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Future of Healthcare
ライフサイエンス企業に求められる新たなパラダイムへの備え
20年後、医療はその姿を大きく変えているだろう。発症後の“事後介入”中心から、予防のための“事前介入”へシフトし、結果としてライフサイエンス企業に求められる役割も変化する。例えば、発症リスクの予測から予防、治療に至るまでの各段階におけるケアを組み合わせた“ソリューション”の創出、提供が挙げられる。本書では、そのような将来を見据えてライフサイエンス企業が今からとるべきアクションについて考察する。
ライフサイエンス企業に求められる新たなパラダイムへの備え
20年後、医療はその姿を大きく変えている。現在の医療では、ヒトが病気になることを防ぐのは難しく、根治・対症のいずれにせよ発症後の“事後介入”が大勢を占める。しかし、これからの20数年、ヒトは徐々に自分がどのような病気になる確率が高いのか、どうすればそれを防げるのかを知る術を手に入れていく。そこに、医療費を抑制しながらも健康を維持し、国力を増強したいという“国家”のニーズが結びつく。先進国は超高齢化が進む中でも国民の活力を維持することが、成長国は経済力が限られる中でも国民が必要とする医療を提供することが重要な国家命題の一つとなっていくであろう。その結果、そもそもヒトを病気にしない、さらには、健康状態を向上させるための“事前介入”がこれまで以上に展開されていくことになる。
これにより、ライフサイエンス企業のビジネスも大きく姿を変える。現在、多くの企業は“サプライヤー”として医療に必要なパーツを提供している。しかし、医療が個別化され、予測・予防~治療までの一連のシステムの中で提供されるようになると、個別パーツだけで十分な価値を提供することは難しくなる。そのため、企業には、システム全体を構築・最適化し、国・保険者・病院・医療従事者に提案していく、“プロデューサー”への転身が求められる。
このように、近い将来に企業へのニーズが変わることが想定され、また、現時点で既存事業における研究開発生産性が低下しているにも関わらず、将来に向けた新たな一歩を踏み出せていない企業が多い。特に製薬業界においては、より余力のある欧米系企業が生き残りをかけてビジネスモデルの転換を進めている一方で、日系企業の多くは画期的新薬への過度な固執により決断を先延ばししており、このままでは彼我の差はますます広がっていくだろう。
本書では、医療のあり方とヘルスケア市場の転換の背景をマクロ環境の変化を踏まえて整理した上で、20年後のライフサイエンス企業の姿を予測し、今からとるべきアクションについて考察する。
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