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業界展望2023 消費財

困難な時代における利益成長の追求

消費財業界は、「安定性」と「一貫性」の上に成り立っていたが、現在は、急激な変化の波や逼迫により、舵取りが難しい時期を迎えている。一方で、このような環境下においても、一部の消費財企業は、高い収益性を維持し、成長を実現している。本レポートでは、利益成長型企業の成功へのシグナルを読み取り、消費財企業におけるビジネス戦略検討に役立つ2023年の業界展望やトレンドについて解説する。

消費財業界の概況:利益成長の追求

Deloitte USは、消費財業界の動向を探るため150人の経営幹部を対象に調査を実施した。調査では、食品・飲料、ホームケア、パーソナルケアまたは衣料品の企業幹部のほぼ全員が「業界幹部を務める上で5年前よりもストレスが多いと感じる」また、「より一層ストレスを感じている」と回答している。

記録的なインフレ、サプライチェーン(供給網)の問題、労働力不足、世界紛争、気候変動、そして潜在的な景気後退など、消費財業界を取り巻く環境は逼迫している状況にある。もしこれらが同時に起こったならば、そのインパクトは計り知れないが、この幹部たちは2023年内も、これらの課題が何らかの形で、影響し続けると考えている。

また、近年の目まぐるしい環境の変化に伴い、消費者の個人の購買行動や意思決定も大きく変化している。今後も、大規模な人口動態的、政治的、環境的、技術的、文化的なシフトが進行し、さらなる変化の到来が予想されている。

今回調査対象となった企業幹部たちは、「消費者の変化を迅速に捉えること」が最も大きな課題の1つとなると考えている。しかし、インフレに見舞われ、かつ困難を極める経済環境において、消費者の変化を捉えつつ、売上高と利益率を増加させるのは容易ではない。

 

利益成長型企業(Profitable Growers :PG)の行動における差異

業界リーディングカンパニーの利益成長の背景にある要素は何か?

この問いに対し、利益成長型企業(Profitable Growers :PG)が傾注する対象や金融資源を投入する対象を見れば、全体像がよりはっきりと見えてくる。調査において、利益成長型企業の優先事項や投資を追跡することで、5つの領域において大きな差異があることが分かった。

  1. 消費者の変化に対する受容
  2. 市場シェアの獲得
  3. クリエイティブな変革の実施
  4. サプライチェーンを通したデータの活用
  5. ESGの優先化

本レポートでは、上記の領域におけるPGの特徴を分析しており、消費財企業が、利益成長へ向けた戦略検討に役立つであろう5つの重要な領域を解説している。

今後の成長を実現する上で、どのような手段が最も効果的なのか、消費財企業は、これらの領域における要素や可能性を自らの企業に問いかけてみる必要があるだろう。

※詳細は、本文レポートを参照 ダウンロードする(PDF, 966KB)

 

調査概要

本調査は、Deloitte USが、2022年11月、食品・飲料、ホームケア、パーソナルケア、衣料品などの各セクターが業界に占める割合に応じた消費財業界の企業幹部150人(年間の収益が5億ドルを超える企業を対象)を選出し、アンケート調査を実施したものである。また、日本と中国の両国においては、両国の対象企業の幹部(各国50人)を対象とし、追加調査を行った。

 

本レポートはDeloitte Touche Tohmatsu Limited が発表した内容をもとに、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が翻訳・加筆したものです。和訳版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先します。

原文(英語)レポートは以下よりご参照頂けます。

2023 consumer products industry outlook 

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