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企業不動産(CRE)に関する課題とその解決について
Financial Advisory Topics 第40回
企業不動産(CRE)とはCorporate Real Estateを略したものです。企業不動産(以下CREと記載)は、企業全体の事業戦略や事業再編および企業の統合合併等に伴い必ず紐づいてくるテーマであり、企業にとって重要な経営資源です。しかし、その取り扱いには専門知識が必要であり、有効な施策を実施できていないケースが散見されます。
Ⅲ. 課題が発生する原因
CREにおける課題が発生する理由として以下が挙げられる。
A)場当たり的な対応
例えば、景気低迷時に利益確保のための売却を急ぐあまり「底値売り」となるケースや、景気拡大時に事業所拡大のために慌てて不動産を購入・賃借してしまい「高値買い」になってしまい減損リスクを抱え込んでしまうケースなど、場当たり的な対応が原因となっているケースが散見される。
B)投資抑制によるリスク増大
不動産会社の場合はポートフォリオの組み替え等によりCRE全体の若返りが進むことが多いが、一般の事業会社の場合は景気拡大時に取得した不動産がポートフォリオの多くを占めているケースが見られる。
そのような企業の場合、所有する不動産が一気に老朽化してしまい、結果的に膨大なコスト負担や資産効率の悪化が発生しているケースが見られる。
C)専門的知識を有した人材の不足
一般の事業会社の場合、CREに関する専門的知識を有した人材が不足しており、CREに対する有効な施策が推進できていないケースが見られる。これは経営の効率化に伴いCREに関する専門知識を有した人材を抱える余裕がなくなったこと等に起因している。
以上の理由により発生するCREの課題は近年顕在化、深刻化するケースが増加している。
Ⅴ. まとめ
前述のCREの課題解決に向けた取り組みとして、CREの現状分析から戦略策定、実行の事例について、複数の店舗を保有する事業者の店舗戦略策定の一環として、商圏や収益、リスクの観点で出店を検討する地域の検討および絞り込みに関する分析や、本社機能の効率化(移転・再編)を目指す事業者に対して、課題と施策を整理し、施策の推進をアドバイスした事例もある。
CREは企業全体の事業戦略や事業再編および企業の統合合併等、企業において重要な経営資源であり、その取り扱いには専門知識が必要である。一方で、CRE戦略を立案・実行するための専門性が企業内だけでは不足しているケースも散見されるため、外部のプロフェッショナルを活用することも選択肢の一つとなる。
執筆者
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
不動産アドバイザリー
シニアマネジャー 眞中 正司
(2025.1.23)
※上記の社名・役職・内容等は、掲載日時点のものとなります。
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