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現場の熱意が創り出す「監査の未来」(前編)

シリーズ 監査に進化を 第2回

時代に合わせた新しい監査法人のあり方を模索し、さまざまな施策を推し進めている有限責任監査法人トーマツ。
前編・後編の2回に分けてイノベーションを牽引する経営企画本部長・パートナーの惣田一弘が、現場で活躍する監査・保証事業本部シニアスタッフの河田翔吾、スタッフの永井美彩子に監査のやりがいや課題、そして未来の監査への熱い想いを聞いた。


惣田:本日は監査の現場で活躍する若手の二人に、現場の仕事を通じて感じているやりがいや課題、トーマツの未来について率直な意見を聞いてみたいと思います。

私は現在、経営企画本部長として、トーマツにおける法人全体の経営戦略立案・実行をリードする役割を担っています。また、監査・保証事業の戦略立案をリードする事業企画長も兼任しながら監査の現場も担当するなど、マネジメントと現場の両方の立場と視点を持ちながら日々の業務にあたっています。

早速ですが、自己紹介を兼ねてお二人のキャリアを教えてください。

河田:私は2015年2月に入社し、東京事務所で監査業務を5年経験後、2020年に大阪事務所に異動しました。これまで、主に製造業の上場企業を中心に、大小さまざまな企業を担当してきました。現在はシニアスタッフとして、主に監査計画立案・リスク評価といった監査業務の中でも特に重要な部分を中心に担当しながらも、ほとんどすべての領域における監査作業に関わっています。

また、大阪事務所では、次世代の監査業務の実現に向けたプロジェクトに参画しています。「現場発の未来監査を実現する」をコンセプトに目指すのは、新たな監査手法を駆使し、高品質かつ付加価値の高い業務と効率性を両立した監査の提供です。オンライン監査や、未来の監査の構想の企画や実装など現場発の施策の検討を現場のスタッフと共に行っています。

永井:私は大学卒業後、税理士法人でのアルバイトを経て、2020年2月にトーマツに入社しました。現場配属の日がコロナ禍による原則在宅勤務が開始された初日に重なり、これは自分でも思ってもいなかった展開でした。

現在はスタッフとして3年目を迎えます。主に担当しているのは製造業と商社の上場企業2社に加え、大小さまざまな企業5社も担当しています。

有限責任監査法人トーマツ パートナー 経営企画本部長 惣田一弘

コロナ禍で激変した監査の現場

惣田:永井さんたちの世代は入社した瞬間から在宅勤務が主で、本当にいろいろと大変だったと思います。被監査会社やチーム内のやり取りはもちろん、同期同士でのリアルなコミュニケーションも難しかったのではないでしょうか。今はスタッフとして具体的にどんな仕事をしているのですか。

永井:私は財務諸表等に対する監査業務として、現預金や固定資産、借入金等さまざまな科目を担当しています。基本的には河田さんのようなシニアスタッフ以上のチームメンバーがその科目のリスクを評価し、その評価の内容に応じた監査手続を行っています。

惣田:永井さんの関与する業務の現場は、どのような雰囲気ですか。

永井:今は会社に伺う機会もありますが、約半分はリモートワークです。監査業務における被監査会社とのコミュニケーションはもちろん、チーム内でのコミュニケーションもとても重要ですので、案件ごとにチーム内では適時にミーティングを開き、コミュニケーションを取るようにしています。上司からもこまめに、「何か困ったことはない?」と気さくに連絡をもらえているのが心強いですね。

有限責任監査法人トーマツ 監査・保証事業本部 永井美彩子

 

河田:確かにコロナ禍前後で現場は大きく変化し、リアルな現場での業務がない寂しさは感じます。その一方で、コロナ禍をきっかけに監査法人と被監査会社双方において、監査業務全般のデジタル化が一気に進んだのは、大きな変化だと感じています。

例えば、これまでであれば、企業を訪問し対面で確かめることや、多くの書類を整理しながら手続を進めることなど、アナログな作業が多くありました。これらが一定程度デジタル化されたことで、会計士と企業担当者の双方で効率化が進み、業務の早期化や有効な時間活用に繋がっていると感じています。また、実際にお会いできる機会が少ないからこそ、お互いに自分から積極的にコミュニケーションを取ろうとする意欲も高まっていると思います。

惣田:河田さんの業務における役割について、聞かせてください。

河田:私は現在、シニアスタッフとして業務に従事をしています。監査現場では、業務の進捗管理やスタッフへのOJTはもちろん、監査の過程で重要なリスク評価も継続して実施しています。

惣田:現場発の次世代の監査業務の実現に向けたプロジェクトに携わることになったのは、どういう経緯からですか。

河田:監査の仕事が面白い、やりがいがあることを、具体的に表現するためにはどうしたらいいのか。その一つの答えが、「誰の目からも魅力的に映る未来の監査のあり方」を企画し、体現することだと考えプロジェクトに参画することにしました。

有限責任監査法人トーマツ 監査・保証事業本部 河田翔吾(大阪より、オンラインでインタビューに参加)

リモート下で、いかにコミュニケーションを深めるか

惣田:現場で業務を進める中で、具体的にどんな課題感を持っていますか?ぜひ率直な意見を聞かせてください。

永井:先ほどから話題に上がっている、コミュニケーションについて、より良い方法を模索しています。例えば、被監査会社の担当者の方と会議を行う際、現地の会議室で机を挟み先方の担当者と実際に協議をする場合と比較し、オンライン会議の場における質問は双方にとって心理的なハードルが一段高くなっていると感じています。コロナ禍だけの課題と考えるのではなく、社会全体がデジタルに移行しているという認識を持ち、新しいコミュニケーション手法でも、どのようにすればリアルと同様に丁寧に行えるのか、常に自問自答しながらより良い手法を模索しています。

 

惣田:確かにそうですね。リモートワークが進む中、担当者の方に連絡を取る際、相手が今どのような環境にいるのだろうかと考えると、どの連絡手段が適切か、今連絡をとっていいのか躊躇する場面が依然としてあります。電話に限らず、メール、コラボレーションツール、オンラインMTGツールそれぞれの特徴を理解し、双方が円滑にコミュニケーションをとれるように工夫することで、違和感や不慣れな感覚といった隙間を埋めることが可能になるはずです。

そのために、法人としても多様なオンライン・コミュニケーションツールの導入や、監査業務特有の資料・データを簡単にやり取り可能にするAudit Suite Vouchなど、積極的にツールの導入や開発を行っています。また、社内向けのツールとしてはメタバース上でアバターを使い、音声やテキストはもちろんアクションも活用したコミュニケーションを取れる「Deloitte Global Campus」というオンラインオフィスも活用しています。利用に向けた説明会も、任意参加ながら1,500名以上の職員が参加し、注目度の高さを感じています。

一方で、多くのツールを提供したとしても、最終的にはそれを使おうという「意思」と、どのように使うかの「アイデア」が重要です。それらを後押しするための仕掛け作りを続けていく必要があると考えています。

お二人から、現場発のアイデアをぜひ教えていただけますか。

永井:私は、チームメンバーで集まって監査業務を行った経験が少ないため、監査チームで一緒に集まって作業ができないか、先日提案してみました。その延長で、他のメンバーからは、VRの中でアバターをつくって社内の女子会やランチ会をやってみようという声もありました。このようなアイデアをもとに、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいです。

惣田:それは楽しみですね。ぜひ、VRオフィスでのコミュニケーションについて、感想を聞かせてください。

私見ですが、監査業務において、「監査人がお願いしたいことや伝えたいことを、いかに、相手の立場や目線に立ってわかりやすく説明できるのか」というのは、最も重要なスキルの一つだと考えています。このようなコミュニケーション能力は、監査業務の中だけでなく、法人内での責任が増すほど求められるものだと日々感じています。

後編へ続く

※所属や業務内容はインタビュー当時(2022年8月)のものです。

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