TNFDフレームワークのベータ版 v0.3のポイント ブックマークが追加されました
※本ブログは、こちらのブログを翻訳・要約したものです。訳文と原文に相違がある場合は、原文の記載事項を優先します。
2022年11月4日に、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フレームワーク ベータ版 v0.3がリリースされました。本稿では新たに更新された部分に焦点をあて、重要なポイントを概説します。
以前の記事で解説した通り、TNFDは、組織が科学的根拠に基づいて自然に関するリスクと機会を管理・開示するフレームワークを開発することを使命とする、グローバルで市場主導型のイニシアチブです。2022年3月のベータv0.1以降バージョンアップを重ねており、今回のv0.3では、これまでの ベータ版に対する市場からのフィードバックが反映されました。なお現在、130社以上の企業や金融機関がこのフレームワークに沿ってパイロットテストを進めており、2023年9月にリリース予定の最終版にはそれらの結果も反映されます。
Timeline of the TNFD Framework
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今回のベータ版 v0.3の新しい構成要素は以下の通りです。
自然に関する定義が更新され、土地などの権利保有者を含む利害関係者といった新しい概念が追加されました。これは、TNFDがより広範なステークホルダーとの関わりを、リスクと機会の評価における重要な要素として認識していることを示しています。あわせて、科学に基づく目標設定(SBTN)やシナリオに関する定義および概念も追加されました。
TNFDでは、自然関連の影響と依存の関係やリスクおよび機会の評価におけるLEAPアプローチが提示されています。v0.3では、Locate、Evaluate、Assess、Prepareの4つのフェーズは変わっていませんが、いくつかの改訂がなされました。
「指標と目標」のセクションでは、LEAP アプローチに適用可能な自然関連の指標と、目標設定のための統合的かつ包括的なアプローチが示されています。ベータ版 v0.3 では「指標と目標」「リスクとインパクト管理」が更新されるとともに、自然への影響と依存の関係を事業のリスクと機会に読み替えるフェーズであるAssess(評価)に関する追加的なガイダンスが出されました。
TNFDでは、特定の優先セクターに関するセクターガイダンスを開発しています。v0.3では、TNFDの4つの柱のうち「戦略」「リスクとインパクトの管理」「指標と目標」の3つについて、金融機関向けの補足ガイダンスが発表されました。このガイダンスでは、たとえば一定の定量的・定性的情報や、自然と金融事業との関わりを管理するためのプロセスを開示することが推奨されています。
続くベータ版 v0.4は、2023年3月のリリースを予定しています。野生動物の個体数が1970年以降で平均69%と壊滅的に減少している(WWF, 2022年)とされる中で、ネイチャーポジティブに関する国際的な合意を目指すCBD-COP15(生物多様性条約締約国会議)を12月に経て、今後のスタンダードがどのように発展するか注目されます。
Guy Williams - Director, Risk Advisory
guwilliams@deloitte.com.au
Toby Roxburgh - Senior Manager
troxburgh@deloitte.co.uk
Simon Brennan - Director, Risk Advisory
simbrennan@deloitte.co.uk
関崎 悠一郎 デロイト トーマツ グループ マネジャー