、あらゆるユースケースを熟知した戦略面とセキュリティ・レギュレーションといったリスク面の双方での高い知見を保有しています。テクノロジー・プロバイダーであると共に、生成AI導入の構想策定から、基盤構築等の実装フェーズ、保守・ガバナンス体制の構築に至るまで、企業の生成AIの利活用を総合的に支援するケイパビリティを持ち合わせています。デロイトグローバルの6,000人超のAI専門家のネットワークも活用し、日本企業のニーズや課題を包括的に理解し、生成AIアプリケーションの導入にとどまらない、システムと事業・業務の両面の改革を含めたトータルなソリューションを提供します。

 

 

特化型LLM開発の流れ

特化型LLMの開発では、顧客企業の業務課題に応じた特化型LLMのユースケース策定、ファインチューニングに使用するデータの収集、特化型LLM検証機の作成と評価を含む、PoC(Proof of Concept:概念検証)を実施し、その後にプロダクト版の特化型LLMを構築するという流れが一般的ですが、業務の複雑さやデータの整備状況によってその難度は大きく左右されます。デロイト トーマツはグローバルの先行事例や経験豊富なメンバーのノウハウを活用し、顧客企業に最適な解決策を提供します。

 

特化型LLMの想定ユースケース

  • 自社製品や保有技術の情報と競合・マーケットの情報を学習した特化型LLMを活用した、自社製品の新規用途探索
  • 自社の業務用語や作業手順の情報を学習した特化型LLMを使った業務担当のお悩み相談AIアシスタント
  • 法律や法務関連の業務手順を学習した特化型LLMと、最新の規制情報を検索するRAGを組合わせた規制情報アドバイス
  • 高いセキュリティ性が求められる金融業界の業務に使用可能な、オンプレミス運用型の特化型LLM

 

 ※LLMと企業のデータベースを接続し、ユーザーからの質問に応じてLLMがデータベースを検索して回答を生成

プロフェッショナル

下川 憲一/Kenichi Shimokawa

下川 憲一/Kenichi Shimokawa

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 AI&D Unit Leader

総合商社、サービス業、メディア業、通信業等など幅広い業界に対して15年以上の支援を行っている。 中期経営戦略、事業戦略、新規事業開発などの戦略立案プロジェクト、業務改革、組織構造変革と連動したコスト低減、自動化推進プロジェクトを数多く手がけている。 戦略・計画立案だけでなく、実行サポートの経験も豊富。 >> オンラインフォームよりお問い合わせ... さらに見る

宍倉 剛/Tsuyoshi Shishikura

宍倉 剛/Tsuyoshi Shishikura

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員

AIスタートアップ、国内系コンサルティング会社を経て現職。 先進技術を用いた新規ビジネス創出、業務の変革等、企業のデータドリブン・トランスフォーメーション実現に従事。データサイエンス領域における戦略策定・業務変革、組織設計・人材開発に強みを持つ。 『ビッグデータ総覧』日経BP社等、著書・寄稿多数。   関連サービス ・ストラテジー・アナリティクス・M&A >> オンラインフォームよりお問い合わせ... さらに見る