ニュースリリース

デロイト調査、気候変動に何も対策を取らなければ、2070年までに世界経済に178兆ドルの損失が発生

対照的に、ネットゼロへの移行を迅速に進めることができれば、今後50年間で世界経済に43兆ドルの経済効果が生まれる可能性があることが明らかに

本プレスリリースは、2022年5月23日にスイス・ダボスで配信されたプレスリリースの翻訳版です。日本語版と英語版に齟齬があった場合は、英語版を優先します。

【主なポイント】

  • デロイトの「グローバル・ターニングポイント・レポート」では、グローバルのリーダーが一致団結して体系的にネットゼロへの移行を進め、気候変動を抑制していかなければ、今後50年間の世界経済の損失は178兆ドルに上ることが示されている。
  • デロイトはDeloitte Center for Sustainable Progress (DCSP)を通じて、組織のサステナビリティの取り組みの指針となるべく、データ主導の総合的な分析と、結果志向のソートリーダーシップに注力していく。

2022年5月27日

Deloitte Center for Sustainable Progress(DCSP)は、世界経済フォーラムの年次総会にあわせて新たなレポートを発表しました。同レポートでは、気候変動を抑制していかなければ、今後50年間の世界経済の損失は178兆ドルに上り、2070年の1年間だけでも世界の国内総生産(GDP)の7.6%が失われることが示されています。今世紀末に世界の気温上昇が約3°Cまで高まると、人類の生活への犠牲は計り知れないものになります。最も脆弱な立場に置かれた人々に不均衡に影響するばかりではなく、生産性や雇用が失われ、食糧や水が不足し、健康やウェルビーイングが阻害され、世界全体での生活水準が大幅に低下することになります。

デロイトの「グローバル・ターニングポイント・レポート」は、デロイト・エコノミックス・インスティチュートが アジア太平洋、欧州、米州の15地域を分析した調査に基づくものです。レポートによると、グローバルのリーダーが一致団結して体系的にネットゼロへの移行を進めていくと、世界経済は今後50年間で43兆ドルの追加的な経済効果を得られ、2070年の世界のGDPは3.8%押し上げることになります。

デロイト グローバルCEOのPunit Renjenは次のように述べています。「議論している時期は終わりました。私たちは今、あらゆるセクターにわたって大胆かつ幅広くアクションを起こしていくことが必要です。世界中の経済界、政府、非営利セクターから多大な投資が必要になるでしょうか? 答えは『イエス』です。しかし、何もしない方がはるかに費用がかかるということがデータによって示されています。世界経済の方向性を修正し、よりサステナブルでレジリエント、かつ平等で長期的な成長を創出していくという観点で、一世一代の機会が私たちの目の前にはあるのです。『投資をすべき理由』ではなく、『なぜしないのか?』ということを問いたいと思います」

低炭素の未来に向けて経済を変革するには、業界や地域を超えた調整や世界的な協働が欠かせません。各国政府は金融サービスや技術セクターと緊密に連携し、グローバルな政策の策定、クリーンエネルギーシステムへの投資の拡大、様々な業界におけるグリーンテクノロジーの新たな組み合わせなどを通じて、サステナブルな前進を牽引していく必要があります。デロイト・エコノミックス・インスティチュートの調査によると、化石燃料に依存している経済から、再生可能エネルギーを動力源とする経済に世界全体が軸足を移すことができれば、新たな成長と雇用創出の機会が生み出されます。世界的な協調と規制が変革を成功へ導く土台として不可欠です。

デロイト・エコノミックス・インスティチュートのPradeep Philip博士は次のように指摘しています。「気候変動の難題に対処できるように世界経済が進化していくことが重要です。我々の分析では、低炭素の未来が社会にとって大切なだけではなく、経済にとっても不可欠な命題であることが示されています。気候危機に立ち向かい、著しい経済成長を実現するための技術やビジネスモデル、政策アプローチは既に存在していますが、ネットゼロの未来に向けた道筋について世界中の政府、企業、コミュニティが連携する必要があるのです」 

「このような社会課題に対する新しくかつ永続的な解決策を模索するために、新たな形態の協力を具現化し、多数の関係者を取り込んだ包括的なアプローチを追求する必要があります。『ターニングポイント』の分析は、意思決定者やインフルエンサー、参加者が個人的な成功や共通の繁栄のために働くことで生まれる経済的メリットや成長に関する強力な基盤を示しています」と、DCSPの創設議長およびデロイト グローバル コンサルティングのサステナビリティ&気候変動戦略のリーダーであるBernhard Lorentz は述べています。
 

レポートではグローバルの脱炭素化における4つの主な段階について詳しく述べています:

  1. 官民セクターが一体となり、効果的な基本の枠組みや政策を構築し、実行可能な変化を推進する。
  2. 企業と政府のリーダーが大幅な投資を実行し、世界経済が低炭素業界を優先しネットゼロへの移行を加速していけるように構造改革を促進する。
  3. ネットゼロへの移行のメリットがコストを上回るようになるという意味で、世界の各地域がそれぞれの「ターニングポイント」に近づき、最終的には地域ごとに正味のプラス成長と価値が生み出される。
  4. ターニングポイントの後、社会はよりグリーンな未来を実現する。その未来では、相互に連携された低炭素システムが炭素集約型経済よりも早いスピードで成長するクリーン経済を支える。

分析においては、ネットゼロにいたる道筋は一様ではないことが示されています。政治体制や社会の成り立ち、気候変動に対するエクスポージャーや全体的なリスクプロフィール、市場の強みや能力といった様々な要因に応じて、各地域はそれぞれの道筋を進むことになります。同様に、各地域にはそれぞれ独自のターニングポイントがあります。例えば、アジア太平洋は低炭素への移行のメリットを2020年代にも実感し始めますが、欧州において投資対効果が現れ始めるのは2050年まで待たなければなりません。移行は様々なスピードで進むと考えられますが、迅速なアクションを取れば、すべての地域が2070年までにそれぞれのターニングポイントを迎え、その後長期的にメリットを刈り取り続けることができるでしょう。
 

Deloitte Center for Sustainable Progressについて

DCSPはデロイトによる気候変動とサステナビリティの課題への大胆な対応という目標を土台として、世界中の専門家や業界インフルエンサー、ソートリーダーをまとめる役割を担っています。社会変革のためのインサイトや協働の重要性が今までになく高まっている今の時代において、DCSPは時代の緊急性に見合った形で実行可能かつデータ主導の信頼できる調査とソートリーダーシップを提供します。
 

備考:

デロイトのSustainability & Climate(サステナビリティ&気候変動)の取り組みやサービスについての詳細情報はデロイトのウェブサイトをご覧ください。

本件に関するお問い合わせ先

デロイト トーマツ グループ 広報担当 高木、菊池
Tel: 03-6213-3210  Email: press-release@tohmatsu.co.jp

デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約30都市以上に1万5千名を超える専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)、そのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれらの関係法人(総称して“デロイトネットワーク”)のひとつまたは複数を指します。DTTL(または“Deloitte Global”)ならびに各メンバーファームおよび関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体であり、第三者に関して相互に義務を課しまたは拘束させることはありません。DTTLおよびDTTLの各メンバーファームならびに関係法人は、自らの作為および不作為についてのみ責任を負い、互いに他のファームまたは関係法人の作為および不作為について責任を負うものではありません。DTTLはクライアントへのサービス提供を行いません。詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。

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