TNFDフレームワークベータ版公開を受けて企業が今できることとは ブックマークが追加されました
※本ブログは、こちらのブログを翻訳したものです。この翻訳文と原文に相違がある場合は、原文の記載事項を優先します。
ベータ版の公開を受けて企業はこのフレームワークを試験運用し、自社の能力を評価し、TNFDの継続的な開発をサポートしていくよう呼びかけられています。反復的な開発のアプローチがとられているため、企業は実験と学習を繰り返すとともに、フレームワークの発展に活用できる有益なフィードバックを提供することができます。
今から最終フレームワークの公開が予定されている2023年9月までの間に、ベータ版のテストは最大4フェーズになる見通しです。専門の学習コミュニティ、TNFDフォーラム、様々なロードショーのイベント、来月立ち上げが予定されているワーキンググループなど、年間を通じて開発に関与する機会があります。このようなイベントを通して、専門家や市場参加者の間でより幅広い対話を喚起していくことが目指されています。
TNFDに対する自社の対応や関与の戦略を検討する際に留意すべき4つの原則をご紹介します。
自然が気候にもたらす課題は様々ですが、関連性もあります。TCFDとTNFDが依拠している基本的なロジックは同じです。TCFDの導入から得た学びはTNFDにも生かしていくことができます。今後数カ月にわたって、TCFDとTNFDの間の関連性に対応する「気候と自然の統合」と呼ばれるTNFDからの追加の取り組みに注意してください。
気候関連リスクの多くは場所に大きく左右されるものです。その場所固有の特性を理解することがTNFDとLEAPプロセスの中心となります。世界の特定の場所で淡水や土壌の健全性、洪水防止に重要なことが、他の場所では全く異なる場合があります。これはつまり、必要なデータの精度も大きく異なるという意味です。
今後18カ月間の学習機会を最大限に生かすためには、優先付けがカギとなります。企業として迅速に関与を深めていくためには、すぐに利用できるデータから始めたり、短時間で改善することのできる既存の分野から手を付けたりすることができるでしょう。
TNFDでは、このフレームワークはリスクだけではなく企業として解決策に貢献できる機会でもあるという点を強調しています。よって、財務部門や事業開発部門をはじめリスク管理部門はこのTNFDに関与し、財務や他のリソースをネイチャーポジティブなプロジェクトに振り向けていけるのか、急速に拡大しているサステナビリティ関連市場に関与していけるのかについて検討していくべきでしょう。
今般のフレームワークは任意のものですが、企業に向けられる期待や市場の慣行がこのフレームワークによって急速に変化していくと考えます。
また、TNFDによってISSBの取り組みにも資する考え方や慣行が推進され、究極的にはこのトピックについてISSBの考え方が発展し、統合が進んでいくと考えられます。標準化が進むと、世界的なサステナビリティ基準が世界中で採用され、報告が義務化される余地も生み出されるでしょう。
2022年の残りの期間は、TNFDだけではなくCOP15の生物の多様性に関する条約や、世界中で進んでいるESG問題など、サステナビリティ関連の発展が目白押しになることでしょう。TNFDはあらゆる業界の企業が関与し、学び、違いを生み出せるようになる機会を開いています。
TNFDオンラインプラットフォームにおいてこのフレームワークのベータ版や関与の仕方についての情報について検討してください。
TNFDに対してデロイトのグローバル代表者を務めたガイ・ウィリアムズは、ビジネスと生態学における20年におよぶ専門性を生かしてベータ版フレームワークの開発を積極的に支援してきました。自社の自然リスクの理解、TNFDに対する準備、戦略的アジェンダや開示へのネイチャーポジティブの取り込みについてご相談がありましたら、執筆者のいずれかにご連絡ください。
Guy Williams - Director, Risk Advisory
guwilliams@deloitte.com.au
Anne-Claire van den Wall Bake-Dijkstra - Partner, Risk Advisory
acvandenwallbake@deloitte.nl
Simon Brennan - Director, Risk Advisory
simbrennan@deloitte.co.uk
丹羽 弘善 デロイト トーマツ グループ パートナー
加藤 彰 デロイト トーマツ グループ シニアマネジャー