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次世代の内部監査~重要リスク(1)ESG~

内部監査の新潮流シリーズ(12):内部監査部門はESGに対するリスクのアシュアランスを提供することが期待されています

ESGは企業の持続的な成長のために重要であるという考えが世界的に広まっています。企業はESGに対する取組とそのリスクの開示が求められ、特にプライム市場へ上場する企業が気候変動関連情報の開示が求められるなどESG開示に関する取り組みが進んでいます。ESGに対するリスクを把握し、モニタリングすることは経営者の責任であり、内部監査部門がESGに関するアシュアランスや助言を提供することが期待されています。

デロイト トーマツでは、「内部監査の新潮流」と題して内部監査のトピックスを全24回にわたり連載いたします。前半は、内部監査の基礎となる事項をとりあげ、後半は次世代の内部監査に求められる最新のトピックスを取り上げます。全24回の詳細はこちらのページをご覧ください。

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ESGの重要性

ESGは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を表した言葉です。ESGに対する取り組みが重要であるという考えが世界的に広まっています。従業員、株主、投資家などすべての利害関係者にとって、ESGは重要な懸念事項です。かつてはESGを軽視していた経営者も、今は主要課題と認識するようになっています。顧客や消費者もESGを重視するため、ESGへの姿勢は企業のレピュテーションやブランドにも影響を与えます。

ESGに含まれる事業課題

ESGは、気候変動、森林破壊などの環境問題や、人権、児童労働などの社会問題など、企業の社会的責任に関連する様々な事業課題を含んでいます。

企業を取り巻く利害関係者は、継続的に気候変動、多様性、職場環境、製品原料問題(コンフリクトミネラルや児童労働など)を注視しています。

 

ESGに関する開示

企業は、ESGに対する取組とそのリスクの開示が求められています。海外ではESG関連情報の開示指針の策定や開示の法制化が活発に行われています。日本においても2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいて、プライム市場へ上場する企業に対し気候変動関連情報の開示が求められるなど、ESG開示に関する取り組みが進んでいます。

 

ESGに対する内部監査の貢献

ESGに関する内部監査の優先順位は組織の属する業界、地域、規制環境、組織のESG成熟度によって異なります。

ESG成熟度の高い企業ではKPIやコントロールを設定してモニタリングしています。一方、ESG成熟度の低い企業では、KPIやコントロールが設定されていません。

ESG成熟度の低い企業については、内部監査が主要なリスク・機会・効果的な評価方法・モニタリング方法を助言することで、組織のESG成熟度の向上に貢献することができます。

ESG成熟度の高い企業では、内部監査はマネジメントが主要な問題をどのように特定したかを評価します。GRI (Global Reporting Initiative)やSASB (Sustainability Accounting Standards Board)といった組織の情報にアクセスし、ガイドラインとの整合性を確認することで、ESGに関するリスクを評価し、アシュアランスを提供することで貢献できます。

 

【図1】ESGアシュアランスにおける内部監査の役割
※画像をクリックすると拡大表示します

 

トーマツでは「次世代の内部監査への変革を本気で取り組もう」という会社様向けに「次世代内部監査提言サービス」を始めました。外部品質評価(診断)や内部監査ラボなどを通してInternal Audit 4.0フレームワークとのFit & Gap分析を実施し、各社の実情に合った次世代内部監査モデルを提言いたします。ご興味のある方はぜひトーマツの内部監査プロフェッショナルまでお問い合わせください。

 

内部監査・内部統制・オペレーショナルリスクに関する詳細な内容や関連資料、プロジェクト事例の紹介資料等を多数用意しております。詳しい資料をご要望の場合は以下のフォームよりお問合わせください。

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